• HOME
  • MAGAZINE
  • INSIGHT
  • 冬休みは美術館へ。年末年始も見られる展覧会をピックアップ

冬休みは美術館へ。年末年始も見られる展覧会をピックアップ

ゴッホからダムタイプまで、年末年始も見ることのできる展覧会をピックアップ。首都圏を中心に、主に2020年1月2日から開館する美術館を紹介する。長期休暇中のお出かけの参考にしてほしい。

「未来と芸術展」の会場風景より、エコ・ロジック・スタジオ《H.O.R.T.U.S XL アスタキサンチン g》(2019)

 年末年始も休まずオープンするのは、六本木・森美術館の「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命─人は明日どう生きるのか」(12月31日は22:00まで)。64のアーティストやプロジェクトが参加する本展は、都市計画から建築、ロボット、そして衣服、食までを網羅するもの。会場には日本で初めてとなる美術館内の「バイオ・アトリエ」も設置され、複数の作品を進行形で見ることができる。一年の締めくくり、または新たな年の始まりに、「未来と芸術」を考えてみてはいかがだろうか。

「未来と芸術展」の会場風景より、「バイオ・アトリエ」

 美術館が集まる上野では、上野の森美術館、国立西洋美術館、国立科学博物館、東京国立博物館が1月2日から開館する。

 上野の森美術館では、フィンセント・ファン・ゴッホの初期作から晩年の代表作まで約40点で、ゴッホと印象派、ハーグ派との出会いを追う「ゴッホ展」が開催中。

 国立西洋美術館では、数世紀にわたってヨーロッパの中心に君臨したハプスブルク家が築いた絵画や版画、工芸品、タペストリー、武具などのコレクション約100点を紹介する「ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史」展を見ることができる。

 また国立科学博物館では、各地のミイラから多様な死生観や文化の違いを紹介する「特別展 ミイラ ~『永遠の命』を求めて」が話題を呼んでいる。

 注目したいのは、東京国立博物館恒例の正月企画「博物館に初もうで」。本展では、2020年の干支、子(ねずみ)をテーマとした作品の特集のほか、いずれも国宝である長谷川等伯《松林図屛風》(16世紀)や『古今和歌集(元永本)下帖』(12世紀)といった名品も紹介。加えて和太鼓や獅子舞など、日本の伝統文化に触れることのできるイベントもチェックしてほしい。

「ゴッホ展」の会場風景より、フィンセント・ファン・ゴッホ《糸杉》(1889)

 いっぽう東京駅周辺では、東京ステーションギャラリーで「坂田一男 捲土重来」展が開催中。本展は、これまで大きく紹介されてこなかった抽象画家、坂田一男の全貌を、造形作家・近代美術史研究者の岡﨑乾二郎監修のもと読み解こうとするものだ。また、同館からほど近い三菱一号館美術館の「印象派からその先へ―世界に誇る 吉野石膏コレクション展」では、モネやルノワールなど印象派からキュビスム、ナビ派、そしてパリ派まで、近代美術の要点をおさえた選りすぐりの72点を堪能することができる。

 また、竹橋の東京国立近代美術館も1月2日から開館。「窓」をテーマに国内外の芸術・建築作品を紹介する「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」では建築、絵画、写真、映像、インスタレーションまで、幅広い作品をゆったりと楽しみたい。また、2020年に石川県金沢市への移転が決まっている東京国立近代美術館工芸館では、移転前最後の展覧会「所蔵作品展 パッション20 今みておきたい工芸の想い」が開催中のため、ぜひ工芸館にも足を伸ばしてみてほしい。

「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」の会場風景より、手前がローマン・シグネール《よろい戸》(2012)

 そして、清澄白河の東京都現代美術館、恵比寿の東京都写真美術館も見逃せない。東京都現代美術館では、現在「ダムタイプ―アクション+リフレクション」「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」「MOTアニュアル2019 Echo after Echo:仮の声、新しい影」の3展が同時開催中。東京都写真美術館では、女性写真家の草分けとして抽象写真を手がけた山沢栄子の活動を紹介する「山沢栄子 私の現代」のほか、同館の年次展である「至近距離の宇宙 日本の新進作家 vol.16」も開催されている。

 そのほか、神奈川・箱根のポーラ美術館シュルレアリスムと絵画」は年末年始もオープン。本展ではシュルレアリスム誕生から100年の歴史をたどり、サルバドール・ダリやマックス・エルンスト、古賀春江、三岸好太郎、瑛九、吉原治良などの作品を取り上げる。同じく箱根では、彫刻の森美術館で「箱根ナイトミュージアム」が開催中。髙橋匡太によるライトアップは、18:00まで行われる。

「ダムタイプ―アクション+リフレクション」展の会場風景より、《MEMORANDUM OR VOYAGE》(2014)
「山沢栄子 私の現代」展の会場風景より、手前が《What i Am Doing No.47》(1981 / プリント1986)

 首都圏以外では「AKI INOMATA:Significant Otherness 生きものと私が出会うとき」(十和田市現代美術館)、「ジブリの大博覧会~ナウシカからマーニーまで~」(岩手県立美術館)、12月26日からスタートする「カラヴァッジョ展」(あべのハルカス美術館)、「クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime」(長崎県美術館)が1月2日からオープン。「岡本太郎展」(大分県立美術館)は会期中無休となっている。なお、紹介した美術館の年末の予定は以下の通り(いずれも年始は1月2日〜)。

~12月25日
東京国立博物館
~12月27日
国立西洋美術館、国立科学博物館、東京国立近代美術館、東京国立近代美術館工芸館、東京都現代美術館、十和田市現代美術館
~12月28日
東京ステーションギャラリー、東京都写真美術館、長崎県美術館
~12月29日
岩手県立美術館
~12月30日
上野の森美術館、三菱一号館美術館、あべのハルカス美術館
年末年始無休
森美術館、ポーラ美術館、彫刻の森美術館、大分県立美術館

 このほかにも年始から開館する美術館は多数あるので、開館時間を確認のうえ、旅先、帰省先などから美術館を訪れてみてはいかがだろうか。全国の展覧会が検索できる「EXHIBITIONS」はこちら

編集部

Exhibition Ranking