REVIEW

90年の孤独。清水穣評「ゲルハルト・リヒター展」

ドイツの現代アーティスト、ゲルハルト・リヒター。その生誕90年、画業60年を記念した東京初の美術館個展「ゲルハルト・リヒター展」が東京国立近代美術館で開催された。リヒターが長年取り組んできたアウシュヴィッツを描いた大作《ビルケナウ》シリーズを中心に構成された本展を、清水穣がレビューする。

2022.11.16

「私」と「君」が「世界」で交差するとき。小金沢智評 林勇気個展「君はいつだって世界の入り口を探していた」

「造船のまち」として栄えた北加賀屋を象徴する旧名村造船所大阪工場跡地にある、クリエイティブセンター大阪。この3フロアすべてを使って大規模なインスタレーションを展開する林勇気個展「君はいつだって世界の入り口を探していた」が行われた。北加賀屋での経験を題材とする映像を中心に、本展をキュレーターの小金沢智がレビューする。

2022.10.4

ミュージアムから先に変われ! 奥脇嵩大評。ジェネラル・ミュージアム「コレクション展『コラージュ、カムフラージュ』、企画展『dis/cover』」

アート・ユーザー・カンファレンスが立ち上げた「あらたな公共圏=ミュージアムを構想・実践するプロジェクト」である「ジェネラル・ミュージアム」。その東京での初めての展覧会が、この夏、「住宅街に面した森」で開催された。青森県立美術館でアート・ユーザー・カンファレンスも参加中の「美術館堆肥化計画」を企画する学芸員の奥脇嵩大がレビューする。

2022.9.18

手渡される語りと忘却。高橋ひかり評「MOTアニュアル2022 私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ」展

毎年、そのテーマ性とキュレーションで注目を集める「MOTアニュアル」。18回目のタイトルは、「 私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ」。大久保あり、工藤春香、高川和也、良知暁、4人のアーティストによる4つの物語は、鑑賞者に何を手渡し、語り継ごうとするのだろうか。高橋ひかりがレビューする。

2022.9.12

民衆が担う版画表現のゆくえ。小笠原正・評 「彫刻刀が刻む戦後日本―2つの民衆版画運動」展

戦後の日本で展開した2つの民衆版画運動、「戦後版画運動」と「教育版画運動」を約400点の豊富な作品と資料を通して紹介する「彫刻刀が刻む戦後日本」展。そこからは、戦後、民衆に働きかけるメディアとして版画が果たしてきた役割の大きさが見えてくる。また、戦前の版画運動・自由画運動を主導した山本鼎からの影響もうかがえる。本展を、山本鼎の研究者でもある上田市立美術館学芸員の小笠原正がレビューする。

2022.9.12

体験の再現性と一回性。中尾拓哉評「平川紀道・野村康生 既知の宇宙|未知なる日常」

島根県浜田市出身の平川紀道と、同益田市出身の野村康生が、生まれ育った島根県西部・石見地域で新作を披露する島根県立石見美術館の2人展「平川紀道・野村康生 既知の宇宙|未知なる日常」。アートとサイエンスの領域をまたぐ活動を行うこのふたりの共演を、美術評論家の中尾拓哉がレビューする。

2022.8.18

荒野で世界が蜂起する。椹木野衣評「生誕100年 松澤宥」展

長野県諏訪郡下諏訪町に生まれ、同地を拠点に制作を続け、日本概念派の旗手となった松澤宥。生誕100年となる2022年2月2日に彼の生涯をたどる回顧展が長野県立美術館で開幕した。初期から晩年にかけての詩作から絵画や立体作品も含めたその全貌を、椹木野衣がレビューする。

2022.8.4

「誰が」そこから見ているのか? 清水穣評 松江泰治「makietaTYO」展

自身が設けたルールに沿って、世界各地の地表を捉える写真作品を手がけてきた松江泰治。東京の都市模型を被写体とした新作展「makietaTYO」がTARO NASUで、「CC」「makieta」の2シリーズを紹介する個展「松江泰治 マキエタCC」が東京都写真美術館にてそれぞれ開催された。地上から撮影した「CC」、空から撮影した「JP-」、そして模型を撮影する「makieta」の手法が露出させる政治的な意味や、眺める主体について清水穣が論じる。

2022.8.3

AI美芸に潜む未知の美意識とは。椹木野衣評「人工知能美学芸術展:美意識のハードプロブレム」

中ザワヒデキや草刈ミカらが中心となり、人工知能(AI)の持つ美意識や創作の可能性を探究している「人工知能美学芸術研究会」(AI美芸研)が、長野・上伊那郡の中川村で「人工知能美学芸術展:美意識のハードプロブレム」を開催した。「アンフォルメル中川美術館」「ハチ博物館」など多様な文脈を持つ会場では、40名弱の作家が展示。本展においてAIの美芸に隠された無意識、つまり他者性はどのように表れていたのか? 椹木野衣がレビューする。

2022.8.2

拡張された展覧会が見せる湾岸都市の姿。中島水緒評 藤倉麻子による物流型展覧会「手前の崖のバンプール」

5月28日、29日の2日間にかけて、アーティスト藤倉麻子が主催する展覧会「手前の崖のバンプール」が東京湾にて開催された。初の物流型展覧会として、参加者に伝えられた指示は事前に送付された材木を所定の目的地まで運輸すること。テーマを「物流・労働・対岸」と掲げ、展覧会の枠組みを大きく超えた本展はいったいどのようなものだったのか? 展覧会での体験を詳細に記述するとともに、本展の可能性について、中島水緒がレビューする

2022.7.22

詩的に調合されたオブジェを「味わう」。中島水緒評 冨樫達彦「Eat Your School, Don’t Do Vegetable」展

トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)による公募プログラム「TOKAS-Emerging 2022」は、4月から6月までの2会期にわたって、選出された6組の作家が個展形式で展示を行うもの。その第1期に参加した冨樫達彦による個展「Eat Your School, Don’t Do Vegetable」は、様々なリサーチをもとにした9つの立体作品からなるインスタレーションを展示。料理と美術の関係を探る作家がつくり出す「味わい」とは?

2022.6.2

「惑星ザムザ」展キュレーター、布施琳太郎からの応答。「最高速度で移動し、喘ぐ『キメラ』──今日の芸術の置かれた状況について」

布施琳太郎によるキュレーションで17名の作家が参加した、製本印刷工場跡地でのグループ展「惑星ザムザ」。批評家・キュレーターの石田裕己によるレビューをはじめ、本展に対して提示された様々な論点について、布施が応答する。

2022.6.2

鑑賞者と芸術がともに思考する作品を求めて。石田裕己評「惑星ザムザ」展

新宿区にある製本印刷工場跡地でひらかれ、連休中の話題をさらったグループ展「惑星ザムザ」は、布施琳太郎によるキュレーションで17名の作家が参加した。「テキスト以前の物質」を出発点とする本展について、問題提起とその先にある可能性を批評家・キュレーターの石田裕己が論じる。

2022.5.15

二枚貝が紡ぐ「繋がり」への希望。岩垂なつき評「荒木悠個展 双殻綱:第二幕」

荒木悠が2017年に無人島プロダクションで開催した個展「Bivalvia: Act I|双殻綱:第一幕」に続く、第二幕となる展覧会「双殻綱:第二幕」(2022年1月29日~2月27日)。左右に分かれている二枚貝のように、「右殻」「左殻」を彷彿させる2つの異なる映像作品で構成したインスタレーションを中心に据えた本展から見えてくる「希望」とは?

2022.4.25

「アートフェア」の解体と更新。黒沢聖覇評 NFTアートフェア「Meta Fair #01」

国内初のNFTアートフェアとして開催された「Meta Fair #01」。リアルとバーチャルの両空間で同時に作品が展示・販売された本フェアは、現代アートの第一線で活躍する21組のアーティストが、NFTの専門家たちと手を組み、ファインアートとしてNFTと向き合うもの。このNFTへの新しい試みについて、キュレーターの黒沢聖覇がレビューする。

2022.4.7

継続や反復がもらたす変動。中島水緒評 戸田祥子/三枝愛「波を掴み、地と歩む手立て」

東京・墨田区にあるオルタナティブスペース「あをば荘」で開催された展覧会「完璧に抗う⽅法 – the case against perfection -」。アーティストの図師雅⼈と藤林悠により企画された本展は、9名と1組のアーティストが隔月で2人展形式の展覧会を行うもの。その第2回として開催された戸田祥子/三枝愛「波を掴み、地と歩む手立て」について、中島水緒がレビューする。

2022.3.30

日本近代彫刻史への問いかけ。金井直評 小田原のどか「近代を彫刻/超克する─雪国青森編」

青森公立大学 国際芸術センター青森 [ACAC]で開催された「近代を彫刻/超克する─雪国青森編」は、彫刻を通して日本近代史やジェンダー、公共性を考える小田原のどかが、青森の野外彫刻をリサーチした成果を個展として発表したもの。日本近代の断層をあらわにする同展を、信州大学人文学部教授・金井直がレビューする。

2022.3.22