REVIEW

「おいしい絵画」に逆らって。清水穣評「サーニャ・カンタロフスキー『After birth』展」

タカ・イシイギャラリーが新スペースを京都にオープン。そこで、モスクワ出身のアーティスト サーニャ・カンタロフスキーによる絵画展「After birth」がこけら落としとして開催された。昨今、現代美術のマーケットにおいてもてはやされる絵画(「おいしい絵画」)からは一線を画すカンタロフスキーの作品について、美術評論家・清水穣がその特徴について論じる。

2023.9.5

ニルヴァーナの岸辺で。椹木野衣評 カタルシスの岸辺「死蔵データGP 2022 –2023」

アーティストが死蔵させてきた映像や画像素材の「量り売り」を、インスタレーションを通じて行ってきたマテリアルショップ「カタルシスの岸辺」。そのような死蔵データをウェブ上で募集し、優勝を決める賞金付きのコンペティション「死蔵データGP(グランプリ)」が東京・有楽町のビルの一角で開催された。同コンペの審査員も務めた美術批評家・椹木野衣が、このプロジェクトの意義について論じるとともに、「死蔵」の在り方について考察する。

2023.9.5

境界を越えて届く版画──監視や対立の扇動を潜り抜けて。町村悠香評「解/拆邊界 亞際木刻版畫實踐(脱境界:インターアジアの木版画実践)」展とシンポジウム

アジア各地の木版画による芸術・文化実践に焦点を当てた「解/拆邊界 亞際木刻版畫實踐(脱境界:インターアジアの木版画実践)」が東京・上野の東京藝術大学大学美術館 陳列館2階で開催された。アジアのアーティストやコレクティブは、「境界」をどのようにとらえ、乗り越えようとしているのか。この11日間の展覧会を町田市立国際版画美術館学芸員の町村悠香がレビューする。

2023.8.12

スイート、ビター、あるいはホープが示される多様な「ホーム」。山本浩貴評「ホーム・スイート・ホーム」

歴史、記憶、アイデンティティ、私たちの居場所、役割などをキーワードに表現された作品群を通じ、私たちにとっての「ホーム」、家そして家族とは何かを浮かび上がらせることを試みる大阪の国立国際美術館で開催中の「ホーム・スイート・ホーム」展(〜9月10日)。本展を文化研究者の山本浩貴がレビューする。

2023.8.10

それが消える前に。岩垂なつき評 堀内悠希「カンタム テレポーテーション」

身の周りの事物や自然界の事象を見つめ、そこに内在する時間や普遍性、偶然と因果を捉えながら、ドローイングや映像を中心に様々な手法で表現してきたアーティスト・堀内悠希。初挑戦となった16mm映像やセラミック作品などを含んだ個展「カンタム テレポーテーション」を、岩垂なつきがレビューする。

2023.6.23

エコロジーとポストコロニアルの問題における「帝国のロジック」。山本浩貴評 アナイス・カレニン「Things named [things]」

親密な関係を持つ「植物」に着目しながら、伝統的な知識体系、神話、アニミズムを取り入れ、歴史や搾取、領土、科学について考察するアーティスト、アナイス・カレニン。6月11日まで東京・根津にあるオルタナティブ・スペース「The 5th Floor」で開催されているアナイスの個展「Things named [things]」を、文化研究者の山本浩貴がレビューする。

2023.6.8

三連星:絵画=彫刻=写真。清水穣評 金氏徹平個展「POOOPOPOO」

多種多様なイメージやオブジェクトをコラージュした彫刻やインスタレーションなどで知られる、金氏徹平の個展「POOOPOPOO」が東京・六本木のYumiko Chiba Associatesで開催された。絵画であり彫刻であり写真である金氏の新作群を、美術評論家・清水穣がアメリカの画家サイ・トゥオンブリを参照点に読み解いていく。

2023.5.25

マネの中の福田美蘭。椹木野衣評「日本の中のマネ 出会い、120年のイメージ」展

画家エドゥアール・マネの日本における受容について考察する展覧会「日本の中のマネ 出会い、120年のイメージ」展が練馬区立美術館で開催された。日本におけるマネ像とは、そして「日本の近代美術」とは。この問いを作家・福田美蘭の作品を通して、美術批評家・椹木野衣が考察する。

2023.5.24

「なんとか」の集合を、「なんとか」見ることの尊さ。小金沢智 評「なむはむだはむ展『かいき!はいせつとし』」

太田市美術館・図書館で開催中の「なむはむだはむ展『かいき!はいせつとし』」。作家・演出家・俳優の岩井秀人、俳優・ダンサーの森山未來、シンガーソングライターの前野健太の3名によって2017年から始動したプロジェクト「なむはむだはむ」に、美術家・彫刻家の金氏徹平も加わり、初めて展覧会としてクリエーションを展開させた展示を、キュレーターの小金沢智がレビューする。

2023.4.4

甲乙つけがたい。長谷川新 評「私はなぜ古谷渉を選んだのか」

京都のHAPSが「公立美術館における障害者等による文化芸術活動を促進させるためのコア人材のコミュニティ形成を軸とした基盤づくり事業」の一環として行った、古谷渉の個展「私はなぜ古谷渉を選んだのか」。滋賀県立美術館館長(ディレクター)の保坂健二朗をゲストキュレーターに、「障害のある人が関わる文化芸術活動を拡張する基盤をつくる本事業の先駆的な取り組み」として開催された本展を、インディペンデント・キュレーターの長谷川新が振り返る。

2023.3.17

同じ距離に置くコト。すぐそばにあるモノ。それを待つヒト(々)。松井茂評「野口里佳 不思議な力」展

写真・映像作品を国内外の展覧会で発表し、国際的にも高い評価を受けている写真家・野口里佳。東京都写真美術館で開催されている「野口里佳 不思議な力」展は、時間や場所も超えていく写真の「不思議な力」が導く展覧会だ。詩人で情報科学芸術大学院大学(IAMAS)准教授の松井茂がレビューする。

2023.1.19

胎動による母体状の超空間。四方幸子評「とうとうたらりたらりらたらりあがりららりとう」

東京・新宿の歌舞伎町にある「新宿歌舞伎町能舞台」で開催された展覧会「とうとうたらりたらりらたらりあがりららりとう」。アーティストの渡辺志桜里が企画とキュレーションを務めた本展では、最古の能の演目『翁』をベースに、飴屋法水や石牟礼道子、ピエール・ユイグなど多彩な作家が集結した。四方幸子がレビューで振り返る。

2022.12.29

オバケだから言えること。塚本麻莉評「原田裕規個展 Shadowing」

今年夏、広島のアートスペース「THE POOL」で開催された原田裕規の個展「Shadowing」。原田がハワイで知り合った日系アメリカ人たちをモデルに制作したデジタルヒューマン/映像作品《Shadowing》を中心とした本展を、高知県立美術館学芸員の塚本麻莉がレビューで振り返る。

2022.12.13

90年の孤独。清水穣評「ゲルハルト・リヒター展」

ドイツの現代アーティスト、ゲルハルト・リヒター。その生誕90年、画業60年を記念した東京初の美術館個展「ゲルハルト・リヒター展」が東京国立近代美術館で開催された。リヒターが長年取り組んできたアウシュヴィッツを描いた大作《ビルケナウ》シリーズを中心に構成された本展を、清水穣がレビューする。

2022.11.16

「私」と「君」が「世界」で交差するとき。小金沢智評 林勇気個展「君はいつだって世界の入り口を探していた」

「造船のまち」として栄えた北加賀屋を象徴する旧名村造船所大阪工場跡地にある、クリエイティブセンター大阪。この3フロアすべてを使って大規模なインスタレーションを展開する林勇気個展「君はいつだって世界の入り口を探していた」が行われた。北加賀屋での経験を題材とする映像を中心に、本展をキュレーターの小金沢智がレビューする。

2022.10.4