《マグダラのマリア》や《バッカス》など、大胆かつ劇的な絵画で知られる画家、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(1571〜1610)。日本では、2016年に過去最大となる展覧会が国立西洋美術館で開催され、当時は約39万人を動員した。
そして19年8月、新たに日本初公開作品を含めた約10点の来日が決定。本展は北海道立近代美術館を皮切りに、名古屋市美術館、あべのハルカス美術館を巡回する。
38歳で生涯を終えたカラヴァッジョの現存作品はわずか60点ほどと言われており、その多くが祭壇画など移動不可能なもの。そんななか本展では、16年のカラヴァッジョ展で見ることのできなかった代表作3点《病めるバッカス》(1594)、《ゴリアテの首を持つダヴィデ》(1610)、《ホロフェルネスの首を斬るユディト》(1599)が来日する。
ミラノからローマに着いてすぐのこの頃、ひどい病気にかかり、回復の途上にあったカラヴァッジョ。不健康な姿が印象的なギリシャ神話の酒の神・バッカスを描いた《病めるバッカス》(1594)は、カラヴァッジョの自画像ではないかと言われている。
カラヴァッジョはもとより気性の荒さで知られていたが、この頃ついに殺人を犯し、罪を逃れ流浪していた。《ゴリアテの首を持つダヴィデ》(1610)は、斬られたゴリアテの首がカラヴァッジョの自画像であるとされている。
そして、斬首の情景をリアルに描いた《ホロフェルネスの首を斬るユディト》(1599)。劇的な明暗表現などの手法は、ルーベンスやラ・トゥール、レンブラントなど17世紀の画家たちにとくに大きな影響を与えることとなった。
そのほかにも本展では《マグダラのマリア》など、東京でも話題を呼んだ作品の数々や、カラヴァッジョに影響を受けた「カラヴァジェスキ」たちの作品も展示。栄光と狂気のあいだで傑作を生み出したカラヴァッジョその人と、自身が切り開いた絵画の新時代を追う。
なお、《病めるバッカス》《ゴリアテの首を持つダヴィデ》《ホロフェルネスの首を斬るユディト》は、それぞれ札幌、名古屋、大阪会場のみの出展となっている。
2019年11月19日追記
大阪会場限定で公開予定だった《ホロフェルネスの首を斬るユディト》は不出品となった。