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珠玉のジュエリーからシリン・ネシャット、移民問題まで。この冬、海外で見るべき展覧会(アメリカ編)

年末年始は海外の美術館を訪れるチャンス。この冬、海外で開催されている展覧会のなかから、編集部が注目する展覧会を地域ごとにピックアップしてお届けする。

シャヴィエラ・シモンズ Sundown(Number Twelve) 2018

「Jewelry for America」(メトロポリタン美術館、ニューヨーク)

ウィリアム・ハーパー(b. 1944)が所有したブローチ “Fabergé’s Twins” 1993

 18世紀初頭から現在までの、アメリカにおけるジュエリーの変遷を見ることができる本展。身に着ける者に魅力と権力を与え、ときにその者を守る役割を担ってきたジュエリー。本展では、メトロポリタン美術館の珠玉の所蔵品を5つの年代に分け展示。植民地時代に欧州から持ち込まれたものから、ネイティブ・アメリカンのサンゴやターコイズを用いたジュエリーを含む各セクションは、ジュエリーのデザイン、材質、技術の変化すべてを社会歴史的文脈に織り込みながら紹介している。

 近年収蔵されたものやめったに展示されることのないコレクションなど、100点以上を展示。

会期:2019年6月10日〜2020年4月5日
会場:メトロポリタン美術館
住所:1000 Fifth Avenue, New York
電話番号:212-535-7710
開館時間:10:00〜17:30(金、土〜21:00)
料金:一般 25ドル / 65歳以上 17ドル / 学生 12ドル / 12歳以下 無料

 

「POPE.L:CHOIR」(ホイットニー美術館、ニューヨーク)

ポープ.L (b. 1955), アーティストスタジオにて「Choir」準備のためのテスト用の水タンクの反映2018年7月3日 ©︎ポープ.L

 ポープ・L(b. 1955)は社会と芸術の本質に向き合うべく多様な表現に挑戦してきたアメリカのアーティスト。パフォーマンス、絵画、インスタレーション、映像、彫刻など多岐にわたる表現方法はジェンダー、人種、共同体に目を向けるもので、公共空間に挑発的に干渉するパフォーマンスでも知られている。

 本展では噴水や公共のアリーナ、そして音楽家ジョン・ケージの音楽と思想にインスパイアされた新作インスタレーション《Choir》を展示。さらに作家が長年にわたって取り組んできた街を這って進むクロールシリーズの新作も初公開。

会期:2019年10月10日〜2020年2月29日
会場:ホイットニー美術館
住所:99 Gansevoort Street New York
電話番号:212-570-3600
開館時間:10:30〜18:00(金〜22:00)
休館日:火
料金:一般 25ドル / 学生、65歳以上、障がい者 18ドル / 18歳以下 無料

 

「Theater of Operations The Gulf Wars 1991–2011」(MoMA PS1、ニューヨーク)

ヤマール ペンジウェニー シリーズ 「Saddam is Here」より

 イラクに対するアメリカの軍事介入をテーマにしたグループ展がニューヨーク近代美術館の別館であるMoMA PS1で開催中だ。1991年の湾岸戦争を起点とした長期間にわたる軍事介入は、10年以上の制裁と2003年のイラク戦争を引き起こした。アメリカによるこの軍事介入はアーティストたちにも大きな影響を与え、2011年以降も、アーティストたちはその対立とインパクトについて思考し表現し続けている。

 本展で展示される作品は、欧米の作家のものからイラクを拠点にするアーティストのものまでも含む250点以上。軍事介入をイメージさせる、バイオレンス、ゼノフォビア、石油依存、そして新帝国主義などの複雑に絡み合った要素が示されている。

会期:2019年11月3日〜2020年3月1日
会場:MoMA PS1
住所:22-25 Jackson Avenue, Queens
電話番号: 718-784-2084
開館時間:12:00〜18:00
休館日:火、水
料金:一般 10ドル / 学生、65歳以上 5ドル / 16歳以下 無料

 

「SHIRIN NESHAT: I WILL GREET THE SUN AGAIN」(ザ・ブロード、ロサンゼルス)

シリン・ネシャット Land of Dreams

 イラン出身アメリカ在住のヴィジュアルアーティスト、シリン・ネシャットの過去最大規模の展覧会がロサンゼルスのザ・ブロードで開催中だ。本展では、約30年間のアーティスト活動のなかで作家が取り組んできた放浪、移住、美とアイデンティティ、詩的優美さなどを作品から垣間見ることができる。

 230点以上の写真と引き込まれるようなヴィデオ・インスタレーションを含む本展。女性の身体を覆うアラビア語が印象的な「Woman of Allahなどの初期の写真シリーズから、一連の写真群とふたつのビデオを含んだ大規模な新作も公開。新作は、2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ、アラブの春、昨今の移民を巡るゼノフォビアなど、グローバルな政治的出来事が色濃く反映されている。

 ネシャットの未発表作品にフィーチャーする本展示では、彼女が公にしてこなかったイランでのポートレイト作品も公開。

会期:2019年10月19日〜2020年2月16日
会場:ザ・ブロード
住所:221 S. Grand Avenue Los Angeles
電話番号:213-232-6200
開館時間:11:00〜17:00(火水)、11:00〜20:00(木金)、10:00〜20:00(土)、10:00〜18:00(日)
休館日:月
料金:一般 20ドル / 学生 12ドル / 17歳以下 無料

 

「When Home Won’t Let You Stay: Migration through Contemporary Art」(ICA ボストン、ボストン)

シャヴィエラ・シモンズ Sundown(Number Twelve) 2018

 移住・移民問題が活発に議論される今日。その目撃者である現代アーティストたちがどのように反応し表現するかが主題となっているのが本展だ。

 カデル・アチア、タニア・ブルゲラ、アイザック・ジュリアンら北南米、ヨーロッパ、アジア、中東、アフリカなどを背景とする20人のアーティストたちの2000年以降の作品が展示される。ペインティング、彫刻、インスタレーション、ビデオなど多様なメディウムを用いた作品から、個人的メモや詩的瞑想が示された作品まで鑑賞することができる。

会期:2019年10月23日〜2020年1月26日
会場:ICA ボストン
住所:25 Harbor Shore Drive Boston
電話番号: 617-478-3100
開館時間:10:00〜17:00(木金〜21:00、第1週の金〜17:00)
休館日:月
料金:一般 15ドル / 60歳以上 13ドル / 学生 10ドル / 17歳以下 無料

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