EXHIBITIONS

さいとうなおき「Respawn地点」

2025.02.28 - 03.21

制作時の円形作品 ©Naoki Saito, Courtesy of the artist and Kaikai Kiki Gallery

 Kaikai Kiki Galleryで、さいとうなおきによる個展「Respawn地点」が開催されている。

 さいとうなおきは1982年山形市生まれ。2005年に多摩美術大学グラフィックデザイン科を卒業。2002年よりイラストレーターとして活動を始め、カードゲームのイラストや、ビデオゲームのキャラクターデザインなどを手がける。2019年にYouTubeアカウントを開設。ユーチューバーとして「イラストの上達法」の発信にも力を入れる。

 主にデジタルでの作画を行ってきたが、2024年3月9日にYoutubeチャンネルで公開した動画「プロ絵師が、お店の壁に落書きしたらどうなる!?」をきっかけに、村上隆がアナログでの絵画制作を打診。そこから数日してKaikai Kiki Galleryでの個展のコンセプトを打ち立て、1作目のアクリル絵画《SAMURAI GIRL 桜 -SAKURA-》が完成した。

 完成した作品は、2024年3月に香港で開催された「Art Basel Hong Kong 2024」で発表され、その後も「Taipei Dangdai 2024」「東京現代2024」「Asia NOW 2024」などと国際的なアートフェアでの新作発表を続けていきた。

 さいとうなおきの作品は、彼の活躍の場のカードゲームやソーシャルゲームの文法に則ったものだ。トレーディングカードの「縦10 対 横7.16」というフレーム内に人物の頭の先からつま先まで配置されていながら、そのキャラクターの頭の部分は大きいという人物配置/構図で、これまでの絵画の歴史には登場しなかった特殊な文法となる。これはさいとう曰く、自身がソーシャルゲームのイラストを手がけてきたなかで生み出した、さいとう独自の特殊な構図であるという。

 本展に向け、さいとうは自身が2021年に発表したNFTの3連作「SAMURAI GIRL」シリーズを起点に、トレーディングカードのフレームを踏襲したアナログ絵画作品の制作を始めた。加えて、円形や正方形のキャンバスを用いた作品も制作。最大サイズの円形作品では、アクリル画に金箔を組み合わせるなど、新しい技法を試みている。

 本展は、2024年3月からスタートし、カイカイキキギャラリーが参加するアートフェアを通じて少しずつお披露目してきたプロジェクトの最大の発表の機会であるとのこと。さいとうなおきが1年間取り組んできた新しいアナログ絵画の世界を見る。