自身の身体感覚で「東京を測っていく」。大岩雄典評 高橋臨太郎個展「スケールヒア」

1991年生まれのアーティスト・高橋臨太郎の個展が東京のBLOCK HOUSEで開催された。自身の身体によって空間に働きかけるパフォーマンスや、映像やインスタレーションなどのメディアに物質や身体の限界までエネルギーを加え、「変化する意識」について思考する作品を発表してきた高橋。渋谷と原宿のあいだにあるギャラリーを会場に、東京という土地を自身の身体感覚で「測っていく」ことをテーマにした本展について、気鋭のアーティスト・大岩雄典がレビューする。

REVIEW

ぶつかりあうアジア各国の「曖昧な私」。佐原しおり評 「ミニマリズム-空間、光、そしてオブジェ」展

ミニマリズムの名を冠した東南アジア初の展覧会として「ミニマリズム - 空間、光、そしてオブジェ」が、シンガポールを代表する2つの美術館、ナショナル・ギャラリー・シンガポールとアートサイエンス・ミュージアムで開催された。ミニマル・アートを代表する作家から再評価されつつある女性作家、そして現代の表現までを取り上げ、ミニマリズムの解釈を拡大させた本展を、埼玉県立近代美術館学芸員の佐原しおりがレビューする。

REVIEW

動画配信サービス上のネットスクール始動。 「カオス*ラウンジの芸術動画」は新たなアートシーンの震源地となるか?

カオス*ラウンジが、動画サービスniconicoの「ニコニコチャンネル」にてアートチャンネル「カオス*ラウンジの芸術動画」を開設。1年単位で構成したカリキュラムを、毎週生放送で配信するインターネットスクールが、本日5月31日よりスタートする。

NEWS / HEADLINE

収益はすべてノートルダム大聖堂の修復に寄付。ガゴシアンが「An Exhibition for Notre-Dame」展を開催

今年4月に発生した火災で尖塔が焼失した、パリを象徴する「ノートルダム大聖堂」に捧げるため、ガゴシアンがパリのギャラリーで「An Exhibition for Notre-Dame」展を開催。会期は6月11日〜7月27日。また本展による収益はすべてノートルダム大聖堂の改装と修復に寄付するという。

NEWS / EXHIBITION

透明感のある日常の風景にやどる気配は、どこからくるのか。大森俊克評「アペルト09 西村有 paragraph」展

山道を走る自動車や郊外の家並み、森のなかを歩く人物など、日常の一断面を描く画家、西村有。どこでもないどこかのような、異世界感をはらむ西村の絵画について、度々論じてきた大森俊克が、金沢21世紀美術館で開催された「アペルト09 西村有 paragraph」を中心に、「地域性」という視点を取り入れ、新たな風景論を展開する。

REVIEW

わずかにひびの入った卵の中に。中村史子評「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ 日本館『Cosmo-Eggs│宇宙の卵』」

第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 日本館のタイトルは「Cosmo-Eggs│宇宙の卵」。秋田公立美術大学大学院准教授の服部浩之がキュレーションを行い、美術家の下道基行、作曲家の安野太郎、人類学者の石倉敏明、建築家の能作文徳という異なる領域の専門家のコレクティブが体験の場をつくることを試みる。下道が数年間リサーチと撮影を続けている「津波石」を起点とする本展を、愛知県美術館学芸員の中村史子がレビューする。

REVIEW

イメージを求め、人と自然の極限を見つめる。冨山由紀子評「志賀理江子 ヒューマン・スプリング」展

宮城県を拠点に、フィールドワークに基づいた写真作品を発表してきた志賀理江子による個展「ヒューマン・スプリング」が東京都写真美術館で開催された。いまを生きる人々の心身の衝動や反動などに焦点をあてた新作写真インスタレーションが提示する問いとは何か。写真研究者の冨山由紀子がレビューする。

REVIEW

ポーラ美術館初、現代美術の展覧会。同館コレクションと共鳴するオリヴァー・ビアやスーザン・フィリップスの作品群をチェック

神奈川・箱根町のポーラ美術館で、開館以来初となる現代美術作家に焦点を当てた展覧会「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」が開催される。本展では、モネやピカソから彫刻、東洋磁器まで多岐にわたる同館のコレクションを、現代の表現とともに紹介。カンディダ・ヘーファー、ヴォルフガング・ティルマンス、磯⾕博史、横溝静など国内外のアーティストが参加する。会期は8月10日〜12月1日。

NEWS / EXHIBITION

全盲の映画監督が「夜の海」で立てる潮騒。 飯岡陸評『ナイトクルージング』

先天性の全盲であるミュージシャン・加藤秀幸の映画制作を追うドキュメンタリー『ナイトクルージング』が、全国順次公開されている。本作の監督を務めた佐々木誠は、視覚障害者と晴眼者が一緒に映画をつくることの暗喩として『ナイトクルージング』というタイトルをつけたという。様々な道具を駆使しながら、加藤とともに映像の手触りを獲得することを試みた同作を、キュレーターの飯岡陸がレビューする。

INSIGHT

美術評論家連盟が「ICC出品作の改変に関する公開質問状」を提出

国際美術評論家連盟の日本支部にあたる美術評論家連盟(会長:南條史生)は5月26日付で、東日本電信電話株式会社とエヌ・ティティ ラーニングシステムズ株式会社に公開質問状を送付。これは、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]で開催された展覧会「オープン・スペース 2018 イン・トランジション」の出品作である吉開菜央の作品《Grand Bouquet/いま いちばん美しいあなたたちへ》への改変とその報道を受けての動きとなる。

NEWS / HEADLINE

スマホ越しに交わされる視線と、その先に見えるもの。越智雄磨評「荒木悠展:LE SOUVENIR DU JAPON ニッポンノミヤゲ」

世界各地での滞在制作を通して、文化の伝播や誤訳、その過程で生じる差異や類似などに着目し、社会・歴史を背景にした映像作品を制作してきた荒木悠。そんな荒木の新作展となる個展が、東京・銀座の資生堂ギャラリーで開催されている。明治期に日本を訪れ、紀行文を残したフランス人作家ピエール・ロティの『秋の日本』と、芥川龍之介の『舞踏会』に着想を得た本展で荒木が見せるものとは? 演劇/ダンス研究者の越智雄磨が読み解く。

REVIEW