現代における「彫刻」を追求し続ける彫刻家。髙山陽介の個展がANOMALYで開催

彫刻家・髙山陽介の個展「ひろば」が、東京・天王洲のANOMALYで開催される。本展では、木彫による頭部、レリーフ、自身をモチーフとした木版画、コラージュといった様々な表現を用いた新作を見ることができる。会期は6月8日~7月6日。

髙山陽介 Untitled(Head#63) 2019 © Yosuke Takayama

 髙山陽介は1980年群馬県生まれの彫刻家。2005年に多摩美術大学美術学部彫刻学科 を卒業後、07年に同大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程を修了した。

 これまで髙山は、「髙山陽介 Under35」(2015、BankART、神奈川)、「中庭」(2016、CAPSULE、東京)、「Unknown Sculpture Series:朝のうた」(2017、gallery21yo-j、東京)といった個展のほか、彫刻をテーマとした様々な企画展に参加してきた。近年は、15年の府中市美術館での公開制作や、19年のアーティスト・イン・レジデンス須崎での滞在制作など活動の幅を広げている。

 伝統的な木造彫刻をベースに、薄い版木を彫ることで生まれる版画や平面性の強いレリーフ作品の制作、台座のあり方を熟考した提示方法など、現代における「彫刻」の概念そのものを追及する髙山。その作品の多くは、日常の描写や人物をモチーフとしたものであり、とくに頭部を模した首像のシリーズは60点にもおよぶという。

© Yosuke Takayama

 3Dプリンターが飛躍的に造形を可能としたいま、対極にあるともいえる髙山の木彫作品。カラフルで奇異な形状をした作品群からは、木片に向かい、切り取り、削り、磨き、傷つけ、執拗に塗料を重ね、滴らせるという髙山の地道な行為と、仏像彫刻をはじめとする彫刻を考察し続けてきた気概がうかがえる。

 東京・天王洲のANOMALYで開催される高山の個展「ひろば」。本展で髙山は、木彫による頭部、レリーフ、自身をモチーフとした木版画、コラージュといった様々な表現を用いた新作を、日常的に人々が遊び集う「ひろば」として展開。

 美術大学において彫刻学科が減少し、彫刻についての再考や再定義が問われる昨今、彫刻そのものと対峙する髙山の作品に深い洞察を得たい。 

編集部

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