2019.5.30

ポーラ美術館初、現代美術の展覧会。同館コレクションと共鳴するオリヴァー・ビアやスーザン・フィリップスの作品群をチェック

神奈川・箱根町のポーラ美術館で、開館以来初となる現代美術作家に焦点を当てた展覧会「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」が開催される。本展では、モネやピカソから彫刻、東洋磁器まで多岐にわたる同館のコレクションを、現代の表現とともに紹介。カンディダ・ヘーファー、ヴォルフガング・ティルマンス、磯⾕博史、横溝静など国内外のアーティストが参加する。会期は8月10日〜12月1日。

オリヴァー・ビア 悪魔たち(部分) 2017 16個の器、音響機器 フォーリンデン美術館蔵(ワッセナー、オランダ)
Image courtesy of the artist and Galerie Thaddaeus Ropac
© Oliver Beer Photo: Stephen White
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 ポーラ美術館で、開館以来初となる現代美術作家に焦点を当てた展覧会「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」が開催される(「アトリウム ギャラリー」を除く)。本展では、モネやピカソから彫刻、東洋磁器まで多岐にわたる同館のコレクションを、現代のアーティストたちの作品とともに紹介する。

 展覧会タイトルの「シンコペーション(切文法)」とは、音楽のリズムを意図的にずらし、楽曲に表情や緊張感を与える手法のこと。本展では、インスタレーション、音、映像、写真、絵画など多様な表現で、過去の巨匠たちの作品に新たな角度から光を当て、様々なリズムを生み出すことを目指す。

セレスト・ブルシエ=ムジュノ クリナメン v.2 2013 ポリ塩化ビニル製シート、ポンプ、加熱装置、陶磁器
Installation view: Centre Pompidou-Metz © Céleste Boursier-Mougenot Photo: Rémi Bertrand

 円形プールの水面を漂うボウルがぶつかり合い、偶発的に音色を奏でるセレスト・ブルシエ=ムジュノの作品は、モネが絵画に書き留めた水面のきらめきと呼応するように展開。これまで音を扱った作品を手がけてきたオリヴァー・ビアは、様々な器の奥に響く「声」をマイクでとらえて音楽を生み出すインスタレーションを同館所蔵の東洋磁器とともに展示する。

スーザン・フィリップス ロング・ゴーン 2006 2チャンネル・サウンド・インスタレーション
Installation view: Aspen Art Museum, 2008 Photo: Susan Philipsz

 また、「PARASOPHIA 京都国際現代芸術祭2015」に参加し話題を呼んだスーザン・フィリップスは、同館の外に広がる「森の遊歩道」で新作インスタレーションを展開。会期中には、箱根での滞在を経て制作された幻想的な音色を聴くことができる。

 加えて本展には、カンディダ・ヘーファー、アリシア・クワデ、ヴォルフガング・ティルマンス、磯⾕博史、渡辺豊、横溝静など国内外のアーティストが数多く参加。同館のコレクションと多彩な作品群の共演を、ぜひ会場で体感してみたい。

アブデルカデル・バンシャンマ 宇宙創生の響き 2018 アクリル/コーティング・シート
Installation view: Collège des Bernardins, Paris Photo: Jean-Mathieu Gautier