3企画を同時開催。都美セレクション グループ展2019に注目

2012年の東京都美術館リニューアルオープンを機にスタートした「都美セレクション グループ展」。今年は公募によって選ばれた3つの企画展が開催。また、同時期に2020年の企画も募集される。

スパイラルでの展示風景より、スクリプカリウ落合安奈《Intersect》(2018) 撮影=川瀬一絵 写真提供=スパイラル/株式会社ワコールアートセンター

「都美セレクション グループ展」は、上野の東京都美術館が2012年にリニューアルオープンしたことをきっかけに誕生した企画公募による展覧会。過去には三瀬夏之介らが手がけた「東北画は可能か?ー地方之国構想博物館ー」(2015)など、様々な視点から企画された展覧会が開催されてきた。

 8回目となる今年は、「星座を想像するように-過去、現在、未来」「彼女たちは叫ぶ、ささやく-ヴァルネラブルな集合体が世界を変える」「ヘテロトピア」の3展覧会を開催。

 「星座を想像するように-過去、現在、未来」では、「カタストロフと美術のちから展」(森美術館)への参加が記憶に新しい平川恒太をはじめ、田中直子、中村亮一、古堅太郎、加茂昂、瀬尾夏美、スクリプカリウ落合安奈ら全7作家が参加。社会という大きな物語の中で、過去の歴史や現代社会に焦点を当ててきたアーティストたちが、展覧会を通した対話を行う。

瀬尾夏美 あたらしいまち 2017 ※参考作品

 アート界におけるジェンダーバランスに注目が集まる現代において、女性や性的マイノリティの声を届けようとするのが、エゴイメ・コレクティヴの「彼女たちは叫ぶ、ささやく-ヴァルネラブルな集合体が世界を変える」だ。本展は「アジアをつなぐ―境界を生きる女たち1984-2012」展(福岡アジア美術館ほか、2012〜13)などを手がけてきたキュレーター・小勝禮子がキュレーション。女性やマイノリティ、ジェンダーについて共通の意識を持った作品をそれぞれが発表し、同じ関心を持つ人々と対話することを目指す。参加作家は、一条美由紀、イトー・ターリ、碓井ゆい、岸かおる、ひらいゆう、松下誠子、綿引展子、カリン・ピサリコヴァ。

岸かおる spare-part 2013 撮影=鹿田義彦

 画家で美術批評家の松浦寿夫が代表を務める「ヘテロトピア」には、松浦のほか伊藤誠、岡田和枝、白井美穂、吉川陽一郎が参加。ミシェル・フーコーがつくり上げた概念である「ヘテロトピア(異在郷)」を、「相互に異質な複数の空間、複数の時間をひとつの場所に並置する」ことと定義。東京都美術館の内部に、もうひとつ別のヘテロトピアを出現させることを目的としている。

左から白井美穂の《From Dusk To Dawn》、《反転波》(ともに2018) 撮影=本城直季 ※参考作品

 なお、次回2020年の「都美セレクション グループ展」の応募締切は2019年7月15日。応募条件はアーティスト3名以上を含むグループなど。詳細は東京都美術館のウェブサイトをチェックしてほしい。

編集部

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