「フリーズ・ソウル2024」が開幕。マーケットの変化を映す挑戦【2/3ページ】

ギャラリーセールスのハイライト

 参加ギャラリーの多くは、今年のフェアに対してポジティブな評価を寄せた。ハウザー&ワースのエグゼクティブ・ディレクター兼パートナーであるジェームス・コックは、「尊敬する美術館のキュレーターや機関との素晴らしい会話を交わし、多くの新しいつながりも築くことができた」と述べ、今年のパフォーマンスが期待を超えたことに満足している様子を見せた。

 同ギャラリーは、韓国での初個展をホアム美術館で開催中のニコラス・パーティの絵画(35万ドル)や、光州ビエンナーレにも出展されるアンベラ・ウェルマンの作品(4万ドル)をはじめ、エイブリー・シンガーの絵画(57万5000ドル)、ヘンリー・テイラーのペインティング(45万ドル)、アンヘル・オテロの作品(28万5000ドル)、キャサリン・グッドマンの絵画(13万5000ドル)、フローラ・ユクノビッチの新作(2万2000ポンド)など、多数の作品を販売したと報告している。

ハウザー&ワースのブースより、左はルイーズ・ブルジョワ《femme》(2003)

 Take Ninagawaは、青木陵子や䑓原蓉子、河井美咲、宮本和子、笹本晃など、女性アーティストを中心にした作品群を展示。初日には笹本の映像作品がアジアの美術機関に収蔵され、ギャラリーオーナーの蜷川敦子は「多くの美術機関の関係者に会えて本当に嬉しい」とコメントしている。

Take Ninagawaのブース

 ソウル市内のギャラリーでマーク・ロスコ李禹煥の2人展を開催し注目を集めているPaceでは、先月末に取り扱いを発表した岡﨑乾二郎の作品3点(1万2000ドル〜8万ドル)をはじめ、ソウルのアートセンター・Space Kで個展を開催しているカイリー・マニングの新作絵画(10万ドル)やロバート・インディアナのブロンズ彫刻(55万ドル)、ロバート・ナヴァの絵画(18万5000ドル)などを販売。また、奈良美智の作品9点も初日に取引された。

Paceのブース

 デイヴィッド・ツヴィルナーは、ゲルハルト・リヒターやロバート・ライマン、フェリックス・ゴンザレス=トレス、ルーカス・アルーダ、フランシス・アリス、オスカー・ムリーニョ、キャサリン・バーンハートなどの作品を初日に販売し、シニア・パートナーのクリストファー・ダメリオは次のようなコメントを寄せている。「フェアは成長を続けており、ソウルはアジアの中で間違いなくこのレベルの国際アートフェアにふさわしい都市のひとつだ。初日は多くの韓国および地域のお客様とお会いでき、素晴らしいスタートを切ることができた」。

デイヴィッド・ツヴィルナーのブース

 BLUMはマーク・グロッチャンの絵画を80万ドルで販売。グロッチャンは今年の秋にBLUM東京で個展も予定されている。また、河鐘賢(ハ・ジョンヒョン)の絵画(39万ドル)や奈良美智の紙作品4点(12万5000〜27万5000ドル)、石川順惠の絵画(3万5000ドル)が売れたほか、浜名一憲(2万ドル)、上田勇児(6000〜7000ドル)、西條茜(2500〜5000ドル)による複数点の陶芸作品も売約済みとなったという。

BLUMのブース

 そのほか、グラッドストーン・ギャラリーは、現在リウム美術館で大型個展を開催しているアニカ・イーの彫刻を20万ドルで販売。リッソン・ギャラリーでは、杉本博司の作品が40万6800ドル、イケムラレイコの絵画が9万ユーロで販売され、ペロタンでは、村上隆の絵画が60万ドル、Mr.の絵画が11万ドルで売れた。NANZUKAではダニエル・アーシャムの絵画が10万〜15万ドルの価格帯で取引された。また、サンフランシスコのJessica Silverman Galleryも好調で、イスタンブール生まれのアーティスト、ハヤル・ポザンティによる油絵が完売したという。

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2024.09.13 - 10.13, 2024.10.15 - 11.09
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