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ゲルハルト・リヒター

Gerhard Richter

 ゲルハルト・リヒターは1932年ドイツ・ドレスデン(旧東ドイツ)生まれ。ドレスデン芸術大学で美術教育を受けるが、西ドイツ旅行中に出合った抽象表現主義に強い影響を受け、61年、ベルリンの壁が建設される半年前にデュッセルドルフへ移住し、現在はケルンを拠点に活動。精密に模写した写真のイメージを微妙にぼかす「フォト・ペインティング」や、カラーチップを配列した幾何学的な絵画「カラーチャート」、グレイのみで展開する「グレイ・ペインティング」、17世紀以降のドイツ・ロマン派を想起させるような風景画、また、鮮烈な色を組み合わせる「アブストラクト・ペインティング」や、スナップ写真の上に油彩やエナメルで描く「オーバー・ペインテッド・フォト」など、60年代から現在に至るまで多彩なシリーズを展開。様々なスタイルを同時期に並行させながら、一貫して「絵画の可能性」を追求し続けている。

 64年にミュンヘンとデュッセルドルフとベルリンで初の個展を開催して以降、第36回ヴェネチア・ビエンナーレ(1972)をはじめ、計6回の「ドクメンタ」など、多数の国際展に参加。第47回ヴェネチア・ビエンナーレ(1997)では金獅子賞、同年に高松宮殿下記念世界文化賞を受賞。2011年から12年にかけて、大回顧展「Panorama」がロンドン、ベルリン、パリを巡回し、13年にはミュンヘンのレンバッハハウスで個展「アトラス」が開催。14年にはバーゼルのバイエラー財団美術館で自ら展示構成を行い、注目を集めた。日本では05年に金沢21世紀美術館とDIC川村記念美術館(千葉)で回顧展を開催したほか、16年には自身初のパーマネントスペースを瀬戸内海の豊島にオープンした。