20余名の現代美術家の作品を通じて様々な「境界」を問う。特別展「ノー・バウンダリーズ」が国立国際美術館で開催へ【2/2ページ】

アリン・ルンジャーン 246247596248914102516 ... そして誰もいなくなった 2017 シングルチャンネル・ヴィデオ(HD、カラー、サウンド) 国立国際美術館蔵 © Arin Rungjang

 タイ・バンコク出身のアリン・ルンジャーンは、映像《246247596248914102516... そして誰もいなくなった》(2017)を通じて、時間と地理的な境界を再構築し、ヒトラーの最後の面会者がタイの民主化革命に関わったメンバーであるという事実を掘り下げている。これにより、歴史的背景と私的経験が交錯する境界の拡張が試みられている。

田島美加 アニマ11 2022 黒ガラス、ブロンズ製ジェットノズル 国立国際美術館蔵 Photo by Charles Benton© Mika Tajima

 日本人の両親を持ち、ロサンゼルスで生まれ現在はニューヨーク在住の田島美加は、ジャンル横断的な制作姿勢を見せている。その「アールダムーブルモン」シリーズや「ネガティブ・エントロピー」シリーズは、環境、社会、テクノロジーをテーマにした作品であり、各々の境界を融解させながら表現されている。

 さらに、ヴォルフガング・ティルマンスヤン・ヴォーなどの作家の作品も紹介され、現代社会における様々な境界の問題が視覚的に提起される。この展覧会は、私たちが日々見過ごしている「境界」を問い直すことで、多様性や共生の価値を再認識する機会を提供するだろう。

 出品作家の一覧は以下の通り:クリスチャン・ボルタンスキーフェリックス・ゴンザレス=トレス廣直高、鎌田友介、マイク・ケリー、キム・ボム、松井智惠三島喜美代、ミヤギフトシ、森村泰昌、アリン・ルンジャーン、カリン・ザンダーシンディ・シャーマン、田島美加、田中功起、ヴォルフガング・ティルマンス、ヤン・ヴォー、エヴェリン・タオチェン・ワン、ミン・ウォン、山城知佳子、やなぎみわ。 ※変更となる場合がある

ヴォルフガング・ティルマンス アストロ・クラスト、a 2012 インクジェットプリント、クリップ 国立国際美術館蔵 © Wolfgang Tillmans
ヤン・ヴォー 無題 2019-20 国立国際美術館蔵
「ヤン・ヴォー ーォヴ・ンヤ」展示風景(国立国際美術館、2020) 撮影=福永一夫 © Danh Vo

編集部

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