フランスで文化予算大幅削減へ。その理由とは?

仏大統領がルーヴル美術館での大規模改修計画を発表した前夜、ラシダ・ダチ文化相が、国民議会での最終採決を待つ今年度の文化予算をふまえた政策に言及。このまま採択されると、とくに影響を被る舞台芸術分野での削減額は1億3000万ユーロ(約210億円)にもなると言われ、同分野の複数の団体から抗議の声が上がっている。混乱する状況を速報する。

文=飯田真実

© Anthony Choren on Unsplash

フランス文化大臣の発表

 2017年に大統領に就任したエマニュエル・マクロン率いるフランスは、昨年の欧州議会選挙で極右政党に敗北し、パリ五輪開幕直前に議会下院を解散、総選挙を行った。その後、与党は大敗こそ免れたが過半数獲得には至らず、左派連合が推す候補を避けた首相の交代劇も続き、いまも2025年度予算閣議が進行中だ。昨年12月23日、中道派のフランソワ・バイルーを中心にした新内閣を発表。今月3日、初閣議が開かれた。文化大臣にはちょうど1年前にその職についたラシダ・ダチが続投することとなった。ダチは政治畑から登用され、司法大臣やパリ7区区長も務めた経歴を持ち、来年のパリ市長選挙にも出馬の意向を見せている。

 ダチ文化相は1月27日夕刻、国立移民史博物館のあるポルト・ドレ宮で、フランスの上院にあたる元老院での審議・採決までを終えた2025年の文化予算をふまえ、その政策方針について文化関係者や記者向けに発表した。会場は、1931年の国際植民地博覧会のために建設されたアール・デコ様式。その特徴的な内装を背景に話すダチ文化相の反対側には、複数の舞台芸術団体の代表者が、災害時に使われる金色の保温シートを体に巻き大臣に背を向けるかたちで強く抗議していた。

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