大阪・中之島の国立国際美術館が昨年度に新収蔵した村上隆の《727 FATMAN LITTLE BOY》(2017)。これを初披露するコレクション展「コレクション1 80/90/00/10」がスタートした。会期は9月10日まで。
日本の公立美術館は作品購入予算は少ない、というのが通説だが、国立は例外だ。国立国際美術館の2022年度購入予算は約7億4000万円で、37点が購入された。その目玉が、村上の絵画作品《727 FATMAN LITTLE BOY》(2017)だ。同館が村上の作品を収蔵するのはこれが初となる。
同作は、村上が1996年以来断続的に制作してきた代表的なシリーズ「727」のうちの1点で、国内に所蔵される村上作品としては最大級のもの。日本に投下された2つの原子爆弾「FATMAN」と「LITTLE BOY」をタイトルに冠するもので、日本とアメリカの関係を主題にした同作。グラフィティを思わせる「727」の文字は、東海道新幹線から見える化粧品会社の看板に由来している。
作品中央には村上の代表的なキャラクターであるDOBくんが日本画様式で描かれた雲に乗り、牙を剥く。村上が提唱する概念「スーパーフラット」を体現する作品だ。
本展では同作にあわせ、村上のサブカルチャーに対するリスペクトが如実に現れた《ポリリズム》(1991)をはじめ、東京国立近代美術館の所蔵および寄託となる村上の初期作品5点も見ることができる。
このほか本展では、世田谷美術館の「デ・ジェンダリズム~回帰する身体」(1997)で展示された来歴を持つ西山美なコの絵画作品「Looking at you」シリーズ(1997)や、乗り物をモチーフにした國府理の初期作品、2010年の個展「束芋 :断面の世代」を機に収蔵した束芋による映像インスタレーション《団断》(2009)、2018年開催の「ニュー・ウェイブ 現代美術の 80年代」展を経て収蔵された中原浩大の絵画インスタレーション《Pine Tree Installation; アトム》(1983)など、約8100点のコレクションから厳選された61点が並ぶ。