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松井智惠

Chie Matsui

 松井智惠は1960年大阪府生まれ、84年京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。80年代より映像、写真、ドローイングなど様々なメディアで構成したインスタレーションを展開し、個人の記憶を想起させるような物語を紡ぐ。80年代末頃は空間に階段や通路などの構造物を配し、鑑賞者の身体的経験を促す作風へと変化。第44回ヴェネチア・ビエンナーレ(1990)、ニューヨーク近代美術館(1997)などの展覧会に出品し、国際的に活動する。

 2000年以降は、ヨハンナ・シュピリの童話『ハイジ』と現代を生きる自身を重ね合わせた映像シリーズ「ハイジ」(2004〜)を制作。インスタレーション、映像作品と並行して、これらの作品と呼応するような絵画やドローイングを描き、11年からはその日に選び取った画材から素描する「一枚さん」シリーズをSNSで継続して発表している。近年の個展に、「青蓮丸、西へ」(MEM、東京、2019)、「Picture-絵の仲間-」(MEM、東京、2017)、「a story-とんがり山」(ギャラリーノマル、大阪、2014〜15)など。グループ展に「道後オンセナート」(2018)、「起点としての80年代」展(金沢21世紀美術館ほか、2019)、「ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代」(国立国際美術館、大阪、2018〜19)などがある。