20余名の現代美術家の作品を通じて様々な「境界」を問う。特別展「ノー・バウンダリーズ」が国立国際美術館で開催へ

国立国際美術館が、特別展「ノー・バウンダリーズ」を2月22日〜6月1日の会期で開催する。現代社会における様々な「境界」をテーマに、国内外の20余名の作家たちによる作品を通じて、私たちの価値観や日常がどのように形成されているのかを可視化するものだ。

ミン・ウォン ライフ・オブ・イミテーション 2009 2チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション(HD、カラー、サウンド) 国立国際美術館蔵 © Ming Wong

 大阪の国立国際美術館で、特別展「ノー・バウンダリーズ」が開催される。会期は2月22日〜6月1日。

 本展は、現代社会における様々な「境界」をテーマに、多様性や共生の新たな価値を国内外の作家たちが提案するものだ。国境や文化、社会的な枠組みなどが私たちの日常にどのように影響を与えているかを可視化し、既存の枠組みを解体することで、新たな視点を提示することを目指す。

 社会には多くのバウンダリーが存在し、物理的な国境や地域の境界から、心理的・文化的・社会的なものまで広がるこれらの枠組みは、私たちの思考や価値観に強く影響を与えている。グローバル化とテクノロジーの発展により、物理的・社会的な境界は変化しているいっぽうで、新たな分断や排除の問題も浮き彫りになっている。アーティストたちは、このような現代社会における境界を越えて、多様な価値観が交錯する場を創出し、私たちが知っている世界の枠を広げる試みを続けている。

 本展では、国立国際美術館が所蔵する20余名の国内外の現代美術作家の作品を通じて、こうした境界を問い直す。シンガポール出身でベルリンを拠点に活動するミン・ウォンの映像作品《ライフ・オブ・イミテーション》(2009)は、ハリウッド映画『イミテーション・オブ・ライフ』に対するオマージュとして、ジェンダーや人種問題をテーマにした作品だ。作品のなかで登場するシンガポールの多民族社会における文化的規範を、ユーモアとともに描き出し、現在のグローバル化された社会における文化的逸脱を示唆している。

エヴェリン・タオチェン・ワン トルコ人女性たちのブラックベリー 2023 キャンバスに油彩、鉛筆、石膏 国立国際美術館蔵 © Evelyn Taocheng Wang

 また、中国・成都出身でオランダ・ロッテルダム在住のエヴェリン・タオチェン・ワンは、伝統的な中国書画と西洋美術の技術を融合させ、ジェンダー問題や植民地史をテーマにした作品を生み出しており、文化と歴史の境界を越えて新たな表現を模索している。

編集部

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