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クリスチャン・ボルタンスキー

Christian Boltanski

 クリスチャン・ボルタンスキーは1944年フランス・パリ生まれ。55年より独学で絵画制作を開始。58年から約10年間、表現主義的な作品を手がける。68年に写真と映像作品の制作を始め、パリのラヌラグ劇場で初個展「クリスチャン・ボルタンスキーの不可能な人生」を開催。72年に初めて参加したドクメンタ5で、生活空間に残された様々なものを並べた《資料陳列ケース》や、中産階級の家族写真をグリッド状に配置した《D家のアルバム、1939-1964》を発表し、自己や他者の記憶を独自の手法で再構成した作品で注目を集める。

 85年、子供の肖像写真と電球を祭壇のように組み合わせた「モニュメント」シリーズの第一作《モニュメント ディジョンの子供たち》を発表。自身の小学生時代のクラス写真を素材とした。87年の《シャス高校の祭壇》では、31年にウィーンの高校に在籍したユダヤ人の学生たちの顔写真を用い、ホロコーストを想起させながらも、定義づけされない普遍的な死を意図したという。2008年より、世界中から心臓音を収集しアーカイヴするプロジェクト「心/心臓のアーカイブ」を継続。10年には大量の衣服を集積させた《ペルソンヌ》を発表し、一貫して、個人・集団の存在と死、記憶をテーマに据える。

 06年、高松宮殿下記念世界文化賞受賞。1990~91年にICA名古屋と水戸芸術館現代美術ギャラリーで日本初個展を行い、大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレや瀬戸内国際芸術祭などにも参加。2016年に、東京都庭園美術館で東京初個展「アニミタス-さざめく亡霊たち」が開催。19〜20年にかけて大回顧展「クリスチャン・ボルタンスキー − Lifetime」が国立国際美術館(大阪)、国立新美術館(東京)、長崎県美術館を巡回。