今週末に見たい展覧会ベスト12。LOVEファッションからロートレック×ソフィ・カルまで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

国際芸術祭「森の芸術祭 晴れの国・岡山」より、ビアンカ・ボンディの展示風景

もうすぐ閉幕

国際芸術祭「森の芸術祭 晴れの国・岡山」

展示風景より、レアンドロ・エルリッヒ《The Nature Above》

 岡山県北の12市町村で、国際芸術祭「森の芸術祭 晴れの国・岡山」が11月24日まで開催されている。会場レポートはこちら

 国際芸術祭「森の芸術祭 晴れの国・岡山」は、12市町村(津山市、高梁市、新見市、真庭市、美作市、新庄村、鏡野町、勝央町、奈義町、西粟倉村、久米南町、美咲町)をエリアとするプロジェクト。森の芸術祭という名称は、温暖な気候、豊かな水や資源、食など、人々が生きるうえでの大切な要素を満たしているこの地域の、自然の恵みや文化、人々が集まる場所としての多様性と豊かさを象徴する「森」からきている。

 本芸術祭は、その「森」がもたらす「恵み」を芸術の力で未来に向けて活性化することを目的とし「本当に必要な資本とは何か」を問いかけるもの。高谷四郎、レアンドロ・エルリッヒ、蜷川実花、アンリ・サラなどがサイトスペシフィックな作品を生み出した。

会期:2024年9月28日〜11月24日
会場:岡山県内の12市町村(津山市、高梁市、新見市、真庭市、美作市、新庄村、鏡野町、勝央町、奈義町、西粟倉村、久米南町、美咲町)
鑑賞パスポート:一般 2500円(前売) 3000円(当日)/ 大学・専門学生 1500円(前売) 2000円(当日)単館鑑賞券:一般・大学生・専門学生 700円

「神戸六甲ミーツ・アート 2024 beyond」

展示風景より、周逸喬《赤と緑の行き違い》

 神戸六甲ミーツ・アートは、神戸・六甲山上で毎年開催される現代アートの芸術祭だ。2010年からこれまでに、延べ520組以上のアーティストが参加。15回目を迎える今回は、名称を「神戸六甲ミーツ・アート 2024 beyond」に改め、神戸を象徴する山、六甲山の自然とアートをより一層楽しむことのできる芸術祭として11月24日まで開催されている。会場レポートはこちら

 会場となるのは、神戸・六甲山上の9会場(ROKKO森の音ミュージアム、六甲高山植物園、六甲ガーデンテラスエリア、六甲ケーブル[六甲ケーブル下駅・山上駅・天覧台]、トレイルエリア、風の教会エリア、六甲有馬ロープウェー 六甲山頂駅、兵庫県立六甲山ビジターセンター[記念碑台]、六甲山サイレンスリゾート[旧六甲山ホテル])。

 今回は「新しい視界 Find new perspectives.」をテーマに、過去最多となる61組が数多くの新作を展開している。

会期:2024年8月24日~11月24日
会場:神戸・六甲山上の9会場
開場時間:10:00~17:00(会場により一部異なる)
料金:[WEB割]ナイトパス付鑑賞パスポート 大人 3900円・小人 1600円 / 鑑賞パスポート 大人 2900円・小人 1100円 / ナイトパス 大人1850円・小人 900円[当日]ナイトパス付鑑賞パスポート 大人 4000円・小人 1700円 / 鑑賞パスポート 大人 3000円・小人 1200円 / ナイトパス 大人 1900円・小人 950円

「LOVEファッション―私を着がえるとき」展(京都国立近代美術館

「ありのままでいたい」の展示風景より

 京都国立近代美術館と京都服飾文化研究財団(KCI)が1980年からほぼ5年に1度開催してきた、ファッションをテーマとした展覧会シリーズ。その9回目のコラボレーションとなる「LOVEファッション―私を着がえるとき」展が閉幕する。会場レポートはこちら

 本展は、KCIの豊富なコレクションから各時代の流行やその時代を象徴する衣装約100点や、帽子、靴などのアクセサリー約20点を「LOVE」(=「着ることの愛」)というテーマで紹介するもの。衣装のほかには、AKI INOMATAヴォルフガング・ティルマンス小谷元彦、笠原恵実子、澤田知子、シルヴィ・フルーリー、原田裕規、松川朋奈、横山奈美といった9名の現代アーティストによる約40点の現代美術作品も並ぶ。

 人間の根源的な欲望を照射するアートとともに、ファッションとの関わりにみられる様々な「LOVE」のかたちについて考える展覧会。人間が服を着ることの意味について再び考えるきっかけとなっている。

会期:2024年9月13日〜11月24日
会場:京都国立近代美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
電話番号:075-761-4111
開館時間:10:00~18:00(金は〜20:00)※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 1700円 / 大学生 1100円 / 高校生 600円 / 中学生以下、心身に障がいのある方と付添者1名 無料

「光琳 国宝『紅白梅図屏風』×重文『風神雷神図屏風』」(MOA美術館

尾形光琳 重文「風神雷神図屏風」 東京国立博物館蔵 Image: TNM Image Archives

 静岡・熱海のMOA美術館で「光琳 国宝『紅白梅図屏風』×重文『風神雷神図屏風』」が11月26日まで開催されている。

 国宝《紅白梅図屏風》は、中央の水流を隔てて紅白の梅樹が対峙する構図で、梅花や水流には意匠的な表現とあいまって光琳の画業の集大成といわれている。重文《風神雷神図屏風》は、光琳が私淑する俵屋宗達の名品を忠実にトレースして描き上げたもので、そのモチーフや構図から国宝「紅白梅図屏風」との関連性が指摘されている。

 本展では、光琳の最晩年に制作されたと考えられる国宝《紅白梅図屏風》と重文《風神雷神図屏風》(東京国立博物館蔵)を39年ぶりに一堂に展示する。そのほか宗達作品の学習から生まれた光琳の名品や所蔵の琳派作品も展示。また、安田靱彦筆《風神雷神図》(遠山記念館)やNHK Eテレ『びじゅチューン!』で知られる井上涼の『風神雷神図屏風デート』など、風神雷神をテーマとする近現代の作品もあわせて紹介している。

会期:2024年11月1日〜26日
会場:MOA美術館
住所:静岡県熱海市桃山町26-2
電話番号:0557-84-2511 
開館時間:9:30〜16:30 ※入館は16:00まで 
料金:一般 1760円 / 高大生 1100円 / 中学生以下無料 / 65歳以上 1540円
※学生、65歳以上は要学生証・身分証明提示

「美しい春画―北斎・歌麿、交歓の競艶―」(細見美術館

展示風景より

 京都の日本美術専門美術館である細見美術館が、「美しい春画―北斎・歌麿、交歓の競艶―」を11月24日まで開催している。会場のレポートはこちら

 春画とは、人間の性愛を描いた絵画を指し、交わる男女の姿がおおらかに、ときにはにユーモアをもって描かれている。この春画は江戸時代には「笑い絵」とも呼ばれ、浮世絵の普及とともに、大名から庶民まで貴賤を問わず、男女対等に楽しまれた。

 本展は、版画・版本の作品に加え、1点ものである絵画作品「肉筆春画」に焦点を当てるもので、約70件を展示。なかでも葛飾北斎の幻の名品とされる《肉筆浪千鳥》は日本の美術館では初公開だ。そのほか、喜多川歌麿の大作や海外から里帰りを果たした作品なども並ぶ。なお、18歳未満は入場できない。

会期:2024年9月7日〜11月24日(前期:9月7日~10月14日、後期:10月16日~11月24日)
会場:細見美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎最勝寺町6-3
電話番号:075-752-5555
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は16:30まで
休館日:月(祝日の場合、翌火曜)
料金:2200円 ※18歳未満は入館禁止

秋季特別展「眷属(けんぞく)」(龍谷ミュージアム)

展示風景より

 京都の龍谷ミュージアムで、秋季特別展「眷属」が11月24日まで開催されている。会場レポートはこちら

 本展は、「眷属(けんぞく)」をテーマとした展覧会だ。眷属とは仏菩薩など信仰の対象となる主尊に付き従う尊格のことで、主尊のまわりを囲むようにあらわされ、仏法を守護したり、主尊を信仰する者に利益を与えたりする役割を担っている。

 本展は龍谷ミュージアムで昨年度開催された特集展示「眷属─ほとけにしたがう仲間たち─」を特別展としてより充実した内容にしたもの。会場には、国宝 十二神将立像のうちの奈良・興福寺にある《安底羅大将立像》をはじめ、国宝2件、重要文化財10件を含む約80件の貴重な文化財が集結。武将や貴人、子供など、眷属たちの多種多様で魅力的な造形に迫る展覧会となっている。

会期:2024年9月21日~11月24日
会場:龍谷大学 龍谷ミュージアム
住所:京都市下京区堀川通正面下る(西本願寺前)
開館時間:10:00~17:00(10月4日・11日・18日・25日~20:00) ※入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、9月23日、10月14日、11月4日は開館)、9月24日、10月15日、11月5日料金:一般 1600円 / 高校・大学生 900円 / 小・中学生 500円

清流の国 文化探訪「南飛騨 Art Discovery」

展示風景より、中﨑透《Red Line/鯉と鶯の場合》 撮影=小林沙友里

 岐阜県下呂市南飛騨健康増進センターおよび周辺一帯で、清流の国 文化探訪「南飛騨 Art Discovery」が11月24日まで開催されている。会場レポートはこちら

 岐阜県は、県南部・美濃地域の濃尾平野に木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)が流れ、県北部・飛騨地域に御嶽山、乗鞍岳、奥穂高岳など、標高3000メートルを超える山々が連なり、県土の約8割は森林が占める自然豊かな土地だ。

 18年前、全国植樹祭が開催された下呂市萩原地区の南飛騨健康増進センター一帯の森林公園で、このエリアの特徴を活かしたサイトスペシフィックなアートとパフォーミングアーツに加え、マルシェとセミナーを展開している。

会期:2024年10月19日~11月24日
会場:岐阜県下呂市南飛騨健康増進センターおよび周辺一帯
住所:岐阜県下呂市萩原町四美1557-3(岐阜県下呂市南飛騨健康増進センター)
開館時間:10:00~16:00
観覧料:一般 1300円 / 高校生 500円 / 中学生以下無料

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