メンテナンスによる長期休館を経て、11月23日に再オープンが決定している三菱一号館美術館。その再開館を記念した展覧会「再開館記念『不在』―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」が同日より開催される。
本展では、同館コレクションの核でもあるアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864〜1901)の作品を改めて展示するとともに、フランスを代表するアーティストのソフィ・カル(1953〜)を招聘し、その創作活動を紹介するものとなる。
カルは、長年にわたり「喪失」や「不在」をテーマに制作活動を行ってきたアーティストだ。いっぽうで、ロートレックは、「不在」と表裏一体の関係にある「存在」について興味深い言葉を残している。
「人間だけが存在する。風景は添え物に過ぎないし、それ以上のものではない。」
会場では、同館のコレクションからロートレックによるポスター32点(バージョン違いを含む)とともに、刷りの異なる2点の《ロイ・フラー嬢》(1893)をはじめとする主要版画作品も公開。さらに、フランス国立図書館から借用した版画作品11点を加えた136点を展示し、ロートレックの作品を「不在」と「存在」の視点からとらえ直す機会を生み出すという。
カルに関しては、2020年にコロナ禍で来日が叶わず中止となったコラボレーション展示が4年の年月を経て実現するかたちとなる。同館のコレクションのなかからオディロン・ルドンの《グラン・ブーケ(大きな花束)》に着想を得て制作し、同館に寄贈した作品が世界初公開されるほか、代表的なシリーズ《なぜなら》《あなたには何が見えますか》《監禁されたピカソ》、《フランク・ゲーリーへのオマージュ》なども展示。「不在」を主題とした多様な創作活動が紹介される予定だ。
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