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美術館が「服」を着替えるとき──金沢21世紀美術館のユニフォームがつなぐ、20年の思想と時代の体現

2024年に開館20周年の節目を迎えた金沢21世紀美術館は、2025年2月、受付や監視スタッフのユニフォームをリニューアルした。歴代ユニフォームの変遷を辿るとともに、新ユニフォームを手がけたCFCLの代表兼クリエイティブディレクター・高橋悠介への取材を通じて最新デザインの背景に迫る。ミュージアムユニフォームというメディアを介して、同館がこの20年で体現しようとしてきた姿勢とはどのようなものなのか。※6月14日24時まで、すべての方に全文お読みいただけます。

文・取材=大橋ひな子(編集部)

金沢21世紀美術館の新ユニフォーム

20周年を記念してリニューアルされたミュージアムユニフォーム

 金沢21世紀美術館が、開館20周年という大きな節目を迎えた。このタイミングに合わせ、2025年2月、同館の受付や監視スタッフが着用するミュージアムユニフォームが全面的にリニューアルされた。

 一般的に、美術館を訪れた来館者が最初に接点を持つのは館内スタッフである。そのため、スタッフが身にまとうユニフォームは、館の第一印象を規定する要素としても機能する。毎日様々な人が訪れる公的な「文化空間」において、スタッフの装いが更新されるということは、たんなる機能面のアップデートにとどまらない。そこには、美術館がその時代においてどのようなメッセージを外部へ発信しようとしているかという、思想的な意図が伴うものだと言える。

 ここでは、20周年を迎えた同館がユニフォームを刷新したプロセスを追いながら、歴代ユニフォームの変遷の比較を通じて、同館がこの20年間、衣服というメディアを用いて提示しようとしてきた「美術館の在り方」を紐解いていく。

ユニフォームは情報発信のツールのひとつ

 同館において、ユニフォームは美術館のビジュアル・アイデンティティを形成し、館のブランディングを外部へ伝えるための情報発信ツールのひとつとして捉えられている。

 しかも、SANAAが手がけた円形の建物は、全面ガラス張りで外からも館内の様子がクリアに見通せる。街を行き交う人々にとっても、そこで働くスタッフの装いは、外から見える「美術館の風景」そのものを構成する大きな要素となる。

 同館の総務部広報課の落合博晃は、ミュージアムユニフォームを、「その時代ごとの美術館のあり方や時代の雰囲気を体現するもの」と表現する。その言葉からは、ユニフォームの刷新は館の姿勢の更新の契機とも捉えられる。それでは、今回で3着目となる同館のユニフォームは、開館以来どのような変遷を辿ってきたのだろうか。