建築も楽しめる全国の美術館・アートスポットBEST35

全国には建築が特徴的な美術館やアートスポットが多数存在する。近年開館した注目の施設から、知る人ぞ知る地方の美術館の名建築まで、ぜひ訪れてみてほしい。※6月1日24時までどなたでも全文お読みいただけます

福岡市美術館 撮影:編集部

北海道・東北

モエレ沼公園

 北海道でまず思い浮かぶアートスポットといえば、彫刻家イサム・ノグチの遺作ともいえる巨大プロジェクトによって生まれたモエレ沼公園だ。東京ドーム約40個分の広大な敷地には、モエレ山、プレイマウンテン、海の噴水などの15の施設が整然と配置され、自然とアートが融合した美しい景観を楽しむことができる。

モエレ沼公園のガラスのピラミッド「HIDAMARI」 撮影:編集部

 なかでもガラスのピラミッド「HIDAMARI」には、イサム・ノグチを紹介するギャラリーやレストラン、ショップなども備わっている。

弘前れんが倉庫美術館

 多くの意欲的な建築を持つ館がそろう青森県だが、まずは2020年に開館した弘前れんが倉庫美術館を取り上げたい。酒造工場として建てられ、戦後にシードル工場として使われていた築100年におよぶ煉瓦倉庫を気鋭の建築家・田根剛が「記憶の継承」をコンセプトに改修設計し、既存の煉瓦壁を可能な限り残しながら耐震補強を施した。シードルの色に着想を得た「シードル・ゴールド」のチタン屋根も、建物の歴史を現在へと接続する象徴となっている。

弘前れんが倉庫美術館  撮影:編集部

 煉瓦倉庫の面影が感じられる空間では、国内外のアート作品を紹介するとともに、弘前市と東北地域の歴史、文化と向き合う同時代の作品も展示している。ミュージアムとともにカフェ・レストランも楽しめる。

青森県立美術館

 同じ県内では、青森県立美術館も印象的な意匠を持つ館だ。青森県出身の美術家・奈良美智による巨大な立体作品《あおもり犬》(2005)《森の子/Miss Forest》(2016)や、マルク・シャガール(1887〜1985)によるバレエ「アレコ」の背景画(1942)は同館の見どころのひとつ。

青森県立美術館 撮影:編集部

 建築設計は、隣接する縄文遺跡・三内丸山遺跡から着想を得た青木淳が担当し、高床建物を思わせる迫力ある造形が魅力的だ。また、シンボルマークやサインはデザイナーの菊地敦己が手がけており、館内のちょっとしたサインの優れた視認性にも注目だ。

十和田市現代美術館

 十和田市現代美術館も青森県内では外せない。妹島和世とともにSANAAを設立した建築家・西沢立衛が設計した同館は、公園のように市街から入ることができる、ガラス張りの開かれた建築が特徴だ。

十和田市現代美術館 撮影:編集部

 草間彌生や塩田千春、奈良美智、ロン・ミュエクら世界で活躍するアーティストによるコミッションワークによって常設コレクションが構成されているのが最大の特徴。個々の展示室は「アートのための家」としてそれぞれ独立した空間となっており、作品とじっくりと対峙することができる。

秋田県立美術館

 1967年に平野政吉コレクションを展観する美術館として開館した秋田県立美術館。その後、2013年に安藤忠雄設計の建物に移転した。

秋田県立美術館のエントランス 写真提供:秋田県立美術館

 秋田の祭りと暮らしを描いた世界最大級の壁画である藤田嗣治《秋田の行事》(1937)をはじめとする平野政吉美術財団のコレクションを中心に展示。千秋公園を望む立地を生かした「ここにしかない魅力のある美術館」をコンセプトとしている。三角形をモチーフとしたエントランスホールや、柱のない螺旋階段、水庭越しに風景を望むラウンジ空間も見どころだ。 

せんだいメディアテーク

 建築家・伊東豊雄の設計による宮城県のせんだいメディアテークは、図書館、ギャラリー、映像メディアセンターなどを複合した文化施設。建物は13本の鉄骨独立シャフト「チューブ」と7枚の鉄骨フラットスラブで構成され、各階で異なる平面計画を可能にしている。

せんだいメディアテーク 写真提供:せんだいメディアテーク

 ガラス張りの外観と、壁に頼らない開放的な内部空間が、情報や人の流れを可視化するような建築となっている。目や耳が不自由な人々への情報提供サービスも積極的に実施し、多様な文化の活動拠点として幅広く利用されている。