関西
京都市京セラ美術館
関西でまず注目したいのは、京都市美術館を大規模改修して2020年にリニューアル開館した京都市京セラ美術館だ。洋風建築に和風の屋根をかぶせた、和洋折衷のいわゆる「帝冠様式」を代表する建築として知られる美術館が、建築家・青木淳、西澤徹夫らの手によって生まれ変わった。

本館中心の旧大陳列室である中央ホールを通り、展示室として機能するようになった南北の回廊や、ガラスの大屋根をかけることで室内化した中庭などには、近代建築の記憶と現代の展示機能が共存している。
アサヒビール大山崎山荘美術館
京都・大山崎にあるアサヒビール大山崎山荘美術館は、関西の実業家・加賀正太郎が大正から昭和にかけて建てた「大山崎山荘」を修復したもの。1996年に、安藤忠雄氏設計の新棟「地中の宝石箱」などを加えて、美術館として開館した。

イギリスのチューダー・ゴシック様式に特徴的な木骨を見せるハーフティンバー方式を取り入れた本館は、館内各所の意匠も注目だ。また2階のテラスからは、桂川、宇治川、木津川の三川が合流する雄大なパノラマを楽しむことができる。また、地中館「地中の宝石箱」は周囲の景観と調和する半地下構造で、円柱形の展示空間にモネ《睡蓮》連作(1907、1914-1917)を常設展示している。本館の歴史的な意匠と安藤建築のコンクリート空間をあわせて楽しめる点が特徴だ。
MIHO MUSEUM
滋賀のMIHO MUSEUMは、パリ・ルーヴル美術館の「ガラスピラミッド」で知られる世界的建築家のI.M.ペイが設計を手がけている。中国・東晋の詩人、陶淵明が漢詩『桃花源記』(421頃)に描いた「桃源郷」の世界をモチーフに、枝垂れ桜の並木道、銀色に輝くトンネル、深い谷を渡る吊り橋を経て美術館棟へと続く。

常設展示としては、同館の南館で、エジプト、西アジア、南アジア、中国・西域と、地域別に4つの展示室が設けられ、日本美術やシルクロードに沿った世界の古代美術のコレクションを展示している。
モリムラ@ミュージアム
大阪・住之江の北加賀屋は、大阪湾にほど近く、かつては多くの造船所があって賑わいを見せた地域。2009年に「北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ構想」がスタートし、アーティストやクリエイターたちの活動拠点となっている。ここにあるのが、平面作品から映像作品まで、美術家・森村泰昌の作品を展示するモリムラ@ミュージアムだ。

歴史上の人物や名画の登場人物に扮するセルフポートレイトで知られる森村の作品世界を、展覧会ごとに異なる構成で見ることができる。それぞれ雰囲気が違う空間となるよう工夫された5つの部屋に加え、千古材バンクから提供された材料を使うなど、古いものと新しいものが融合している。
大阪中之島美術館
大阪からは、構想から約40年という異例の時間を経て2022年に開館した大阪中之島美術館も注目だ。「ブラックキューブ」の外観が目を引くこのミュージアムは、遠藤克彦建築研究所による設計。大きな特徴は、全フロアを貫く巨大な吹き抜け「パッサージュ」だ。パッサージュは、展覧会の入場者だけでなく誰もが訪れることのできる開かれた屋内空間として構想された。

巨大なブラックキューブの内部に、都市の通路のような公共性を組み込んだ建築となっている。館内には展示スペースだけでなく、1〜2階に様々な人が自由に行き来することができるショップやカフェも入居。外観とは裏腹に、開放感あふれるデザインとなっている。



















