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キュレーターとアーティストが選ぶ、ゴールデンウィークに行きたい世界のアート目的地

大型連休の旅先として、いま世界のどこへ向かうべきか。アートを手がかりに都市を読み解く視点から、日本で活躍するキュレーターとアーティスト5名が、それぞれおすすめの海外アート目的地を選出した。現地の最新動向から訪れるべきスポット、滞在の楽しみ方までをガイドする。※4月24日24時まで、すべての方に全文お読みいただけます。

バンコクの景色 撮影=岩田智哉

01. バンコク・タイ 選・文=岩田智哉(キュレーター)

 いままさに、目まぐるしくアートシーンが塗り替えられている都市。それが、タイのバンコクです。2025年末に新しくオープンした国際現代美術館「ディブ・バンコク(Dib Bangkok)」や、国際的に活躍するキュレーターのゾーイ・バット(Zoe Butt)をアーティスティック・ディレクターに起用し、今後オープン予定のタイ大手企業のセントラル・グループ(Central Group)によるアートセンター「deCentral」など、アートシーンのインフラがいままさに音を立てながら変化しています。

 そのいっぽうで、昨年10月に開催された、アマル・カラフがキュレーションした映像作品中心の芸術祭「Ghost 2568: Wish We Were Here」も記憶に新しく、その他実験的でオルタナティブな活動も活発です。また、2018年から開催されている「バンコク・アート・ビエンナーレ」といった国内外のアーティストが一堂に会する芸術祭に加え、Nova ContemporaryやSAC Galleryなど、国際的なアートフェアにも出展するギャラリーもあり、まさに東南アジアのアートシーンのハブとして機能し始めています。

バンコクの野良猫 撮影=筆者

現地で訪れるべき美術館・ギャラリー・エリア

Dib Bangkok

 タイ初の国際現代美術館。コレクターの故ペッチ・オサタヌグラ氏の意志を引き継いで、2025年末にオープンしました。ローカルとグローバルをつなげ、東南アジアから新たなかたちで現代アートを発信していくことを目指しています。現在は、国内外の錚々たるアーティストが名を連ねるオープン記念展「(In)visible Presence」が開催中です(〜8月3日)。

100 Tonson Foundation

 バンコク中心部に位置する、主にタイ出身のアーティストを精力的に紹介する財団。多くの企画にキュレーターが入っており、展覧会を通して国内のアーティストを文脈化していく意志が感じられます。タイのアーティストの実践を知るうえで、欠かせないスペースです。現在は、タイを代表する現代アーティストのひとり、アラヤー・ラートチャムルンスックの個展「Textually」を開催中です(〜5月31日)。

100 Tonson Foundationで開催された「Matrilineal」展(2023年11月30日〜2024年5月26日)の様子 撮影=筆者

STORAGE

 2022年にオープンしたアーティスト・ラン・スペース。少し落ち着いた中心部の西側に位置し、コンクリートの無骨な雰囲気と窓から差し込む外光、そして空間内で存在感を放つガラスのショーケースのような構造が特徴的なスペースです。若手アーティストを中心とした展覧会に加え、イベントや対話など、バンコクのアートシーンのエネルギーに触れられる場所です。

STORAGEの内部 撮影=筆者

滞在の楽しみ方

 バンコクには、BTS(スカイトレイン)やMRT(地下鉄)など電車網が整備されていますが、おすすめはバイクタクシーでの移動です。

 車のタクシーもありますが、バンコクの道路はいつも大渋滞なので、車の間をぬうようにスルスルと進んでくるバイタクはスリリングでそれだけでもワクワクです!

 東西に広がるバンコクのアートシーンは、ビジネス街から文化的な地区まで、エリアごとに雰囲気がまったく異なります。そうした空気の違いやそれと重なり合うアーティストの実践を、バイクの後ろに乗りながら地続きなものとして身体的に直接体験できるのはこの都市の醍醐味かもしれません。

バイタク後部座席からの様子 撮影=筆者
いわた・ともや

1995年愛知県生まれ、キュレーター。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科修了。アジア各地のオルタナティヴ・スペースを訪れ、それぞれのローカルのアートシーンにおけるオルタナティヴとインスティテューションのダイナミズムについてのリサーチを行う。また、自身もそのようなスペースを運営する実践者として、展覧会に限らない広義のキュラトリアル実践を通して、既存のシステムに対するオルタナティヴの可能性を模索する。2022年4月より、キュラトリアル・スペース「The 5th Floor」のディレクターを務める。

編集部

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