INSIGHT - 2019.8.12

一度は泊まりたいアートホテル・旅館5選

ただ宿泊するだけではなく、客室や施設内で美術作品を楽しめるアートホテル。新規オープンが目立つこれらのホテルから注目の5ヶ所を厳選して紹介する。

「板室温泉 大黒屋」より、菅木志雄が手がけた庭

菅木志雄の作品を常時約300点展示する「板室温泉 大黒屋」

外観

 リゾート地として有名な栃木県の那須高原にある「那須温泉」。ここには効能・泉質が異なる7つの湯「那須七湯」があることでも知られるが、創業468年の老舗旅館「板室温泉 大黒屋」ではそのうちひとつを楽しめる。

倉庫美術館

 「保養とアートの宿」をテーマに掲げる旅館敷地内には美術館とギャラリーが併設され、「倉庫美術館」では現代美術作家、菅木志雄の作品を常時約300点展示。そして旅館内にある「大黒屋 サロン」では、現代美術、陶芸、工芸など毎月異なる作家の展覧展が開催されている。8月1日〜8月30日にかけては、自然物を思わせる独特の気配を纏う鉄のオブジェをつくる渡辺遼、金属鋳造によるオブジェや日用品を手がける須田貴世子の二人展を開催し、今後は矢野洋輔、小山厚子、磯谷博史の個展も行われる予定だ。

住所:栃木県那須塩原市板室856
※倉庫美術館の観覧は毎朝10時のツアー時のみ(要予約)

 

宿泊型アートスペース「KYOTO ART HOSTEL kumagusuku」

撮影=大西正一

 「KYOTO ART HOSTEL kumagusuku」は、「展覧会の中に宿泊し、美術を“体験”として味わうための宿泊型のアートスペース」をコンセプトに2015年、京都にオープンした。

 展覧会は年1回のペースで開催され、そのつど宿泊空間はまったく異なる姿へと変貌。これまで澁谷征司、小林耕平と髙橋耕平の二人展、藤本由紀夫らの展覧会が行われ、現在は第5弾として、展覧会「ベアトリス・バルクー x 奥村雄樹:心中熊楠城」が開催中。イベントも随時行っている。

撮影=表恒匡

 dot architectsが設計を手がけたこのホステルは、最大定員8名と小規模ながらも通常の宿泊から1棟貸し切りまで、様々な使い方が可能。ここでしかできない宿泊体験を計画してみてはいかがだろうか。

住所:京都府京都市中京区壬生馬場町37-3

 

アートコレクターの気分を味わえる「node hotel」

ジュニアスイート

 「アートコレクターの住まい」をコンセプトにした宿泊施設「node hotel」が今年7月、京都の中心部である四条烏丸近くにオープンした。同ホテルでは、世界中のギャラリーやアートフェアで購入された作品を、パブリックスペースのみならず客室でも展示している。アーティストのラインナップは、バリー・マッギー、ベルナール・フリズ、五木田智央、大竹伸朗、荒木経惟、井田幸昌など。

1階パブリック・スペース

 アーティストやギャラリーとコラボレーションした展覧会やポップアップストアなどの企画イベントも実施し、その第一弾として、8月2日から21日まで桑田卓郎の作品展示が行われている。

住所:京都市中京区四条西洞院上ル蟷螂山町461

 

創業150周年、登録有形文化財の「西村屋 本館」

外観

 演劇、音楽、ダンス、美術など多彩なジャンルのプログラムを市内で開催するアート祭典「豊岡アートシーズン」の夏会期が開催中(〜9月30日)の兵庫県豊岡市。城崎温泉でも知られるこの地で創業150周年を誇るのが「西村屋 本館」だ。

「平田館」より。吊り橋を思わせる通路も珍しい設計のひとつ

 部屋数は34室。庭を囲むように旅館が建てられているため、各部屋からはそれぞれ違う景色を楽しむことができる。また、数寄屋建築の巨匠・平田雅哉が設計し、1960年に増築された別棟「平田館」は、フランク・ロイド・ライトの影響を受けたというモダンな設計。室内の随所に見られる清新で創意に満ちた意匠が特徴的、いまなお新鮮な印象を放つ。

 館内には魯山人らの作品が飾られる展示室があるほか、至るところに調度品が設置されているため、宿泊の際には館内めぐりもお忘れなく。

住所:兵庫県豊岡市城崎町湯島357-1

 

金沢の文化を汲む場所「KUMU金沢」

フロントカウンター

 全国の中心市街地の遊休不動産にリノベーションを施し、宿泊施設、飲食店、シェアスペース、店舗等で構成する「シェア型複合ホテル」へと再生させる「THE SHARE HOTELS」。全国7ヶ所にホテルを展開するこのプロジェクトから、金沢市の「KUMU金沢 THE SHARE HOTELS」を紹介する。

ジュニアスイート

 「KUMU金沢」は、金沢の文化を未来につなぐサロンとして「金沢の文化を汲む場所」をコンセプトに誕生し、アーティストやミュージシャンらととに、金沢の文化にまつわるコンテンツを発信。ホテル内には華雪、木谷洋、高本敦基、ネルホル、橋本雅也、湯川洋康、中安恵一らの作品が並ぶ。

 金沢21世紀美術館からは徒歩15分ほどの立地にあるため、美術館往訪にあわせての宿泊もおすすめだ。

住所:石川県金沢市上堤町2-40

 このほかにも、PARK HOTEL TOKYO(東京)、BnA Alter Museum(京都)、ベネッセハウス(香川)、そして10月にオープンする「KAGANHOTEL -河岸ホテル-」(京都)など、全国各地にあるアートホテル。芸術祭や美術館で宿泊施設を利用する際には、その候補に入れてみてはいかがだろうか。