MAGAZINE

ヒロシマが掲げた平和を探り直す。 檜山真有評「夏の所蔵作品展 サマーミュージアム 戦後75周年特集」「日常の光−写し出された広島」

現在、広島は「ヒロシマ」が掲げた平和を探り直すように街全体が生まれ変わろうとしている。広島県立美術館では、「夏の所蔵作品展 サマーミュージアム 戦後75周年特集」と「日常の光−写し出された広島」を同時開催。前者では1945年8月6日をめぐる表象を紹介し、後者では戦後から現代へ移り変わるなかでの同県出身の写真家たちの視線をたどった。両展を、キュレーターの檜山真有がレビューする。

REVIEW

地域の物語を個人の物語に育てる作家たちの手つき。「大京都芸術祭 2020 in 京丹後 〜風景泥棒2〜」が開幕

アーティストが地域交流をしながら創作活動を行うことで、地域に文化芸術の場をつくり活性化につなげる京都府のアーティスト・イン・レジデンス事業「京都:Re-Search」。2カ年計画として開催された2019年度の成果展「大京都 2019 in 京丹後 〜風景泥棒〜」に続く2年目のプログラムとして「大京都芸術祭 2020 in 京丹後 〜風景泥棒2〜」が開幕した。

NEWS / REPORT

ポスト資本主義は「新しい」ということを特権としない Vol.1:卯城竜太(Chim↑Pom)

いま必要なのは、「ポスト資本主義」ではなく「ウィズ資本主義」だ──。道具やスペースのシェア、見返りを求めない贈与的な活動、プロジェクトを通じた異なる階層の出会いの創出など、アートはそもそも経済的価値では測れない独自の芸術的価値を生きてきた。ひとつのシステムに「包摂」されない、こうした脱中心的な態度は、経済体制だけでなく、作家活動における「展覧会」の相対化、真に多様なコミュニティへの志向、人間を超えた「サブジェクトの多様化」など、アートの世界にさまざまに現れ始めている。「美術手帖」本誌10月号で「ポスト資本主義とアート」をめぐる対談に臨んだChim↑Pomの卯城竜太が、そこで語ろうとした思考の全容をあらためて綴る。

INSIGHT

ヘルムート・ニュートンを女性の視点で紐解く。ドキュメンタリー映画『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』が12月公開

ファッション写真の世界で女性のみのを取り続けた巨匠、ヘルムート・ニュートン。その作品を、12人の女性の視点から紐解くドキュメンタリー映画『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』が12月11日よりBunkamuraル・シネマ、新宿ピカデリーほかにて全国順次公開される。

NEWS / HEADLINE

松山智一の中国本土初となる個展。「Accountable Nature」が上海の龍美術館西岸館で開催へ

今年7月に新宿駅の東口駅前広場に巨大パブリック・アートを発表し注目を集めたアーティスト・松山智一。その中国本土初となる個展 「Accountable Nature」が、上海の龍美術館西岸館(ロン・ミュージアム・ウエストバンド)で開催される。会期は11月12日〜2021年1月24日。

NEWS / EXHIBITION

オンラインにおける「劇場空間」とは何か? 演劇作家・篠田千明の新作『5×5×5本足の椅子』に注目

演劇作家・篠田千明の新作オンライン・パフォーマンス作品『5×5×5本足の椅子』が、11月22日・23日の2日間限定で公開される。半世紀以上前の作品に新しい解釈を与え、新たな価値を引き出す本作は、「演劇とは何か」を問い続ける篠田の活動を体現する作品となるだろう。

NEWS / EXHIBITION

第11回

裁判所はどのように契約書を解釈したのか? 千住博事件東京地裁判決を読み解く

アーティスト・千住博とWhitestone Galleryを運営する株式会社のあいだで巻き起こった、契約違反に関する裁判。約3年にわたる争いの末、東京地裁は被告である千住博に対して約2億3460万円の支払いを命じた。このケースを、「Art Law」を業務分野として掲げる日本で数少ない弁護士のひとり、木村剛大が読み解く。

テクノロジーで社会を拡張するアートとは。KYOTO STEAM 2020 国際アートコンペティション スタートアップ展 参加アーティスト・市原えつこインタビュー

来年度開催される国際的な文化・芸術の祭典「KYOTO STEAM―世界文化交流祭―2022」。そのコアプログラム「KYOTO STEAM 2022国際アートコンペティション」のスタートアップ事業として、今年度7名のアーティストが企業・研究機関とコラボレーション制作した作品等を展覧するのが、京都市京セラ美術館で開催される「KYOTO STEAM 2020 国際アートコンペティション スタートアップ展」だ。同展に参加するアーティスト・市原えつこに、これまでの活動や、発表する作品について聞いた。

INTERVIEW / PROMOTION

西村有の新作個展「Around October」が東京とパリで開催へ。想像が追いつかない複数の時間を描き出す

画家・西村有の3年ぶりとなる個展「Around October」が、東京・駒込のKAYOKOYUKIで開催される。本展は、パリのCrèvecœurとの2会場同時期開催だ。濃密な色彩とはっきりと区切られた境界線を持つ、より抽象度の高い新作に注目したい。会期は10月24日~11月29日。

NEWS / EXHIBITION

女性アーティストのみ16名を紹介。森美術館で「アナザーエナジー展」が開催へ

世界各地で挑戦を続ける70代以上の女性アーティスト16名の活動に光を当てる展覧会「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」が、森美術館で開催される。各アーティストの実践や人生から、フェミニズム、移民の歴史など世界の問題や事象、そして美術史に対する様々な解釈などを通覧する。会期は2021年4月22日〜9月26日。

NEWS / EXHIBITION