退廃、グロテスク、エロティックな近代日本の表現。「あやしい絵展」(東京国立近代美術館)
明治期に生まれた退廃的、妖艶、グロテスク、エロティックといった「あやしい」表現を紹介する展覧会が東京国立近代美術館で開幕。幕末から昭和初期にかけて制作された絵画や版画、雑誌・書籍の挿図などを集め、時代ごとの多様な作品から「あやしい」表現の変遷を「幕末〜明治」「明治〜大正」「大正末〜昭和」の時代ごとに分かれた3章構成で追う。
1章では幕末〜明治の美術が紹介される。江戸後期から幕末にかけ、絵画、浮世絵、見世物細工にいたるまで、凄惨であったり奇怪であったりといった表現を紹介。2章では明治から大正の表現を5つのキーフレーズで紹介する。そして、3章では、第一次世界大戦期の工業の発展や、関東大震災後のモダン文化の隆盛などによる、大正末から昭和の生活や趣向の変化を反映した表紙絵や挿絵が展示される。
様々な解釈ができる「あやしい」という言葉を軸に、国内美術館のコレクション作品を中心に集め、近代の表現の系譜を楽しみたい。
会期:2021年3月23日〜5月16日
会場:東京国立近代美術館
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜17:00(金土〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし3月29日、5月3日は開館)、5月6日
料金:一般 1800円 / 大学生 1200円 / 高校生 800円
アアルト夫妻のデザインと美術館建築が共鳴。「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」(世田谷美術館)
フィンランドのアルヴァ・アアルト財団と、遺族によるファミリー・コレクションの全面的な協力により実現した展覧会「アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド―建築・デザインの神話」が世田谷美術館で始まった。
有機的なフォルムを持つ家具や「イッタラ」の花瓶などを通じて広く知られるフィンランドのデザイナー、アルヴァ・アアルト(1898〜1976)。いっぽうでその妻アイノ(1894〜1949)の知名度はそこまで高いとは言えないだろう。本展は、アルヴァ・アアルト単独の仕事を紹介するものではなく、互いの才能を認め合い、ともに活動を続けた2人のアアルト──アアルト夫妻の軌跡をたどるもの。
ただ家具を置くのではなく、美術館のなかにリビングルームがあるかのような展示デザインが試みられている。
会期:2021年3月20日~6月20日
会場:世田谷美術館
住所:東京都世田谷区砧公園1-2
電話番号:03-3415-6011
開館時間:10:00~18:00 ※最新情報は公式ウェブサイトにて要確認
休館日:月(5月3日は開館)、5月6日
料金:一般 1200円/ 65歳以上 1000円 / 大学・高校生 800円 / 小中学生 500円 ※日時指定予約制。詳細は公式ウェブサイトへ
23年ぶりのモンドリアン展。「生誕150年記念モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて」(SOMPO美術館)
水平垂直線と赤・青・黄の三原色の平面による「コンポジション」シリーズで広く知られているオランダ出身の画家、ピート・モンドリアン。その日本では23年ぶりとなる展覧会「モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて」が、東京・西新宿のSOMPO美術館で開幕した。
本展は、オランダのデン・ハーグ美術館所蔵のモンドリアン作品50点に加え、国内の美術館から借用したモンドリアン作品と関連作家による作品約20点によって構成。初期のハーグ派様式の風景画から神智学に傾倒した作品、キュビズムの影響を受けた作品、そして晩年の水平垂直線と原色の平面による代表作シリーズなど、多岐にわたる作品を関連作家の作品とともに紹介することで、その制作スタイルの変遷をたどる。
独自の画風を築き、デザインやファッション、建築領域にも多大なを与えたモンドリアン。その「純粋な絵画」を求めた旅路を、ぜひ会場で目撃してほしい。
会期:2021年3月23日〜6月6日
会場:SOMPO美術館
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜18:00
休館日:月(ただし5月3日は開館)
料金:一般 1500円 / 大学生 1100円 / 小中高校生 無料 ※日時指定入場制