東京・代々木上原に新たなギャラリー「HENKYO(ヘンキョー)」が、3月27日にオープンする。こけら落としはアニメをモチーフに絵画制作をする藍嘉比沙耶(あおかびさや)の初個展「ミル ・ クレープ」。
HENKYOのオーナーのサカグチコウヘイは、2015年に鹿児島でギャラリー「NEW ALTERNATIVE」をオープン。17年には出版レーベル「ISI PRESS」をスタートし、同年、デザイナーに服部一成を迎えたZINE SERIES『ISI PRESS』を刊行した。オープンさせるHENKYOでは、IDETATSUHIROより名前を改めたペインター・TIDEが所属作家となる。
サカグチはギャラリーオープンにあたって、次のように語る。「TIDEをマネジメントするなかで、昨今のインスタントなムーブメントやアートカルチャーに対する違和感に愚直に向き合った。そうしたなかで、東京で新しい価値観の追求や創造を提案することに意義を見出した。HENKYOは『辺境』という意味を込めた。あらゆる面から辺境の存在でありながらも、境界線を越えていく何かを発信していきたい」。
こけら落としとして個展を開催する藍嘉比沙耶は、幼少期に親しんだアニメをモチーフにしたアクリル絵具による作品を制作してきた作家で、東京造形大学在学時より精力的にグループショウに参加してきた。本展にあたっては、コロナ禍の1年間ほとんど外出もせず、ひたすらにキャンバスと向き合い続けて個展「ミル ・ クレープ」をつくりあげたという。なお、同展は岡山市の「SUPER BLANK」 と鹿児島市の「FACTORY Gallery」でも同時開催されている。
サカグチはこけら落としに藍嘉比を選んだ理由について次のようにコメント。「昨年2月の五美大展で圧倒的な存在感を放つ藍嘉比と意気投合し、HENKYOでマネジメントをしていくことが決まった。ぜひ、彼女の初個展とHENKYOのグランドオープンをいっしょにやりたいということになった」。
今後、2年ほど先まではすでに展覧会が決まっているという。渋谷近辺では同ギャラリーのほかにも、昨年ミヤシタパーク内に開廊したSAI Galleryや、この3月に松濤に開廊したbiscuit galleryをはじめ、多くのコマーシャルギャラリーがオープンし、コレクターの注目を集めている。今後どのようなキュレーションによって各ギャラリーが個性を出していくのか注視したい。