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「100年先を見据えた東博の覚悟」。新副館長が語る、東京国立博物館が変わろうとする理由

2024年、東京国立博物館(以下、東博)は長期構想「東京国立博物館2038ビジョン」を発表した。本館竣工100周年を迎える2038年を見据え、「日本と世界をつなげる博物館」「みんなが来たくなる博物館」などの将来像を掲げるこの構想は、大きな議論を呼んだ「TOHAKU OPEN PARK PROJECT」の土台にもなっている。また26年4月には副館長体制が従来の1人から3人へと移行した。文化財を守りながら、より多くの人々に開かれた存在へ──。さらに、国が掲げる厳しい収益目標や来館者目標への対応も迫られるなか、東博はいま何を目指そうとしているのか。総務部長を兼任しながら新副館長にも就任した竹之内勝典に、「2038ビジョン」の背景と、その実現に向けた東博の“覚悟”を聞いた。※6月22日24時まで、すべての方に全文お読みいただけます。

聞き手・構成=橋爪勇介(編集部)

4月に新副館長のひとりとなった竹之内勝典 東京国立博物館本館前にて

学芸と事務をつなぎ、複雑化する組織を動かす

──4月に副館長へ就任されました。まずは今回の新体制について教えてください。

竹之内 これまで東博では、館長のもとに副館長が1人という体制でした。しかし今年4月から、副館長は3人体制となりました。学芸系の副館長を1名から2名に増やし、新たに事務系の副館長を置くことになったのです。背景には、博物館に求められる役割の変化があります。

 象徴的だったのが、2022年のICOM(国際博物館会議)プラハ大会で示されたミュージアムの新定義(*1)です。この新定義では、ミュージアムは従来の「収集・保存・展示・研究」だけでなく、博物館は多様な人々が利用する公共空間であり、社会に開かれた存在であることが明確に示されました。東博も当然その流れのなかにあります。24年に当館が発表した「東京国立博物館2038ビジョン」を実現していくためには、組織全体を見渡しながら運営できる態勢が必要になります。そこでガバナンスを強化する意味も含めて、副館長の体制が見直されました。

──竹之内副館長ご自身の役割は。

竹之内 私は総務部長も兼務していますので、事務部門と学芸部門をつなぐ役割を担っています。博物館には、来館者の方々から見えにくい仕事がたくさんあります。展覧会や文化財修復だけではなく、契約、予算、人事、施設管理、外部との連携など、多くの業務が博物館を支えています。そうした活動を可視化し、誰が何を担い、どのような成果を上げているのかを適切に把握し評価していく。それが私の大きな役割です。

 また、学芸部門だけでなく、総務部門も含めた館全体の動きを把握しながら、組織として同じ方向を向いているかを確認することも重要な仕事です。文化財を守り、研究し、公開するという使命は変わりませんが、そのための組織運営はこれまで以上に複雑になっています。だからこそ、ガバナンスを担う役割が必要になっているのです。

*1──ICOMのミュージアムの定義は、1946年に制定されたICOM憲章で初めて制定された。過去6回にわたり改正され、プラハ大会では大幅改正となった。2022年の新定義は次の通り。「博物館は、有形及び無形の遺産を研究、収集、保存、解釈、展示する、社会のための非営利の常設機関である。博物館は一般に公開され、誰もが利用でき、包摂的であって、多様性と持続可能性を育む。倫理的かつ専門性をもってコミュニケーションを図り、コミュニティの参加とともに博物館は活動し、教育、愉しみ、省察と知識共有のための様々な経験を提供する」。

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