葛飾北斎(1760〜1849)の生誕260年を記念し、その代表作である《北斎漫画》《冨嶽三十六景》《富嶽百景》の全頁(ページ)・全点・全図を一堂に展示する特別展「北斎づくし」が、7月より東京ミッドタウン・ホールで開催される。本展は、当初昨年の開催が予定されていたものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため延期。名称も新たに、膨大な北斎作品たちによって埋め尽くされた北斎ワールドが出現する。
本展は、1500冊以上の北斎漫画を所有する浦上蒼穹堂代表・浦上満の全面協力によって、《北斎漫画(初編~15編)》全883頁、《冨嶽三十六景》全46点、『富嶽百景(初編~3編)』全102図を通期で展示するというこれまでにない試み。
とくに《北斎漫画》は全頁を同時に展示するために約500冊を一挙に展示。「北斎漫画の森」ともいえる空間が展示室に出現するという。
また《冨嶽三十六景》では、山口県立萩美術館・浦上記念館が所蔵する「チコチンコレクション」「浦上コレクション」を含む、全46点が通期で展示される。
加えて注目したいのが展示構成だ。会場は、国際的に活動する建築家・ 田根剛(Atelier Tsuyoshi Tane Architects)が設計。展覧会のコンセプトである「尽くし」をテーマに、作品ごとに異なるコンセプトをもつ空間が計画されており、それぞれの作品の魅力を最大限に引き出し、体感できる空間となるという。田根は本展について、「北斎とレオナルド・ダ・ヴィンチこそが、人類史上で生きとし生けるものを描きつくし、そしてその画に生命を宿し、動きを与えたいと神に願った執念にこそ、時代を超えて世界中のひとびとに驚きと喜びを与えてくれる」とコメントしている。
なお同展キービジュアルおよび北斎の世界観を表現する会場グラフィックは、『北斎漫画』(青幻舎)などのブックデザインをはじめ、展覧会のアートディレクションやグラフィックを数多く手掛ける、祖父江慎が担当。展示解説は日本美術を主な領域とするライター・エディターで永青文庫副館長の橋本麻里が手がける。