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なぜ東博はいま、レストランを刷新するのか? 「鑑賞の余韻」を食で味わう新空間を訪ねて【3/4ページ】

法隆寺宝物館で「鮨会席」 

 今回のリニューアルでもっとも意外性があるのが、9月30日に法隆寺宝物館1階で開業予定の「鮨会席 おく乃」だ。

 法隆寺宝物館は、法隆寺から皇室に献納された宝物を保存・展示する施設として1964年に開館した。その後、保存機能をさらに高めるとともに、作品を広く一般公開することを目的として、1999年に谷口吉生設計による新宝物館が開館した。大きなガラス面、水盤、細い柱と水平線によって構成される建築は、東京国立博物館の現代建築のなかでもとりわけ評価が高く、日本建築学会賞も受賞している。

 その一角につくられる「おく乃」は、「博物館の奥に佇む上質な和空間。匠の寿司と旬の食」がコンセプト。産地直送の食材や旬の味覚による会席料理と、職人が握る寿司が組み合わされる。カウンター8席と8席の個室1室という小規模なつくりで、昼営業に加え、予約制の夜の部も設けられる予定だ。

 ここで注目したいのは、「夜の東京国立博物館」という体験が生まれることだ。法隆寺宝物館は、日中には水盤が周囲の光や緑を映し込み、展示室へ向かうまでのアプローチそのものが印象的な建築である。その空間が夜にはどのような表情を見せるのか。展示を見る場所としてだけでなく、食事のためにこの建築を訪れるという、新しい使われ方も生まれることになる。

編集部