佐久島アートプロジェクト(愛知県・佐久島)
愛知県の三河湾のほぼ中央に浮かぶ佐久島(さくしま)は、知多半島と渥美半島に囲まれた豊かな海域に位置する人口数百人規模の小さな島だ。古くから沿岸漁業や黒壁の集落が形成され、その伝統的な漁村の景観を厳しい潮風から守ってきた。しかし、昭和末期から平成にかけて島の過疎化と観光客の減少が進み、島の活力を維持するための新たな地域振興策が求められるようになる。そこで注目されたのが、島の自然や集落景観をそのまま生かす現代美術による地域活性化事業であった。
1996年から本格化した「佐久島アートプロジェクト」は、美術館・博物館ではないものの、ぜひ紹介したいものだ。日本の離島における「アートによる島づくり」の先駆けとして知られており、島内の既存の景観や自然構造を壊すことなく、集落の路地、海岸線、森のなかに現代美術作品を設置する試みが進められた。たんに作品を展示するだけでなく、島民との協働や地域資源の再発見を重視したプロジェクトであり、島全体をひとつの大きな空間展示フィールドへと変貌させた。これにより、全国から若い世代を中心に多くの来訪者が訪れるようになった。

現在、島内には20点以上の常設作品が点在している。代表的な作品である建築家・南川祐輝による「おひるねハウス」は、海岸沿いに設置された黒い木造の格子状建築であり、来訪者がサイコロ状の空間に入って波音を聞きながら海を眺める体験型作品である。また、対をなす白い「イーストハウス」や、集落の黒壁をモチーフにした作品など、島の色彩や風土と調和した作品群が配置されている。来訪者は徒歩やレンタサイクルで島を回遊しながら、美術作品と島の自然環境を同時に観賞することができる。
住所:愛知県西尾市一色町佐久島
開館時間:散策自由(室内施設は各時間に準ずる)
休館日:無休(室内施設は月曜休館あり)
観覧料:無料
アクセス:一色港より市営渡船で約20分(東港・西港着)
兵庫県淡路島の中央東部に位置する洲本市は、戦国時代から江戸時代にかけて由良城や洲本城の城下町として整備され、蜂須賀家の陣屋町として淡路島の政治・経済の中心地であり続けた。近代以降は紡績産業で発展し、島内各所と結ぶ交通の要所として機能してきた。洲本城跡(三熊山)の麓に位置するこのエリアは、石垣や堀などの城郭遺構が残り、淡路島の重層的な歴史遺産と武家文化、商人文化が濃密に蓄積された地域である。
この歴史的環境に建てられた「洲本市立淡路文化史料館」は、淡路島全体の歴史、民俗、考古、美術工芸資料を網羅的に収蔵・展示する総合博物館だ。洲本城の旧大手門近くに位置し、水堀に囲まれた重厚な佇まいを見せる同館は、古代の国生み神話から、近世の徳島藩政下の暮らし、近代の産業発展に至るまで、淡路島が歩んできた文化的な足跡を検証・保存するための基幹施設として機能している。
館内はテーマごとに展示室が区分され、国の指定重要有形民俗文化財である「淡路人形浄瑠璃」の人形頭(かしら)や衣裳、道具類が充実して展示されている。また、淡路島特有の地質・化石資料、国生み神話に関する考古出土品、江戸期に焼かれた幻の陶磁器「民平焼(みんぺい焼)」の格調高いコレクションや、地元ゆかりの画家の絵画作品も収蔵されている。淡路島の歴史と美意識の双方を体系的に学べる展示構成となっている。
住所:兵庫県洲本市山手1-1-50
開館時間:9:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(祝日の場合は翌日)、年末年始
観覧料:大人 500円
アクセス:洲本バスセンターから徒歩約10分
直島新美術館(香川県・直島)
直島は、地中美術館やベネッセハウスをはじめとする多様な文化拠点が自然景観の中に溶け込み、地域社会と現代アートが共生する試みを数十年にわたり継続してきた。単に作品を展示する場にとどまらず、建築空間、島民の生活史、瀬戸内海の豊かな風土が重なり合う独自の鑑賞体験をつくり出してきた。この継続的な芸術活動は、直島をアートの現場として世界的に有名にしたことは多くの人が知るところだろう。

「直島新美術館」は、直島におけるアートのさらなる発展と多種多様な人々が出会う交流拠点として開館した美術館だ。施設は、これまで直島で数々の施設を手掛けてきた安藤忠雄が設計を担当したベネッセアートサイト直島における10棟目の建築である。黒い外壁の建造物は、周囲の集落や緑豊かな景観に配慮した設計となっており、直島のアートの歴史に新たな展示と対話の軸線を加える役割を担っている。
館内には、アジア圏をはじめとする現代美術作家たちの力強い作品群や、特定の空間のために制作されたサイトスペシフィックな作品が展示されている。
住所:香川県香川郡直島町3299-73
開館時間:10:00〜16:30 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(祝日の場合は翌日)
観覧料:1500円〜
アクセス:宮浦港より町営バスで「桃山」下車徒歩圏内
地中美術館(香川県・直島)
2004年に開館した「地中美術館」。設計を手掛けた建築家・安藤忠雄は、瀬戸内海の国立公園の景観を損なわないよう、建物の大部分を地中に埋設する構造を選択した。地上からはスクエア状のコンクリートの開口部のみが見える設計でありながら、地中深くにコンクリートの幾何学的な展示空間が広がっている。建物の存在自体を景観の中に潜ませつつ、内部には驚くほど豊かな光の空間が作り出されている。

館内には、クロード・モネ、ウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレルの3人の作家の作品が恒久設置されている。展示室にはいっさいの人工照明が設置されておらず、天井部の開口から降り注ぐ自然光のみで作品を鑑賞する仕様だ。モネの「睡蓮」シリーズ5点が展示された空間では、白い大理石の床と自然光が調和し、刻一刻と移り変わる外光によって絵画の表情が繊細に変化する。作品、建築空間、そして自然光が不可分に結びついた、高度な空間体験を提供する施設となっている。
住所:香川県香川郡直島町3449-1
開館時間:10:00〜17:00(入館は閉館の60分前)
休館日:月(祝日の場合は翌日)
観覧料:2500円〜 / 15歳以下無料
アクセス:宮浦港より町営バスで約15分、「つつじ荘」にて場内シャトルバス乗り換え
李禹煥美術館(香川県・直島)
2010年に直島に開館した「李禹煥美術館」は、東洋と西洋の思想を融合させた表現で国際的に高く評価される美術家・李禹煥(1936〜)と、建築家・安藤忠雄の協働によって誕生した個人美術館だ。谷あいに位置する同館は、半地下構造のコンクリート建築と広大な野外広場から構成されている。地形と建造物、そして美術作品が一体となり、鑑賞者に対して静寂のなかで思索を深めるための空間装置として機能している。

館内および屋外広場には、1970年代から現在に至る李禹煥の絵画・彫刻作品が系統的に展示されている。未加工の大きな自然石と工業製品である鉄板を組み合わせた代表的彫刻シリーズ「関係項」や、無限の広がりを感じさせるキャンバス上の点と線による絵画作品が並ぶ無駄を削ぎ落とした静謐な建築空間において、作品と鑑賞者との対話の場が提示されている。
住所:香川県香川郡直島町字倉浦1390
開館時間:10:00〜17:00(最終入館16:30)
休館日:月(祝日の場合は翌日、ベネッセアートサイト直島の開館カレンダーに準ずる)
観覧料:1200円〜
アクセス:宮浦港より町営バスで「つつじ荘」へ、場内無料シャトルバスに乗り換え
犬島精錬所美術館(岡山県・犬島)
犬島(いぬじま)は、岡山市東区の宝伝港から船で約10分、宝伝沖の瀬戸内海に浮かぶ人口数十人の小さな離島だ。かつては高品質な花崗岩(犬島石)の産地として江戸城の石垣や大阪港建設に石材を供給したほか、明治末期の1909年には大規模な銅の製錬所が建設され、当時は数千人規模の労働者が活気あるコミュニティを形成していた。しかし、銅価格の暴落に伴い製錬所はわずか10年ほどで操業を停止し、島には赤レンガの煙突やカラミレンガの製錬所遺構だけが残された。人口流出と高齢化が進み、静けさに包まれていた島は、2000年代以降のアートプロジェクトによって大きな変容を遂げることとなった。
この銅製錬所の遺構を保存・再生し、2008年に開館したのが「犬島精錬所美術館」だ。プロジェクトは「あるものを活かし、無いものを創る」をコンセプトに掲げ、建築家の三分一博志とアーティストの柳幸典によってつくられた。かつての産業化遺産の歴史的記憶を継承しながら、自然エネルギー(地熱、太陽光、風力)のみを活用して館内環境を制御する環境配慮型建築を構築し、過疎化が進む離島における新たな文化の提示を行った。

美術館の内部空間は、三分一博志が設計した自然通気システムを持つ長い暗闇の回廊と、そこに配された柳幸典の現代美術作品によって構成されている。展示作品は、昭和の文学者・三島由紀夫が住んだ解体家屋の部材を組み替えて空中に吊り下げたインスタレーションや、日本の近代化・ナショナリズムを問う作品で構成される。鏡と自然光の効果によって回廊の先に見える作品が刻々と表情を変えるなど、近代化遺構のテクスチャー、環境建築の機能、そして鋭い批評性を持つ作品群が一体となった高度な鑑賞体験を提供している。
住所:岡山県岡山市東区犬島327-4
開館時間:10:00〜16:30(最終入館16:00)
休館日:火~木(3月~11月末)/ 全日(12月~2月末)
観覧料:鑑賞チケット 2100円〜(犬島「家プロジェクト」と共通)
アクセス:宝伝港より定期船で約10分 / 直島・豊島からの高速船あり
豊島美術館(香川県・豊島)
豊島(てしま)は、直島と小豆島の間に位置する豊かで穏やかな離島だ。島の中央にそびえる唐櫃山(からとやま)からの豊富な湧き水に恵まれ、古くから稲作や酪農が盛んな「豊かに実る島」として知られてきた。しかし、1970年代から80年代にかけて産業廃棄物の不法投棄事件(豊島事件)が発生し、島民は長年にわたる過酷な公害反対運動と原状回復闘争を余儀なくされた。痛ましい歴史を乗り越えた豊島は、豊かな島本来の風土を取り戻す道のりを歩んでいる。
2010年の第1回瀬戸内国際芸術祭に合わせて開館した「豊島美術館」は、この豊島の自然環境と結びついた現代美術施設だ。敷地は唐櫃地区の休耕田となっていた棚田を再耕作・再生させた斜面に位置し、瀬戸内海を見下ろす圧倒的なロケーションを誇る。建築家の西沢立衛(SANAA)とアーティストの内藤礼の協働によって誕生したこの美術館は、従来の「作品を飾る箱としての美術館」の概念を根底から覆す空間装置となっている。

水滴のようなフォルムをした白いコンクリート・シェル構造の建物には柱が1本もなく、内部は広大なワンルームとなっている。天井の2箇所の大きな開口部からは、外部の風、光、雨、羽ばたく鳥がそのまま内部へと入り込む。コンクリート床の無数の小さな穴からは、地中から地下水が水滴となって湧き出し、風に押されて滑り、大きな水たまりを形成する内藤礼の作品『母型』が展開されている。来訪者は靴を脱いで空間に入り、床に座り込んで水滴の動きや自然の音に耳を澄ませることとなり、自然環境の微細な変化を体感する場を提供している。
住所:香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃607
開館時間:10:00〜17:00(3月~9月末)/ 10:00~16:00(10月~2月末)
休館日:火(3月~11月末)/ 火~木(12月~2月末)
観覧料:1800円〜 / 15歳以下無料
アクセス:家浦港からシャトルバスで約20分「豊島美術館前」下車
豊島横尾館(香川県・豊島)
豊島の家浦集落の古民家3棟を改築して2013年に開館した「豊島横尾館」は、美術家・横尾忠則(1936〜)と建築家・永山祐子(1975〜)の協働による美術館だ。集落の路地に馴染む黒い焼き杉の板塀で囲まれた建物の内部には、鮮烈な色彩と幾何学的構造が広がる。既存の集落景観を保ちながら、建築空間そのものを横尾の芸術世界へと変容させた展示施設であり、生と死、日常と非日常の境界を再定義する野心的な試みとなっている。

敷地内は「母屋」「倉庫」「納屋」の3棟と、庭園、円筒形の塔で構成されている。赤いガラスや鏡が多用された館内には、横尾の平面作品や立体作品が展示され、床下のガラス越しには色鮮やかな錦鯉が泳ぐ池が見える仕様。庭園には赤い塗料が施された溶岩石が敷き詰められ、高さ約14メートルの塔の内部には無数の生と死のイメージが張り巡らされたインスタレーションが展開される。迷宮のような空間を巡ることで、横尾忠則の爆発的なエネルギーと深い精神世界に没入する体験空間となっている。
住所:香川県小豆郡土庄町豊島家浦2359
開館時間:10:00〜17:00(10月〜2月は16:00まで)
休館日:火(祝日の場合は翌日)、12月1日〜2月末日は火〜木
観覧料:600円 / 15歳以下無料
アクセス:家浦港より徒歩約5分
平山郁夫美術館(広島県・生口島)
生口島(いくちじま)は、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ「しまなみ海道」の中央部に位置する島だ。温暖な瀬戸内海式気候に恵まれ、日本一の生産量を誇るレモンをはじめとする柑橘類の栽培が盛んであり、また古くから瀬戸内航路の拠点・瀬戸田港を中心に発展し、海上交通や貿易の要衝として豊かな経済・文化基盤を蓄積してきた。この瀬戸田の明るい風土と瀬戸内の穏やかな海景は、ここで生まれ育った多くの文化人に深い影響を与えたことで知られている。
この生口島出身の日本画家・平山郁夫(1930〜2009)の画業と生涯を顕彰するために設立されたのが「平山郁夫美術館」だ。平山は15歳の時に広島市で被爆し、原爆後遺症の苦しみのなかで「平和への祈り」をテーマに仏教伝来の道であるシルクロードを繰り返し取材し描いたことで知られる。同館は、平山が育った瀬戸田の原風景が彼の芸術の原点であるという思想のもと、ふるさと生口島に建てられた美術館であり、地域の文化的なシンボルとなっている。

館内は3つの展示室から構成され、平山郁夫の初期作品から最晩年の大作までが体系的に収蔵・展示されている。圧巻は、平山が5歳の頃に描いた幼少期のスケッチや少年時代の精密なデッサン群であり、絵画の才能の萌芽を克明に辿ることができる。また、敦煌やパルミラなどシルクロード各地の遺跡を描いた迫力ある大作や、平和を祈念した日本画作品が広々とした展示空間で公開されている。落ち着いた日本庭園やロビー空間を備え、日本画の繊細な質感と巨匠の生涯にじっくりと思いを馳せることができる館だ。
住所:広島県尾道市瀬戸田町沢200-2
開館時間:9:00〜17:00(最終入館16:30)
休館日:無休(展示替え臨時休業あり)
観覧料:一般 1000円(展覧会によって変動あり)
アクセス:生口島北ICより車で約13分 / 瀬戸田港より徒歩約10分
大三島美術館(愛媛県・大三島)
大三島(おおみしま)は、愛媛県最北端に位置するしまなみ海道沿いで最大面積を持つ、今治市の島だ。島内には日本全国の山塩の神・武家の守護神として信仰を集めた「大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)」が座鎮する。大山祇神社の宝物館には国宝・重要文化財に指定された日本の甲冑・刀剣類の約8割が集中して収蔵されており、島全体が重厚な歴史と静謐な神気に満ちている。近代以降もこの豊かな自然と歴史的文脈が保たれてきた。

大山祇神社の参道近くに位置する「大三島美術館」は、1986年に開館した今治市立の美術館だ。歴史的な格式を持つ神社の門前町にふさわしい、日本建築の伝統様式を取り入れた落ち着いたデザインが特徴である。大三島町が文化的な島づくりを進めるなかで建設されたこの美術館は、現代日本画の作家たちの作品を中心に収蔵・展示する専門性の高い展示拠点として機能している。
館内には、田渕俊夫、中島千波、竹内浩一、手塚雄二といった日本画家たちの作品が多数収蔵されている。屏風絵や大画幅の作品を鑑賞しやすいよう、天井が高くゆったりとした展示室と、作品の色彩を鮮明に浮き上がらせる照明演出が施されている。四季折々の花鳥風月や風景を描いた現代日本画の精華を静かな環境でじっくり鑑賞することができる。近年周辺にオープンした現代彫刻の展示施設(ところミュージアム等)と合わせて、島の芸術巡りの重要ルートを形成している。
住所:愛媛県今治市大三島町宮浦917
開館時間:9:00〜17:00
休館日:月(祝日の場合は翌日・12月29日〜1月3日)
観覧料:一般 520円
アクセス:大三島ICより車で約15分 / バス「大山祇神社前」下車徒歩約3分
今治市村上三島記念館(愛媛県・大三島)
「今治市村上三島記念館」は、大三島(旧上浦町)出身で文化勲章受章者である日本書道界の巨匠・村上三島(むらかみ さんとう、1912〜2005)の偉業を顕彰するために1990年に開館した美術館だ。三島は明末清初の書家・王鐸(おうたく)の書風を研究し、雄渾かつ躍動感あふれる独自の草書体・行書体を確立して日本の現代書道界を牽引した。同館は大三島の美しい海を臨む高台に位置し、書道専門の美術館として現代書芸の魅力を可視化する重要拠点となっている。

館内には村上三島から寄贈された代表作や初期作品をはじめ、三島が収集した中国古代の硯・墨・印章といった貴重な文房古玩コレクションが収蔵・展示されている。また、全国の著名書家から寄託された現代書道作品や、作品制作を行ったアトリエの再現空間も配置されている。白と黒の墨線が織りなす空間美と、瀬戸内海の穏やかな景色が見事に調和しており、日本の書芸術の到達点と、島が育んだ巨匠の情熱をじっくり堪能できる構成となっている。
住所:愛媛県今治市上浦町井口750
開館時間:9:00〜17:00
休館日:月(祝日の場合は翌日・12/29〜1/3)
観覧料:一般 520円 / 学生 260円
アクセス:大三島ICより車で約5分 / バス「大三島BS」より徒歩約15分
今治市伊東豊雄建築ミュージアム(愛媛県・大三島)
同じく大三島にある「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」は、国際的に高い評価を得る世界的な建築家・伊東豊雄(1941〜)の業績を顕彰し、建築と地域の未来を思考する拠点として2011年に開館した。日本初の建築家個展ミュージアムである同館は、かつて果樹園であった岬の斜面に位置する。伊東自身の設計による黒い多面体構造の展示棟「スティールハット」と、旧自邸(恵比寿の家)を移築・再生させた木造の教育・研究拠点「シルバーハット」という対照的な2棟で構成されており、建造物自体が巨大な展示作品となっている。

館内(スティールハット)は、直線や直角を極力排した空間となっており、壁面自体が斜めに傾斜する無柱のワンルーム空間で伊東の過去の建築思想やプロジェクトのドローイング、模型群が常設・企画展示されている。一方、屋外の芝生広場には建築や家具のプロトタイプが配置され、来訪者は瀬戸内海の潮風を感じながら自由に触れ、佇むことができる。建築という営みが都市のみならず島の自然や地域社会とどのように対話し共生し得るかを、空間体験を通じて提示する建築芸術となっている。
住所:愛媛県今治市大三島町浦戸2418
開館時間:9:00〜17:00
休館日: 月(祝日の場合は翌日・12/29〜1/3)
観覧料:一般 840円 / 学生 420円(ところミュージアム等との共通券あり)
アクセス:大三島ICより車で約20分 / バス「宗方」下車徒歩約20分
































