はじめに
日本最古の博物館である東京国立博物館(以下、東博)が、本館前庭の池を撤去して芝生エリアに改修するという計画「TOHAKU OPEN PARK PROJECT」を11月10日に発表した。東博のプレスリリースによると、同プロジェクトは誰もが快適に利用できる開かれた博物館を実現するために、本館の前庭にある大きな池をオープンで心地よい憩いの芝生エリアに生まれ変わらせる、というものである。そして、新しくなった前庭を活用して、コンサートやビアガーデンなど様々なイベントを開催することで、新たな東京国立博物館の魅力を発信していく、としている(*1)。

しかし、この計画に対してSNS上では池の撤去を惜しむ声や批判が相次いでいる。たとえば、毎日新聞の記事によると「静かな場所を残してほしい」「東京のすてきな景観を守って」といったポストがX(旧ツイッター)上に多数上がっているとのことである(*2)。また、Yahoo!ニュースによると、「センスがない」「やめてほしい」との不評の声があがっているようである(*3)。
こうした状況を踏まえ、本稿においては東博の改修計画に関して、その構造的な問題や背景を考察してみたい。そして、この問題を考えるにあたり、そもそもこの「池」はいつ、なんのために整備されたのかを皮切りとして検討を始めることとする。
*1──東京国立博物館(2025)「プレスリリース 誰もが憩える開かれた前庭に生まれ変わる 東京国立博物館が「TOHAKU OPEN PARK PROJECT」を発表」
*2──毎日新聞(2025/11/15)「東博の「顔」池を撤去へ 東京国立博物館の改修計画、SNSで議論に」
*3──Yahoo!ニュース(2025/11/13)「「センスがない」「やめてほしい」東京国立博物館 名物の池を芝生エリアに埋め立てる計画が不評の嵐」
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