東博館長、「博物館を取り巻く環境の厳しさ変わらず」

東京国立博物館は1月1日に「1089ブログ」で藤原誠館長の新年のあいさつを公開。博物館を取り巻く環境について言及されている。

文=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)

東京国立博物館

 東京国立博物館は1月1日、同館のブログ「1089ブログ」において藤原誠館長の新年のあいさつを公開した。

 23年の年初に、文藝春秋(文春オンライン)において緊急寄稿(「このままでは国宝を守れない」)を掲載し、大きな注目を集めた藤原館長。今回のブログではこれに触れつつ、「寄稿後、多くの方々から寄附金や賛助会員へのお申し込みをいただき、改めて、博物館を愛する多くの皆さま方に支えていただいていることを実感した」としている。しかしながら、「光熱費をはじめ物価や人件費の高騰による博物館を取り巻く環境の厳しさは変わりません」とも述べており、博物館運営の持続可能な継続のために尽力する意気込みをのぞかせている(なお昨年は国立科学博物館が標本資料の収集保管活動の継続を目指すクラウドファンディング「地球の宝を守れ|国立科学博物館500万点のコレクションを次世代へ」を行い、約9億円を調達したことも記憶に新しい)

 またこのあいさつでは、新たな企画も公表された。それが6月25日から開催される特別企画「内藤礼 生まれておいで 生きておいで」だ。23年、横尾忠則の個展「横尾忠則 寒山百得」展を開催し、話題を集めた同館。これに続く現代美術家の展覧会となるこの展示は、内藤の作品と東博収蔵品から選んだ考古遺物とで構成され、敷地内の3ヶ所で展開するという。横尾展に続き、東博が新たなステップに進もうとしていることがうかがえる。注目すべき企画だろう。

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