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「椿昇 フリーダムー像(ゾウ)と生きる」(十和田市現代美術館)開幕レポート。あらゆる像(ゾウ)を通じて、自由とは何かを問い直す

青森県十和田市の十和田市現代美術館で、現代美術家・椿昇の個展「椿昇 フリーダムー像(ゾウ)と生きる」が開幕した。会期は11月8日まで。会場の様子をレポートする。

文・撮影=三澤麦(編集部)

左から、《1•2•3•4•5•6•7•8•9•10》(2026)、《the Elephant in the Room M》(2026)

 青森県十和田市の十和田市現代美術館で、現代美術家・椿昇(つばき・のぼる)の個展「椿昇 フリーダムー像(ゾウ)と生きる」が開幕した。会期は11月8日まで。担当は同館チーフ・キュレーターの長尾衣里子。

 椿は1953年、京都府生まれ。初期の代表作《カメレオンイーター》(1985)をはじめ、約40年にわたるキャリアのなかで、突然変異したかのような巨大生命体の造形を通して現代の資本主義社会への問題提起を続けてきた。代表作には、巨大な黄色いモンスター《フレッシュガソリン》(1989)や、日本初の国際美術展「横浜トリエンナーレ2001」で室井尚と共同制作した巨大なバッタのバルーン《飛蝗(プロジェクト・インセクト・ワールド)》(2001)などが挙げられる。また、同館の外庭には真紅の巨大ロボットアリ《アッタ》(2008)が常設展示されており、来訪者におなじみのシンボルとしても知られている。

十和田市現代美術館の外庭に常設展示されている《アッタ》(2008)

 今日において我々は、環境破壊や格差拡⼤などといった社会の諸問題を、ニュースやSNSなど無数のイメージ(像、ゾウ)とともに受け取ることが多い。しかし、それらについて他者と語り合うことはほとんどなく(あるいはその諸問題について考える余裕もなく)毎日を過ごしている。もしくは、あえてその問題に触れないことが美徳であるかのような同調圧力が存在するなかで、はたして「自由」とは何を意味するのだろうか。

 本展は、制作活動40年を超える椿の、美術館としては14年ぶり、東北では初となる個展だ。初公開となる巨大生命体の最新作を中心に、異なる技法や様式を用いた作品群を紹介。その多面的な表現を一望するとともに、実態を⾒て⾒ぬふりをしがちな我々の⽇常的な⾏為や、思考の在り⽅を問い直す試みとなっている。

椿昇