川口市立美術館の開館記念展に蜷川実花。「はじまりの光」で創作の原点をたどる

2026年9月にグランドオープンする川口市立美術館で、開館記念特別展「蜷川実花展 はじまりの光」が開催される。会期は9月12日〜11月29日。約30年にわたるセルフポートレイトや両親のアルバムを複写した新作、父・蜷川幸雄の書斎などを通じて、その創作の源流に迫る。

蜷川実花《Self-image》(2013) ©mika ninagawa / bookshop M Co.,Ltd. / Courtesy of Tomio Koyama Gallery

 埼玉県川口市に新たに開館する川口市立美術館。その開館記念特別展として、「蜷川実花展 はじまりの光」が9月12日から開催される。

幼少期を過ごした場所での個展

 写真家、映画監督、現代美術家として幅広く活動してきた蜷川実花。近年はクリエイティブチーム「EiM(エイム)」とともに、大規模なインスタレーション作品を国内外で発表している。本展ではそうした近年の活動とは異なり、蜷川の創作の出発点である「写真」を軸に、映像や家族の記憶を織り交ぜながら、その表現の核心を掘り下げるものとなる。

 展覧会の舞台となる川口市は、蜷川の父で演出家の蜷川幸雄(1935〜2016)の出身地であり、蜷川実花自身も幼少期を過ごした場所だ。毎年12月に行われる川口の「おかめ市」(酉の市)は蜷川の現実と虚構が揺らぐような表現世界にも影響を与えた。雑踏、見世物小屋、鯉の血しぶき、飴玉の光、ピンク映画の看板といった幼少期の記憶が、その原点になっているという。

 展示は2つの章で構成される。第1章では、初公開となる新作を含む写真作品を紹介。中心となるのは、デビュー作でもあり、20代から現在まで約30年にわたって断続的に撮影されてきたモノクロのセルフポートレイト「Self-image」だ。怒りや不安、戸惑い、寂しさ、虚無といった感情を映し出す作品群がまとまって展示されるのは、今回が初となる。

 また、2014年に父・蜷川幸雄が倒れてから亡くなるまでの約1年半を記録したシリーズ「うつくしい日々」も出品。蜷川が「逝く人の目で撮った写真」と表現する同作は、死と向き合う日々のなかで見出された風景や、光に満ちた日常の瞬間をとらえたものだ。

蜷川実花《The days were beautiful》(2017) ©mika ninagawa / bookshop M Co.,Ltd. / Courtesy of Tomio Koyama Gallery