夏休みに見たい展覧会ベスト10(西日本編)

夏休みを利用して訪れたい、編集部が注目する展覧会を首都圏、東日本、西日本の3つにわけてピックアップ。ここでは西日本で見ておきたい展覧会ベスト10をまとめてご紹介する。※8月5日24時まで、すべての方に全文お読みいただけます。

ヨハネス・フェルメール 真珠の耳飾りの少女 1665頃 キャンバスに油彩 44.5×39cm マウリッツハイス美術館 © Mauritshuis, The Hague

「路上、お邪魔ですか?」(金沢21世紀美術館

 金沢21世紀美術館で、特別展「路上、お邪魔ですか?」が開催されている。会期は9月6日まで。レポートはこちら

中村裕太《電柱から見た生き物の世界》(2026)と鯨津朝子《Obstacles?》(2026)が共存する、金沢21世紀美術館の中庭「光庭」での展示風景

 本展は、1986年に赤瀬川原平や藤森照信らによって結成された「路上観察学会」の創設40周年を契機とし、「路上」をキーワードに作品や歴史的なできごと、言説を紹介し、現代における公共性がもつ課題を考えるもの。メディアを通して都市と自然が意図せず生み出した状況を共有した同会の活動を紹介するとともに、2020年に渋谷で起きた路上生活者殺害事件などの事例を通じ、他者の主観的ルールが衝突する空間としての側面にも注目している。現代美術から歴史的資料、テレビゲーム、銭湯、大道芸までを展示し、過去の実践から現代の都市に対する批評的なアプローチまでをたどりながら路上の公共性を探る内容だ。

 なお同時期には、「歩く」あるいは「とどまる」という行為を切り口に、同館のコレクション作品を紹介する「コレクション展 歩く、とどまる」(〜10月18日)や、作家・野村由香が、金沢における砂金採りの営みに注目した新作を発表する「アペルト21 野村由香 黄金の川」(〜8月23日)も同館で開催されている。こちらもあわせてチェックしておきたい。

会期:2026年4月25日~9月6日
会場:金沢21世紀美術館
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
開館時間:10:00~18:00(金土~20:00)
休館日:月
料金:一般 1200円 / 大学生 800円 / 小学・中学・高校生 400円 / 65歳以上の方 1000円

アンドリュー・ワイエス展」(豊田市美術館

 愛知県豊田市の豊田市美術館で「アンドリュー・ワイエス展」が開催されている。会期は9月23日まで。レポートはこちら

《乗船の一行》(1982)パネルにテンペラ 70.5×50.8cm。ワイエス作品で顕在化している「不在」を象徴する1枚

 アンドリュー・ワイエス(1917〜2009)は、風景や人々を深い精神性を宿したリアリズムによって描いた、アメリカの国民的画家として知られる。戦後アメリカ美術の前衛的動向から距離を置き、自分の身近な風景と人々を精緻な写実表現によって描き続けた。

 日本では17年ぶりの大規模な展覧会となる本展では、作品に数多く登場する窓や扉といった「境界」を暗示する表現に注目しながら、ワイエスの芸術世界を紹介している。

 なお同館では、コレクションのなかから、ヤノベケンジ、堀尾昭子、梅津庸一、岡崎和郎の4名の国内作家に焦点を当て、ひとつの展示室にひとりの作家の作品だけを展示する「ワン・ルーム ワン・アーティスト」で構成するテーマ展「ワン・ルーム ワン・アーティスト:ヤノベケンジ、堀尾昭子、梅津庸一、岡崎和郎」(〜9月23日)も開催されている。それぞれの作品世界をじっくりと堪能できる機会となりそうだ。

会期:2026年7月18日~9月23日
会場:豊田市美術館
住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1
開館時間:10:00~17:30 ※入場は閉館30分前まで
休館日:月(9月21日は開館) 
料金:一般 1900円 / 高校・大学生 1200円 / 中学生以下 無料

「南都仏画―よみがえる奈良天平の美―」(奈良国立博物館

 奈良市の奈良国立博物館で、ボストン美術館共同企画 特別展「南都仏画―よみがえる奈良天平の美―」が開催されている。会期は9月13日まで。

《釈迦霊鷲山説法図(法華堂根本曼陀羅)》(奈良時代、8世紀)ボストン美術館 Photograph ©Museum of Fine Arts, Boston

 南都仏画とは、「南都」と呼ばれた奈良に古代から連綿と受け継がれてきた仏教絵画のこと。奈良時代には、国際色豊かな天平絵画が大寺院を彩り、平安時代には、貴族好みの優美な仏画が盛んに礼拝された。鎌倉時代以降、天平の図像にもとづく復古的な仏画が描かれるようになるとともに、「南都絵所」と呼ばれる奈良の仏画工房に所属した絵仏師たちが、仏画や絵巻の制作、仏像の彩色にも携わるようになった。

 本展は、米国・ボストン美術館と奈良国立博物館による約20年の構想を経て実現した国際共同企画だ。ボストン美術館が所蔵する南都ゆかりの仏画が里帰りし、奈良国立博物館の所蔵品をはじめとする国内の仏画・仏像で、「南都仏画」の歴史をたどる。また、南都のまぼろしの名刹・内山永久寺の堂内を彩った名画を紹介する貴重な機会となっている。

 また、同館敷地の南側に造られた、面積約4000平米の本格的な日本庭園も見どころのひとつ。バリアフリーを含む再整備が行われ、茶室・八窓庵(はっそうあん)をより間近で観賞できるようになった。展示鑑賞とあわせ、同館の様々な魅力にも触れてみてはいかがだろうか。

会期:2026年7月18日~9月13日
会場:奈良国立博物館
住所:奈良県奈良市登大路町50(奈良公園内)
開館時間:9:30~17:00(土〜19:00、8月5日~7日、9日~14日は〜18:00) (入館は閉館の30分前まで)
休館日:月(ただし、8月10日は開館)
料金:一般 2200円 / 高大生 1500円 / 中学生以下 無料