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椿昇

Noboru Tsubaki

 椿昇は1953年京都府生まれ。京都市立芸術大学西洋画専攻卒業後、同大学大学院美術専攻科西洋画科修了。80年代の「関西ニューウェイブ」の作家のひとりとされる。89年、日本の現代美術を紹介する企画展として、サンフランシスコ近代美術館を皮切りにアメリカ7都市を巡回した「アゲインスト・ネイチャー 80年代の日本美術」に参加し、巨大な肉塊を思わせる《フレッシュ・ガソリン》(1989)を発表。「アゲインスト・ネイチャー」という展覧会タイトルは、当時、西欧社会の人々が抱いていた日本人=自然というイメージへのアンチテーゼとして椿が命名したものであった。

 93年には第45回ヴェネチア・ビエンナーレに参加。横浜トリエンナーレ2001では、全長50メートルに及ぶ巨大なバッタのバルーン《インセクト・ワールド-飛蝗(バッタ)》を出品。哲学者・室井尚とのコラボレーションを通して、グローバリゼーションへの怒りを示すなど、ポップかつ大規模な作品の背景に、強いメッセージ性を潜んでいんでいるのが特徴のひとつ。アメリカ同時多発テロ事件をきっかけとした「UN APPLICATION PROJECT」、東日本大震災復興のための「VITAL FOOT PROJECT」など、時勢を受け、様々なプロジェクトを展開してきた。現在、京都造形芸術大学美術工芸学科長。