第7章 美術館が、ひらく
1983年に開発が始まった「みなとみらい21 地区」。89年には「横浜博覧会(YES’89)」にあわせて丹下健三設計の横浜美術館が開館した。この章では、同館設立過程を当時の貴重な資料とともに見ることができる。あわせて、ポール・セザンヌ《縞模様の服を着たセザンヌ夫人の肖像》(1883-85 )やパブロ・ピカソ《ひじかけ椅子で眠る女》(1927)など、開館前後に収蔵され、30年以上親しまれてきたコレクションの名品も揃う。
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第8章 いよいよ、みなとが、ひらく
最終章は、横浜美術館の新たな門出を象徴するセクションだ。章の前半に子供たちのために選ばれた作品が、鑑賞の手がかりとなるような「問い」とともに並ぶ。子供用の椅子とテーブルもあるので、親子でじっくり作品と向き合う時間が取れそうだ。
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また後半では2010 年代以降の作品が並ぶ。なかでも、同館「奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている」(2012)の際に出品された奈良美智《春少女》(2012)や、新収蔵された百瀬文の《聞こえない木下さんに聞いたいくつかのこと》(2013)、松田修の《奴隷の椅子》(2020)に注目だ。
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そしてグランドギャラリーでは、本展のために委嘱制作された檜皮一彦の新作《walkingpractice / CODE: OKAERI [SPEC_YOKOHAMA]》が展開されている。横浜の街に存在する障害物に花を咲かせる映像作品を生み出すとともに、それを車椅子の人々にとってはアクセスできない大階段に展示。ここにスロープを張り巡らせることで、「同じ景色」が見えるようなアクセシビリティが確保された。
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蔵屋が初めて「ローカル」をテーマに企画した本展は、「横浜」というキーワードを真正面からとらえており、横浜美術館の新たな門出として申し分ないものとなった。じつに幅広い時間軸、ジャンルの作品・資料を通して、新たな横浜の姿が見えてくるだろう。なお、新収蔵された淺井裕介の《八百万の森へ》(2023)を含むコレクション展も忘れないようチェックしてほしい。
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