文化庁が昨年末に発表した「国際的なアート市場における日本市場の現状調査」レポートによると、2023年、日本の美術品市場規模は約6億8100万ドル(946億5900万円)で、前年比約10パーセント減。また、アート・バーゼルとUBSによる「The Art Basel and UBS Global Art Market Report 2024」でも、23年の世界美術品市場の規模は前年比で4パーセント減と推定されている。
昨年のマーケットに関する最新の調査はまだ発表されていないが、ギャラリー間では、作品のセールスが鈍化しているという声がしばしば聞こえている。世界的な景気不況の影響で、アートマーケットの成長が減速するなか、日本市場はどのような状況にあるのだろうか? 3月6日に開幕した日本最古のアート見本市「アートフェア東京19」で、その一端を垣間見ることができるかもしれない。

今年のフェアには139軒のギャラリーが参加。この数字は、前年の156軒より約11パーセント減。現代美術のギャラリーが集まるエリアでは、多くのギャラリーが例年と大きく変わらないアーティストのラインナップを展開している。販売しやすいスター作家の作品が目立ち、挑戦的な新しい試みは控えめだ。これは、市場の停滞が続くなか、確実に売れる作品を中心に据えることで安定した収益を確保しようとするギャラリーのサバイブ術の表れとも言える。
また、歴史のあるギャラリーでは、評価が安定したシリアスな作家の作品と、よりヴィジュアルにキャッチーでポップな作品を組み合わせる傾向も見られた。こうした組み合わせは、これまでの顧客層に加え、若いコレクターを引きつける狙いがあると考えられる。

