歴史的な円安や国際輸送コストの上昇により、国内のギャラリーにとって海外のアートフェアへの出展は以前よりハードルが高くなっている。そのため、国内の新たな購買層を獲得することがこれまで以上に重要になってきた。

「海外の顧客をどのように増やすか、日本在住の富裕層にどうアプローチするかは、今後の課題」と北島は指摘する。いっぽうで、「アートフェア東京が20年続いてきたこと自体に価値がある」とも語り、アートフェアの長期的な成長を考えたとき、アーティストの評価の向上、ギャラリーの変革、そして日本のアートマーケット全体のビジネスマインドの変化が根本的な課題だとしている。

「アートフェア東京19」では、慎重な販売戦略をとるギャラリーが多いいっぽうで、新しいアーティストや異なるジャンルの融合を模索する動きも見られた。景気低迷や市場縮小といった厳しい状況のなか、国内市場の発展には、ギャラリーやフェアがどのように柔軟に適応し、顧客層を広げていけるかが鍵となる。
日本のアートマーケットは、グローバル市場との接続を模索しながらも、国内市場をいかに強化できるかというフェーズに入っている。アートフェア東京がその一翼を担い、ギャラリーとコレクターの新たな接点を生み出し続けることができるのか。次回以降の動向にも注目したい。
