今年新指定された国宝と重要文化財を紹介。特別企画「令和6年 新指定国宝・重要文化財」(東京国立博物館)
今年度、国宝や重要文化財として指定される美術品や工芸品、歴史資料、考古資料などを展示する、文化庁と東博の共催による特別企画「令和6年 新指定国宝・重要文化財」展が東京国立博物館で5月12日まで開催中だ。レポートはこちら。
本展で披露されるのは、今年3月15日に実施された文化審議会文化財分科会の審議・議決によって新たに国宝や重要文化財として指定されるもの。今年度は国宝6件、重要文化財36件が指定される予定で、会場ではこれらの新指定品を実物と映像で紹介している。
会期:2024年4月23日~5月12日
会場:東京国立博物館 本館
住所:東京都台東区上野公園13-9
電話番号:050-5541-8600
開館時間:9:30~17:00(金土は〜19:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 1000円 / 大学生 500円(総合文化展の料金で観覧可能)
強固な西洋美術の権威に現代作家はいかに挑むのか。「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」(国立西洋美術館)
東京・上野の国立西洋美術館で開催中の、21組の現代美術作家を招く初の試み「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?──国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」が5月12日で閉幕する。レポートはこちら。
展覧会は、同館が歴史的に本場の西洋美術を日本の洋画家に伝えるための場所であったことを踏まえ、現在の国立西洋美術館が現代の作家にとって学びのある場であるかどうかを問うものだ。
参加作家は、飯山由貴、梅津庸一、遠藤麻衣、小沢剛、小田原のどか、坂本夏子、杉戸洋、鷹野隆大、竹村京、田中功起、辰野登恵子、エレナ・トゥタッチコワ、内藤礼、中林忠良、長島有里枝、パープルーム(梅津庸一+安藤裕美+續橋仁子+星川あさこ+わきもとさき)、布施琳太郎、松浦寿夫、ミヤギフトシ、ユアサエボシ、弓指寛治。担当学芸員は同館主任研究員の新藤淳。
会期:2024年3月12日〜5月12日
会場:国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7
開館時間:9:30〜17:30(金土〜20:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 2000円 / 大学生 1300円 / 高校生 1000円 / 中学生以下無料
近世の御所や宮家を飾った品々を堪能。「皇室のみやび─受け継ぐ美─」(皇居三の丸尚蔵館)
昨年11月にリニュアルオープンした皇居三の丸尚蔵館で4期に分けて開催中の開館記念展「皇室のみやび─受け継ぐ美─」。その第3期「近世の御所を飾った品々」も5月12日に閉幕する。レポートはこちら。
約8ヶ月にわたって開催されている本展は、「皇室のみやび」をテーマに、皇居三の丸尚蔵館を代表する多種多彩な収蔵品を紹介するものだ。第3期となる本展では、桃山時代(16世紀)の《蔦細道蒔絵文台・硯箱(御在来)》や簾をはめた金屏風の両面に糸桜を描いた狩野常信の《糸桜簾屏風》(江戸時代〈17世紀〉)、貴族で歌人の藤原定家が書写した国宝《更級日記》(鎌倉時代〈13世紀〉)など、「御在来」と称される京都御所に伝えられた作品に、桃山時代に創設された八条宮家を前身とする旧桂宮家に伝来した伝狩野永徳《源氏物語図屏風》(桃山時代〈16〜17世紀〉)などの書画や工芸、楽器が紹介されている。
会期:2024年3月12日〜5月12日
会場:皇居三の丸尚蔵館
住所:東京都千代田区千代田1-8 皇居東御苑内
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月
料金:一般 1000円 / 大学生 500円 / 高校生以下、18歳未満、70歳以上は無料
※出品作品はすべて国(皇居三の丸尚蔵館収蔵)の作品
いま、あらためて知りたい巨匠の眼。「木村伊兵衛 写真に生きる」(東京都写真美術館)
東京・恵比寿の東京都写真美術館で、日本写真史において大きな足跡を残した写真家・木村伊兵衛(1901〜1974)の没後50年を機に、その活動をふり返る展覧会「木村伊兵衛 写真に生きる」が5月12日まで開催中だ。レポートはこちら。
本展は全7章でそのキャリアの全貌をふり返るものだ。加えて、近年発見された生前最後の個展「中国の旅」(1972〜73、ニコンサロン)のオリジナルプリントも公開されている。
会期:2024年3月16日〜5月12日
会場:東京都写真美術館
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
電話番号:03-6427-2806
開館時間:10:00~18:00(木金は〜20:00) ※入館は閉館時間の30分前まで
休館日:月
料金:⼀般 1200円 / 学⽣・65歳以上 1000円 / 高校・中学生 800円
共生の先の「共棲」について思考を巡らせる。「共棲の間合い -『確かさ』と共に生きるには-」(東京都渋谷公園通りギャラリー)
東京・渋谷の東京都渋谷公園通りギャラリーで開催中の「共棲の間合い -『確かさ』と共に生きるには-」が5月12日に閉幕する。担当学芸員は河原功也。レポートはこちら。
出品作家に折元立身、酒井美穂子、スウィング、村上慧らを迎える本展では、住む、暮らす、生活する、ともに行う、といったことを起点に表現する作家らの作品や活動を紹介。身近な家族との関係にせまるパフォーマンスから、ある食料品に対する愛着、近隣地域のゴミ拾い、日常の出来事から生まれた詩、現代の住居や生活様式を問い直す試みなど、表現方法は作家ごとに様々だ。それらの表現は、生活と芸術の境界を揺るがし、鑑賞者に「日常の間合い」とは何かを問いかけるものとなっている。
会期:2024年2月10日〜5月12日
会場:東京都渋谷公園通りギャラリー
住所:東京都渋谷区神南1-19-8 都営神南1丁目アパート
開館時間:11:00〜19:00
休館日:月
料金:無料
旧朝香宮邸を改めて見る。「開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z」(東京都庭園美術館)
東京・目黒の東京都庭園美術館で開催中の、同館の邸宅そのものを読み解く展覧会「開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z」が5月12日までとなっている。レポートはこちら。
現東京都庭園美術館の旧朝香宮邸は1933年に竣工。アール・デコの様式をふんだんに取り入れ、竣工当時の姿をいまに伝えている。皇族・朝香宮家の邸宅の後は、外務大臣・首相の公邸や迎賓館として時代とともに役割を変え、83年に美術館として開館した。
これまで、本邸宅に焦点を当てる展覧会はたびたび開催されてきたが、今回はできるだけ当時の意匠や細部までを詳細に解き明かしながら、本格的に旧朝香宮邸を読み解くものとなっている。
会期:2024年2月17日〜5月12日
会場:東京都庭園美術館
住所:東京都港区白金台5-21-9
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜18:00
休館日:月
料金:一般 1400円 / 大学生 1120円 / 中学生・高校生 700円 / 65歳以上 700円
※オンラインによる日時指定制
椅子の意義や役割を再考する。「アブソリュート・チェアーズ」(埼玉県立近代美術館)
埼玉県立近代美術館で、企画展「アブソリュート・チェアーズ」が5月12日まで開催中だ。担当学芸員は佐伯綾希、松江李穂(ともに埼玉県立近代美術館学芸員)。レポートはこちら。
本展は、名作椅子を数多く所蔵する同館が「アートの視点」で椅子について考察を深めるチャレンジングな企画展だ。 戦後から現代までの「美術作品」としての椅子の表現に着目し、約80点の展示作品からアートのなかの椅子の機能や含意を読み解くものとなっている。
会期:2024年2月17日~5月12日
会場:埼玉県立近代美術館
住所:埼玉県さいたま市浦和区常盤 9-30-1
電話番号:048-824-0111
開館時間:10:00~17:30 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 1300円 / 大学・高校生 1040円 / 中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方(付き添いの方1名を含む)無料
この時間のこの場所にしかない視覚体験を。「イヴ・ネッツハマー ささめく葉は空気の言問い」(宇都宮美術館)
スイス現代美術を代表する映像インスタレーション作家、イヴ・ネッツハマー。その日本初個展「ささめく葉は空気の言問い」が栃木・宇都宮の宇都宮美術館で5月12日まで開催中だ。
ネッツハマーは1970年、スイス・シャフハウゼン生まれ。建築製図やデザインを学んだのち1997年より作家活動を開始。ピピロッティ・リスト(1962〜)の次の世代を担う映像インスタレーション作家として注目を集め、2007年のヴェネツィア・ビエンナーレではスイス館代表を務めた。これまで、サンフランシスコ近代美術館(2008)、ベルン美術館(2010-11)など、各地で個展を開催。大学や病院など、公共建築と一体化したプロジェクトも多く手がけている。
今回、ネッツハマーは宇都宮の大谷採石場跡や、近隣の足尾銅山跡の地下空間を訪れ触発された新作を制作。さらに、周囲の森の情景を建物内に取り込む宇都宮美術館の空間と作品で対話を交わすなど、日本初個展に相応しい、宇都宮美術館ならではの作品展開が行われている。
会期:2024年3月10日〜5月12日
会場:宇都宮美術館
住所: 栃木県宇都宮市長岡町1077
電話番号:028-643-0100
開館時間:9:30〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 1000円 / 大学・高校生 800円 / 中学生・小学生 600円
時間や場所を超えて写真が伝えるものは何か。「KYOTOGRAPHIE 2024」(京都市内各所)
2013年より毎年、京都市内各所を舞台に開催されている写真に特化した芸術祭「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」。その第12回目となる「KYOTOGRAPHIE 2024」が5月12日で終了となる。レポートはこちら。
同写真祭は12の会場で13の展覧会を開催。それらの会場では、生命、コミュニティ、先住民族、格差社会、地球温暖化など、10ヶ国13組のアーティストらがオルタナティヴな未来を提示する。
参加アーティストは、クラウディア・アンドゥハル、ヴィヴィアン・サッセン、ティエリー・アルドゥアン、ルシアン・クレルグ、川田喜久治、柏田テツヲ、ジェームス・モリソン、Iranian citizen and photographers、ヨリヤス(ヤシン・アラウイ・イズマイーリ)、川内倫子、潮田登久子、ジャイシング・ナゲシュワラン。
会期:2024年4月13日〜5月12日
会場:京都文化博物館 別館、誉田屋源兵衛 竹院の間・黒蔵、京都新聞ビル地下1階、二条城二の丸御殿 台所・御清所、京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階、京都芸術センター、ASPHODEL、出町桝形商店街、DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Space、八竹庵(旧川崎家住宅)ほか
物理的な鑑賞体験を自身の身体で受け止めよ。「陸路(スピルオーバー#1)」(BUG)
東京駅八重洲南口すぐに位置するアートセンターBUGで、企画展「陸路(スピルオーバー#1)」が5月8日より開幕した。キュレーションは長谷川新(インディペンデントキュレーター)。レポートはこちら。
スピルオーバーとは、想定された範囲を超えて電波が届く現象を指す。ここから着想を得て展開される本展では、MES、林修平、FAQ?の3組による新作が発表されている。
キュレーションを行った長谷川は、本展について次のように語った。「2023年1月頃からBUGとともに企画の構想を始めた。BUGは若手作家のサポートを目的のひとつとしているが、関わる人たち全員にとって挑戦になるようなものを目指したいと思った。展示されている作品は、BUGならでは、展覧会ならではの特異な体験となっているため、ぜひ会場に観に来てほしい」。
会期:2024年5月8日〜6月16日
会場:BUG
住所:東京都千代田区丸の内1-9-2 グラントウキョウサウスタワー 1階
開館時間:11:00〜19:00(5月29日以外の水〜20:00)
休館日:火
料金:無料
ミランダ・ジュライの東京初個展。「MIRANDA JULY: F.A.M.I.L.Y.」(プラダ青山店 6階)
プラダ財団の企画による展覧会「MIRANDA JULY: F.A.M.I.L.Y.」が、プラダ 青山店で開催されている。会期は8月26日まで。
本展はミランダ・ジュライの東京初個展であり、新作が展示されている。また、10月14日までミラノのプラダ財団Osservatorioで開催中の美術館初個展「Miranda July: New Society」との同時開催となっている。
会期:2024年5月9日~8月26日
会場:プラダ青山店 6階
住所:東京都港区南青山5-2-6
開館時間:プラダ青山店に準ずる
休館日:プラダ青山店に準ずる
料金:無料
安永正臣「MASAOMI YASUNAGA : EMPTY VESSEL」(Gallery 85.4)
東京・神宮前のGallery 85.4で、注目のセラミックアーティスト・安永正臣(1982〜)の新作彫刻の個展「MASAOMI YASUNAGA : EMPTY VESSEL」が開催される。会期は5月11日~6月16日。主催は、日本の現代美術をアメリカ西海岸で紹介するギャラリー「ノナカヒル(Nonaka-Hill)」。
安永は、2023年に銀座メゾンエルメス フォーラムで開催されたグループ展「エマイユと身体(からだ)」に参加し、大きな注目を集めた。作家の作品は、釉薬、石、ガラス、モザイクタイルなど造られたアッサンブラージュともとれるものであり、焼成を得て残る空虚=がらんどうな器を「EMPTY VESSEL」としている。本展は、このような器を生命の器として提起する作家の哲学を提示するものとなる。
会期:2024年5月11日~6月16日
会場:Gallery 85.4
住所:東京都渋谷区神宮前 2丁目 6−7 神宮前ファッションビル 1階
電話番号:03-6447-0325
開館時間:12:00~19:00
休館日:水(不定休あり)
料金:無料
「犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―」(山種美術館)
東京・恵比寿の山種美術館で、特別展「犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―」が開催される。会期は5月12日〜7月7日。
本展にて初公開となる《洋犬・遊女図屛風》(個人蔵)は、当時、日本では珍しかった洋犬を描いた貴重な作品だ。また、琳派の祖・俵屋宗達の《犬図》(個人蔵)には、振り返る子犬が水墨によって愛らしく表現されている。いっぽうで、猫を描いた名作といえば、近代京都画壇を牽引した竹内栖鳳による《班猫》【重要文化財】(山種美術館)が挙げられる。静岡の沼津で偶然出会った猫に惹かれた栖鳳は、丹念な観察と写生を通して作品を完成させたという。また、現代作家・山口晃による《捕鶴圖》(山種美術館)には、擬人化された猫たちの個性までもが描き出されてる。
自身は犬派か猫派なのか。日本画を通じて改めて考えてみるのも面白いだろう。
会期:2024年5月12日〜7月7日
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 1400円 / 大学生・高校生 1100円 / 中学生以下 無料