昨年11月にリニュアルオープンした皇居三の丸尚蔵館で4期に分けて開催中の開館記念展「皇室のみやび─受け継ぐ美─」。その第3期「近世の御所を飾った品々」が3月12日に開幕した。
約8ヶ月にわたって開催する本展は、「皇室のみやび」をテーマに、皇居三の丸尚蔵館を代表する多種多彩な収蔵品を紹介するもの。第1期では、国宝・小野道風《屏風土代》、国宝・《蒙古襲来絵詞》など、近年指定された国宝4件を含む様々な作品を公開。第2期では、重要文化財・海野勝珉《蘭陵王置物》、横山大観《日出処日本》といった、近代日本の優れた美術工芸品に加え、明治・大正・昭和の三代の天皇皇后ゆかりの品々を展示した。
第3期では、近世までに京都御所や宮家を飾っていた品々を観覧する。例えば、桃山時代(16世紀)の《蔦細道蒔絵文台・硯箱(御在来)》や簾をはめた金屏風の両面に糸桜を描いた狩野常信の《糸桜簾屏風》(江戸時代〈17世紀〉)、貴族で歌人の藤原定家が書写した国宝《更級日記》(鎌倉時代〈13世紀〉)など、「御在来」と称される京都御所に伝えられた作品に、桃山時代に創設された八条宮家を前身とする旧桂宮家に伝来した伝狩野永徳《源氏物語図屏風》(桃山時代〈16〜17世紀〉)などの書画や工芸、楽器が紹介されている。
また3期でも、会期中に作品の展示替えが予定されている。4月9日からの後半では、京都御所に伝来した円山応挙の《源氏四季図屏風》(江戸時代〈18世紀〉)や、旧桂宮家に伝来した桃山時代の絵師・海北友松の《浜松図屏風》(桃山時代 慶長10年〈1605〉)などの作品も出品される。
同館館長の島谷弘幸は本展の開幕に際し、「(同館が所在する)皇居のなかに入っていいことや、皇居東御苑は無料で開放されていることを知らない人がまだまだ多い。より多くの人に皇居三の丸尚蔵館のコレクションを楽しんでもらえたら」と述べている。
なお、会期中には展示内容や見どころを同館研究員が解説するギャラリートークも予定。申込不要、参加費無料で、そちらもあわせて参加してみてはいかがだろうか。