昨年11月にリニュアルオープンした皇居三の丸尚蔵館で始まった開館記念展「皇室のみやび─受け継ぐ美─」。その第2期「近代皇室を彩る技と美」が1月4日にスタートした。
今期は、「天皇皇后ゆかりの品々─明治・大正・昭和」と「皇室の慶祝と宮殿を彩った調度」の2章で構成。タイトルが示す通り、明治・大正・昭和の三代の天皇皇后にゆかりのある品々や、天皇の御即位や大婚25 年(銀婚式)など皇室の御慶事を契機として制作された作品などが紹介されている。
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第1章では、明治時代に制作された工芸品や美術品から、20世紀に入って大正・昭和の天皇皇后の御遺愛品として西洋製の鉛筆、宝飾品、枕時計、そして昭和時代に国賓として来日したフィリピン国マルコス大統領やサウジアラビア国ファイサル国王より贈られたブローチ、ネックレスなどの品々が展示。歴代の両陛下の人柄や好み、皇室と美術品との関わりをうかがうことができる。
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第2章では、明治以降の皇室の御慶事や各行事に際して明治宮殿(戦中の空襲で焼失をしていしまった皇室の施設。救出された作品は現在同館に収蔵されている)の室内を飾っていた様々な工芸品が並んでいる。とくに、優れた技術を評価された帝室技芸員たちによってつくられた陶磁器や銀器、銅器、横山大観が描いた2000点におよぶ富士の絵のなかでも最大級の《日出処日本》(1940)などの大型の作品が印象的だ。
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同館副館長の朝賀浩(あさか・ひろし)は1月9日に行われた報道内覧会で、「こうした大型作品はこれまでの三の丸尚蔵館でご覧いただく機会が十分につくれなかった」とし、本展は、近年評価が高まっている「明治の超絶技巧」の代表作家に加えて、近代美術の推移を示すような作品を一堂に楽しめる機会になっていると話している。
また、同館館長の島谷弘幸は「1期展は多くの方に詰めかけていただき、予約がとれない状態でご迷惑をおかけした」としつつ、リニュアルオープンした同館が国立の博物館としてすべての来場者に開かれていることを強調している。
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近代国家としての展開期を表す三代の天皇および皇室に関する精美な美術工芸品や宮殿調度、様々な資料を通じ、当時の作家による卓越した技術と美をぜひ会場で堪能してほしい。
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