EXHIBITIONS

ひらく、めくる、めぐる―印刷博物館の美しい印刷

2026.06.27 - 09.06

メインビジュアル

 千葉県立美術館で、「ひらく、めくる、めぐる―印刷博物館の美しい印刷」展が開催される。会期は6月27日〜9月6日。

 本展は、印刷の歴史を多様な視点から紐解き、その造形的な側面に焦点を当てる展覧会だ。東京都文京区の印刷博物館のコレクションから選出された資料群を展観し、各時代・地域の思想家、文筆家、デザイナー、職人らが当時の技術を駆使して制作した印刷物を紹介。印刷がいかにして時代を映し、文化を形成してきたのかを検証する。

 また、千葉県での開催に際して地域性に焦点を当てた展示も行われる。印刷博物館を運営するTOPPANの前身・凸版印刷の初代社長である河合辰太郎と親交があった同県ゆかりの画家・浅井忠による《甲辰明治三十七年暦》(1904)などの作品群に加え、海や船に関連する資料も紹介される。

 展示は大きく3つの章で構成される。

 第1章「西洋の印刷―知のひろがり、美の極み」では、ヨハネス・グーテンベルクによる活版印刷の発明が社会にもたらした変革に着目。ジェフリー・チョーサー著『チョーサー著作集』(1896)などを通して、宗教や学問を共有するメディアとして印刷が果たした役割を追う。

 第2章「日本の印刷―文学の世界、技の粋」では、《百万塔陀羅尼》(764〜770)から、江戸時代に広く流通した滝沢馬琴著『南総里見八犬伝』(1814-42)などを展示。写本から木版印刷、そして幕末から明治期における西洋式印刷術の導入に至るまでの国内の印刷史を概観する。

 第3章「デザインと印刷―広がる視覚、新しい形」では、19世紀以降の印刷技術の台頭とデザインの関わりを提示する。石版印刷の技術を用いたアルフォンス・ミュシャのポスター《LORENZACCIO》(1896)など、多様な表現を獲得した印刷物を紹介する。

 さらに会場内では、本の世界を歩くような感覚で印刷物のディテールや色彩を鑑賞できるデジタルインスタレーション「ページの中を歩く」が展開されるほか、コレクション関連展示として「浅井忠-印刷物とデザインの仕事」が同時開催される。同展示では、洋画家としての側面のほかに浅井が手掛けた教科書や雑誌、図案草稿などを通し、アール・ヌーヴォーの影響を受けたデザインの仕事を紹介する。

 会期中には、印刷博物館の学芸員による講演会やギャラリートーク、千葉みなと周辺施設を巡る重ね捺しスタンプラリー、現代アーティスト・沼田侑香を講師に招いたワークショップなどの関連プログラムも予定されている。