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2023.6.11

いつもとは違う楽しみ方を。雨の日にこそ行きたい首都圏の美術館

美術館からも足が遠のきがちな梅雨シーズン。雨の日ならではの楽しさがある首都圏の美術館5館を紹介したい。

東京都庭園美術館
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 雨が続く梅雨シーズン。出かけるのが億劫になり、美術館からも足が遠のきがちだ。駅から近いなど雨の日でも気楽に訪れることができる美術館もあるが、ここでは編集部が選ぶ、雨の日ならではの楽しさがある首都圏の美術館5館を紹介したい。

ポーラ美術館

ポーラ美術館

 2002年に開館した、神奈川・箱根のポーラ美術館。印象派の巨匠をはじめ、日本屈指の西洋絵画のコレクションでも知られる同館だが、その建築も訪れる人々に驚きを与えてくれる。設計は日建設計、当時まだ若手だった建築家・安田幸一がチーフを務めた。

 ポーラ美術館は各展示室をつなぐガラスの吹き抜けが印象的な美術館だ。富士山の火山灰がもたらした肥沃な土壌の上に形成された森林のなかにある同館は、このガラスの天井や壁面からその豊かな緑を望むことができる。梅雨の時期に本館を訪れると、ガラスを無数に伝う雨水の向こうに色濃い緑を望むことができ、ここが豊かな自然環境の中につくられた稀有な美術館であることが意識される。

ポーラ美術館

 小ぶりの雨なら、傘を差して敷地内の広葉樹林の森につくられた散策路を歩いてみるのもいいだろう。散策路からは屋外作品も数多く見ることができるが、とくに注目したいのは木立のなかに展示されているロニ・ホーンの《鳥葬》(2017-2018)だ。歩道から少し外れた場所に設置された本作は、自然と溶け合うことが意図されている。上部の窪みには自然と水が溜まるようになっているが、雨の日には豊かな波紋も見せてくれるはずだ。

展示風景より、《鳥葬》(2017-2018)

 7月2日までは、19世紀から現代までの9組の作家による約50点の作品を「部屋」をテーマに紹介する展覧会「部屋のみる夢 ― ボナールからティルマンス、現代の作家まで」が開催中。マティスやボナールなどの近代画家の作品に加え、ポーラ美術館が昨年新たに収蔵したヴォルフガング・ティルマンスと草間彌生の作品、そして髙田安規子・政子、佐藤翠と守山友一朗がコロナ禍中のステイホームを経て制作した新作を展示している。

住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285 ポーラ美術館
電話番号:0460-84-2111
開館時間:09:00~17:00 ※入館は16:30まで
休館日:会期中無休
料金:一般 1800円 / 65歳以上 1600円 / 大学・高校生 1300円 / 中学生以下無料