2023.9.22

イヴ・サンローランから奥能登国際芸術祭、野又穫、ワールドクラスルームまで。今週末に見たい展覧会ベスト12

今週開幕・閉幕する展覧会から、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」展示風景より
前へ
次へ

イヴ・サンローランの歴史がそこに。「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」(国立新美術館

展示風景より

 「クリスチャン・ディオール(DIOR)」でデビューし、その後自身のブランド「イヴ・サンローラン」を発表してから2002年に引退するまで、約半世紀にわたり世界のファッションシーンをリードし続けてたイヴ・サンローラン。その没後の日本では初めての大回顧展が、国立新美術館で始まった。

 本展は序章と11の章から構成。ディオールでのデビューから、ブランドとして初のコレクション、そして独自のスタイルを確立するまでを、テキスタイル作品110点のほか、イヴ・サンローラン自身が描いたグラフィック作品124点、写真作品30点、ジュエリー55点で紹介する大ボリュームものだ。展覧会レポートはこちら

会期:2023年9月20日〜12月11日
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜18:00(金土〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:火
料金:一般 2300円 / 大学生 1500円 / 高校生 900円

すべてが彫刻。「トムサックス:店舗体験」(イセタン ザ・スペース)

展示風景より

 身の周りにある素材を使って現代のアイコンを再現するなど、ジャンルを超越したミクストメディアによる彫刻作品を発表し続けているトム・サックス。伊勢丹新宿店本館2階イセタン ザ・スペースで2020年に開催された「トム・サックス:店舗体験」が、2回目の開催を迎えた。

 トム・サックスが作品の中心としてきたテーマはアメリカの文化と社会。さらにはラグジュアリーな消費財や国際的なブランドを模倣することで大企業のエコシステムや「ブランドイメージ」といった概念をユーモアをもって扱い、アート界へと接続させてきた。「トム・サックス:店舗体験」と題されたこの展覧会/ショップは、トム・サックスによる作品が一堂に展示され、それらをすべて購入できる。すべての作品を「彫刻」ととらえるトム・サックスの実践を、店舗体験のなかで感じてほしい。展覧会レポートはこちら

会期:2023年9月20日~10月23日(本館ウィンドウディスプレイは10月10日まで)
会場:伊勢丹新宿店 本館2階 イセタン ザ・スペース
住所:東京都新宿区新宿3-14-1
開館時間:伊勢丹新宿店に準ずる 
休館日:無休

3年に一度。「奥能登国際芸術祭2023」

 能登半島の先端に位置し、かつては渤海使や北前船など、日本海の海上交通の要所でもあった珠洲市。そんな珠洲市全域を舞台とする地域芸術祭として2017年にスタートした奥能登国際芸術祭が、9月23日から開催される。

 今年の参加アーティストは14の国と地域から59組。10のエリアでそれぞれ作品を発表する。坂茂、さわひらき、弓指寛治、アレクサンドル・ポノマリョフ、梅田哲也、SIDE CORE、シュー・ジェンらが新作を発表予定だ。

会期:2023年9月23日〜11月12日
会場:石川県珠洲市全域

中部地域初の美術館個展。「開館35周年記念 福田美蘭─美術って、なに?」(名古屋市美術館

 ときにユーモアを織り交ぜながら現代社会が抱える問題に鋭く切り込む作品を生み出す福田美蘭。その名古屋市美術館では約30年ぶりとなる個展が9月23日から始まる。

 本展では、1980年代の初期から近年までの50作品を4章で紹介。本展のために新たに制作された、現在の世界情勢を映した新作も公開予定だ。名古屋市美術館では、1992年に福田美蘭と森村泰昌の二人展以来、約30年ぶりの機会であり、福田の個展としては中部地域初。

会期:2023年9月23日~11月19日
会場:名古屋市美術館
住所:名古屋市中区栄2-17-25
電話番号:052-212-0001
開館時間:9:30~17:00(11月3日を除く金〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで 
休館日:月(ただし10月9日は開館)、10月10日
料金:一般 1500円 / 大学・高校生 1300円 / 中学生以下無料

過去最大規模。「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2023」(マリンメッセ福岡)

マリンメッセ福岡

 2015年より開催されている、アジアをコンセプトとした日本唯一のアートフェア「ART FAIR ASIA FUKUOKA」。その8回目として、「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2023」(AFAF2023)が9月22日~24日の3日間、マリンメッセ福岡B 館で開催される。

 同フェアは、福岡からアジアのアートマーケットを活性化させ、国際競争力のある都市とすることを狙ったもので、一般社団法人アートフェアアジア福岡が主催してきた。今年は過去最大規模となる117ギャラリーが参加。うち51ギャラリーは初出展。またコロナ禍後初となる、韓国、香港、台湾やASEAN諸国から海外14ギャラリーが出展する。会場も昨年比約4倍の約5000平米の広さとなり、よりダイナミックなフェアが期待される。

会期:2023年9月22日~24日 ※9月21日16:00〜20:00、22日11:00〜14:00はVIP View
会場:マリンメッセ福岡B館
住所:福岡県福岡市博多区沖浜町2-1
料金:3000円(レイトパスあり)

お台場の街をアートで見る。「ARTBAY TOKYO アートフェスティバル2023」

展示風景より

 東京・お台場を舞台にした芸術祭「ARTBAY TOKYO アートフェスティバル2023〜CIRCULATION〜」が9月24日で閉幕する。

 同芸術祭は、シンボルプロムナード公園内の「花の広場」「⽯と光の広場」「夢の広場」、テレビ朝日施設建設予定地、夢の大橋、BMW GROUP Tokyo Bay、⽇本科学未来館、ダイバーシティ東京 プラザの7エリアが舞台。メインとなる「石と光の広場」では、キュレーションを吉⽥⼭が、会場パビリオンの設計を建築コレクティヴ「GROUP」が、展覧会の舞台を奥多摩美術研究所が担当した展覧会「Biotope Circles-生きるものたちの息づかいが聴こえる場所-」を見ることができる。展覧会レポートはこちらから。

会期:2023年9⽉15⽇〜24⽇
会場:花の広場/⽯と光の広場(シンボルプロムナード公園内)、テレビ朝日施設建設予定地、夢の大橋、BMW GROUP Tokyo Bay、夢の広場(シンボルプロムナード公園内)、⽇本科学未来館、ダイバーシティ東京 プラザ
開館時間:各会場によって異なる(ウェブサイトを参照)  
料金:無料

教科を現代アートの入口に。「ワールド・クラスルーム: 現代アートの国語・算数・理科・社会」(森美術館

展示風景より、中央がヤン・ヘギュ《ソニック・ハイブリッド──デュアル・エナジー》(2023)

 森美術館の20周年記念展「ワールド・クラスルーム: 現代アートの国語・算数・理科・社会」が9月24日で閉幕する。

 本展は、学校で習う教科を現代アートの入口に、未知の世界に出会う場として現代美術館を位置付け直すというものだ。会場では、54組のアーティストによる約150点を展示。同館の企画展としては初めて、展示作品の半数以上を同館コレクションが占めるという、20周年記念にふさわしい内容になっている。展覧会レポートはこちらから。

会期:2023年4月19日〜9月24日
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53F
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~22:00(火~17:00 ※5月2日、8月15日を除く)※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:[平日]一般 2000円(1800円) / 高校・大学生 1400円(1300円) / 4歳~中学生 800円(700円)/ 65歳以上 1700円(1500円)
[土・日・休日]一般 2200円(2000円) / 高校・大学生 1500円(1400円) / 4歳~中学生 900円(800円) / 65歳以上 1900円(1700円)
※専用オンラインサイトで購入すると( )の料金を適用

唯一無二の建築世界。「野又 穫 Continuum 想像の語彙」(東京オペラシティ アートギャラリー

展示風景より、中央は野又穫《Babel 2005 都市の肖像》(2005)

 現実と非現実のあわいを描きつつも、どこか懐かしさを感じさせる世界観を生み出す画家・野又穫。東京オペラシティ アートギャラリーでは初となる個展「野又 穫 Continuum 想像の語彙」が9月24日まで開催中だ。

 本展では、同館コレクションをはじめとする野又作品の初期から最新作までを展示。野又の全貌を総覧することができる。未来感がありつつも郷愁めいた感覚を思い起こさせる謎の建造物が登場する野又作品。建造物はあれど人の姿は一切描かれておらず、自然と人工物のみが一体となって存在しているその世界に没入してみてはいかがだろうか。展覧会レポートはこちら

会期:2023年7月6日〜9月24日
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
電話番号:050-5541-8600 
開館時間:11:00〜19:00 ※入場は18:30まで
休館日:月(ただし祝日の場合は翌火)、8月6日(全館休館日) 
料金:一般 1400円 / 高校・大学生 800円 / 中学生以下無料

日本画家たちの挑戦の軌跡。特別展 「日本画に挑んだ精鋭たち ―菱田春草、上村松園、川端龍子から松尾敏男へ―」(山種美術館

上村松園 牡丹雪 1944 山種美術館

 山種美術館で特別展 「日本画に挑んだ精鋭たち ―菱田春草、上村松園、川端龍子から松尾敏男へ―」が9月24日まで開催されている。

 本展は、明治時代から現代にいたるまで、日本画の創造に挑み続けた精鋭たちの作品を揃え、その軌跡をたどるもの。輪郭線を使わない技法「朦朧体」で空気の表現に努めた菱田春草の《雨後》、女性が画家として生きる道を切り開いた上村松園の《牡丹雪》、希少な岩絵具の群青を多用して記念すべき展覧会(第1回青龍展)へ出品した川端龍子の《鳴門》、 若い頃「日本画滅亡論」に直面するも日本を代表する画家となった松尾敏男の《翔》 (山種美術館賞受賞作)などの名作が並ぶ。

会期:2023年7月29日~9月24日
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館30分前まで
休館日:月(9月18日は開館、9月19日は休館)
料金:一般 1400円 / 夏の学割 大学生・高校生 500円 / 中学生以下無料(付添者の同伴が必要)

広島原爆に向き合って。「冨安由真 影にのぞむ」(原爆の図 丸木美術館

展示風景より

 原爆の図 丸木美術館で、被爆3世でもある冨安由真が広島原爆に向き合った展覧会「冨安由真 影にのぞむ」が、9月24日まで開催されている。

 本展は、被爆3世で広島生まれであるというアーティスト自身のルーツに向き合い、被爆者の言葉や存在を基点にして、新たな表現を立ち上げる展覧会。
被爆者15名に行ったインタビューをまとめた資料と、その15名の両手を型取ったインスタレーション《影にのぞむ》が展示。冨安は今回の展示について、「いつか広島原爆に向き合った作品をつくりたいとずっと胸に秘めていましたが、今回光栄なことにその機会を得ることが出来ました。原爆は今後も向き合っていきたいテーマではありますが、いま最良だと思えるかたちで発表したいと考えています」と綴っている。展覧会レポートはこちら

会期:2023年7月8日~9月24日
会場:原爆の図 丸木美術館
住所:埼玉県東松山市下唐子1401
電話番号:0493-22-3266 
開館時間:09:00~17:00(12月-2月は9:30~16:30)
休館日:月(祝日の場合は翌平日)
料金:一般 900円 / 中高生または18歳未満 600円 / 小学生 400円

ささいな体験に目を向ける。「吹けば風」(豊田市美術館

 豊田市美術館の「吹けば風」が9月24日で閉幕する。 

 本展は、わずかのあいだ私たちを留める小さな発見に注目する展覧会。通常は見過ごされ、忘れられてしまうような細やかな発見や驚き、そうした体験を見つめ直すものとなっている。展覧会タイトルは、明治の詩人・高橋元吉が詠んだ 「咲いたら花だった 吹いたら風だった」という一節からきており、高橋は、それが何かわかるまでは 「なにか得体の知れないもの」でよいとし、先入観を取り払った大らかな気持ちで物事を見たという。本展に参加している作家たちも日々の生活や旅先での体験に取材しつつ、五感を介して何かを感じるときに自身に起こる変化を観察し、作品を見る人の細やかなものに反応する感性を刺激する。

会期:2023年6月27日~9月24日
会場:豊田市美術館
住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1
電話番号:0565-34-6610
開館時間:10:00~17:30 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし8月14日、9月18日は開館)
料金:一般 1300円 / 大学・高校生 800円 / 中学

解散後初の本格的回顧展。「開館60周年記念 走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代」(京都国立近代美術館

八木一夫 ザムザ氏の散歩 1954 京都国立近代美術館蔵

 戦後日本の陶芸界において中心的な役割を果たした前衛陶芸家集団・走泥社。このグループに焦点を当て、同時代の状況におけるその活動を紹介する展覧会「開館60周年記念 走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代」が、9月24日まで京都国立近代美術館で開催中だ。

 1948年、八木一夫、叶哲夫、山田光、松井美介、鈴木治の5人によって結成された走泥社。その後、会員の入れ替わりを経ながら50年間にわたり、日本の陶芸界を牽引してきた。長年の活動を通じ、陶によるオブジェを世間に認知させたこと、そして陶芸固有の表現世界を切り開いたことで評価されている。

 走泥社解散後初の本格的な回顧展となる本展は、結成25周年となる1973年までの期間を主な対象としている。前半期の25年間に限るとはいえ、この時期の走泥社の活動全体を紹介する初めての試みとなる。

会期:2023年7月19日〜9月24日
会場:京都国立近代美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
電話番号:075-761-4111
開館時間:10:00〜18:00(金〜20:00)
休館日:月(ただし、8月14日、9月18日は開館)
料金:一般 1700円 / 大学生 1100円 / 高校生 600円