「画狂」モネ。晩年の生き様をたどる

国立西洋美術館で開催中の「モネ 睡蓮のとき」。本展の中心となるのが、晩年のモネが挑んだ「睡蓮」をモチーフにした作品の数々だ。白内障による視力低下に苦しみながらも、大作へと挑んだモネの晩年を振り返る。

文=Verde

クロード・モネ 睡蓮 1916-1919頃 キャンバスに油彩 マルモッタン・モネ美術館、パリ © musée Marmottan Monet

 楕円形の部屋の壁一面を覆う、全長60メートルにも及ぶ睡蓮の池の絵。モネが晩年を捧げた「大装飾画」は、彼の集大成であるとともに、パリにオランジュリー美術館がつくられたきっかけでもある。しかし大装飾画に取り組むなかで、彼は白内障による視力低下とも戦い続けなければならなかった。日に日に症状が進行し、ようやく手術を受けることを決断するも、見え方が安定せず、苦しんだが、そのなかでも描き続けることを諦めなかった彼は、大装飾画と並行して手がけていた、別の連作を通して、新たな境地を切り開く。その様は、描くことに取り憑かれた「画狂」と呼んでも過言ではあるまい。今回は、国立西洋美術館で開催中の「モネ 睡蓮のとき」に寄せ、モネの晩年の作品世界と生き様を紹介しよう。

クロード・モネ 睡蓮、夕暮れの効果 1897 キャンバスに油彩 マルモッタン・モネ美術館、パリ © musée Marmottan Monet / Studio Christian Baraja SLB

編集部

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