梅田哲也「水門」

　梅田哲也の個人スタジオで、梅田の個展「水門」が開催される。

　大阪市此花区の梅香・四貫島周辺を拠点とするアートプロジェクト「水門（みなと）」は、地域や国籍を超えた交流の中継点として機能する、不定期に活動する緩やかなネットワーク／アートプロジェクトだ。2024年7月に始動し、地域に根ざした文化活動を通じて、 流動的な公共の生態系（エコシステム）を模索する試みを続けている。

　梅田の作品は、環境や空間の特徴を再認識し、その場限りの現象に昇華させることで、鑑賞者にユニークな体験の機会を提供している。これまで美術、音楽、舞台芸術などの垣根を越え、美術館での展示や劇場での公演・演奏にとどまらず、海、川、山といった屋外空間でもスケールに縛られないサイトスペシフィックな作品を展開してきた。本展では、梅田の作品が生まれる過程においてもっとも原初的な工程が行われる個人スタジオを同時に公開する。

　会場となるのは、下町の居住エリアの一角にある古い倉庫付き住宅だ。梅田作品の公開場所としては決して広くない、限られた空間の多くを占める棚には、梅田がこれまでに制作・発表してきた場所で不要となった品々がぎっしり並んでいる。

　それらは、展覧会やパフォーマンスの公演ごとに、それぞれのスケールに見合った組みあわせで、役割やかたちを変えながら別の場所で使用され続けている。本展覧会ではこの過程を、小さな一滴が町の川と水門を経て港に流れ、海に混ざり、また別の港へたどり着くように、感覚に直接訴えかける鑑賞作品として発表する。

　本展の受付会場は、会場の近くのシルクスクリーンスタジオ&ショップ「ふつか」となる。またふつかでは、本展覧会のサテライト展示や関連イベントを開催する。