私たちの生活に身近な「窓」に焦点を当て、国内外の芸術・建築作品を紹介する展覧会「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」が東京国立近代美術館で開催される。会期は11月1日~2020年2月2日。
同館のキュレーションと、「窓学」総合監修を務める建築史家・建築批評家の五十嵐太郎による学術協力で実現した本展。「窓学」は、窓をアカデミックに探求する学際的な取り組みとして2007年にスタートし、これまで建築から科学、芸術、文芸など50を超えるテーマで研究を蓄積してきた。
本展では絵画、写真、版画、映像、インスタレーション、建築などジャンルを超えて、58作家による約110点の作品を紹介。会場構成は西澤徹夫建築設計事務所が担当する。
2章「窓からながめる建築とアート」では東北大学 五十嵐太郎研究室が、窓を切り口に建築とアートの歴史をたどる全長12メートルの年表を制作。あわせてル・コルビュジエ、ルイス・カーン、ピーター・アイゼンマンといった建築家による窓のドローイングや、貴重書も展示する。
3~4章「窓の20世紀美術」では、アンリ・マティス、パウル・クレー、岸田劉生など20世紀絵画の巨匠が描く窓を紹介。また、マーク・ロスコやロイ・リキテンシュタインによる抽象絵画を「こころの窓を開くもの」ととらえて読み解いていく。そして6章「窓の内、窓の外」では、写真家・奈良原一高の初期シリーズ「王国」から、男子修道院と女子刑務所という閉ざされた場所で暮らす人々と窓の姿を追う。
「窓はスクリーン」と題した10章では、テレビやPCなどのスクリーンを用いたロバート・ラウシェンバーグ、ナム・ジュン・パイク、久保田成子などの作品を展示。また12章「窓の光」ではホンマタカシが、自室をまるごとピンホール・カメラに変えたアーティスト・山中信夫に対するオマージュ作品から新作を発表する。
そのほかにも、ゲルハルト・リヒター《8枚のガラス》が展示されるほか、美術館の前庭には建築家・藤本壮介の《窓に住む家/窓のない家》が出現する。
なお本展はその後、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館に巡回予定(2020年7月11日~9月27日)。建築からアートまでジャンルを横断し、「窓」の奥深い魅力に触れるまたとない機会を逃さずチェックしたい。