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美術において平成に何が起こったのか?
31年のアートシーンを振り返る

1989年1月から2019年4月まで続いてきた「平成」。この間、日本のアートシーンではどのような出来事があったのか? 令和の時代に向けて、改めて振り返る。

構成=中島水緒

「日本ゼロ年」1999~2000年 水戸芸術館現代美術ギャラリーでの展示風景より、ヤノベケンジの作品 撮影=根本譲 写真提供=水戸芸術館現代美術センター

1989年

4月 P3 art and environment設立
5月 広島市現代美術館開館
6月 「アゲインスト・ネイチャー 80年代の日本美術」展(サンフランシスコ近代美術館ほか) 全米を巡回、日本ではICA名古屋で開催
9月 北澤憲昭『眼の神殿―「美術」受容史ノート』(美術出版社)刊行

1990年

3月 水戸芸術館現代美術センター開館
3月 「プライマル・スピリット―今日の造形精神」展(ハラミュージアムアークほか、全米巡回)
7月 「ファルマコン'90 現代の美術展」(幕張メッセ)
8月 ダムタイプ《pH》公演(スパイラル/ワコールアートセンター、東京)

1991年

3月 日比野克彦、タナカノリユキ、関口敦仁「Xデパートメント―脱領域の現代美術」(伊勢丹美術館、東京)
6月 レントゲン藝術研究所オープン、キヤノン・アートラボ設立、​椹木野衣『シミュレーショニズム―ハウス・ミュージックと盗用芸術』(洋泉社)刊行

1992年

2月 村上隆個展「Wild, Wild」(レントゲン藝術研究所、東京)
3月 第1回NICAF(パシフィコ横浜)
8月 「アーバナート#1」(渋谷パルコ)
9月 「アノーマリー展」(レントゲン藝術研究所、東京) 企画=椹木野衣
11月 「写真新世紀展」スタート

1993年

4月 「THE GINBRART(ザ・ギンブラート)」(東京・銀座界隈) 主宰=中村政人
6月 「村上隆展―なんでもない日、万歳!」(広島市現代美術館)、第45回ヴェネチア・ビエンナーレ アペルト部門に椿昇中原浩大柳幸典
7月 SCAI THE BATHHOUSEオープン

1994年

2月 「戦後日本の前衛美術」展(横浜美術館ほか、米国に巡回)
3月 「第1回VOCA展」(上野の森美術館)
4月 「新宿少年アート」(新宿・歌舞伎町一帯)
10月 ファーレ立川竣工

この年、昭和40年会、スタジオ食堂結成

1995年

1月 東京都写真美術館総合開館
2月 「909 アノーマリー2」(レントゲン藝術研究所、東京) 企画=椹木野衣
3月 東京都現代美術館開館
10月 養老天命反転地オープン

東京都現代美術館

1996年

4月 「Tokyo pop―新しい美術のイメージ」(平塚市美術館)
6月 小山登美夫ギャラリーオープン
7月 「ヒニクなファンタジー―現代5人の想像世界」(宮城県美術館)
8月 「アトピックサイト」展(東京ビッグサイト)

この年、ヒロポンファクトリー設立

1997年

2月 「デ・ジェンダリズム―回帰する身体」(世田谷美術館) 企画=長谷川祐子
4月 NTTインター・コミュニケーションセンター[ICC]開館
6月 「こたつ派」(ミヅマ・アートギャラリー、東京)

1998年

1月 椹木野衣『日本・現代・美術』(新潮社)刊行
2月 「第1回文化庁メディア芸術祭」(新国立劇場、東京)
8月 「中村政人展  "QSC+mV"」(広島市現代美術館)
11月 「ラヴズ・ボディ ―ヌード写真の近現代」(東京都写真美術館ほか) 企画=笠原美智子

1999年

1月 「MOTアニュアル 1999―ひそやかなラディカリズム」(東京都現代美術館)
2月 「時代の体温―Art/domestic」(世田谷美術館) 企画=東谷隆司、コマンドN「秋葉原TV」(秋葉原 電気街全域)
3月 第1回福岡アジア美術トリエンナーレ(福岡アジア美術館ほか)
11月 「日本ゼロ年」(水戸芸術館現代美術ギャラリー) 企画・監修=椹木野衣

2000年

1月 中ザワヒデキ、松井茂、足立智美「方法主義第一宣言」発表
3月 「宮島達男―MEGA DEATH: shout! shout! shout!」(東京オペラシティアートギャラリー)
4月 「SUPER FLAT」展(パルコミュージアム、東京) キュレーション=村上隆
7月 「第1回大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」

2001年

1月 せんだいメディアテーク開館
8月 「奈良美智展―I DON'T MIND, IF YOU FORGET ME.」(横浜美術館ほか)、「村上隆―召喚するかドアを開けるか回復するか全滅するか」(東京都現代美術館)
9月 横浜トリエンナーレ2001「メガ・ウェイブ―新たな総合に向けて―」 ディレクター=河本信治、建畠 晢、中村信夫、南條史生

せんだいメディアテーク

2002年

1月 東京国立近代美術館本館リニューアルオープン、「未完の世紀 : 20世紀美術がのこすもの」開催
2月 松井みどり『アート―“芸術”が終わった後の“アート”』(朝日出版社)刊行
3月 「GEISAI#1」(東京タワーアミューズメントホール)
11月 「エモーショナル・サイト」(食糧ビルディング、東京)

2003年

3月 反戦運動「殺す・な」 発起人=小田マサノリ、工藤キキ、椹木野衣、山本ゆうこ
8月 「ヤノベケンジ MEGALOMANIA」(国立国際美術館、大阪)
10月 森美術館開館
11月 山口情報芸術センター[YCAM]開館

2004年

2月 「六本木クロッシング―日本美術の新しい展望 2004」(森美術館、東京)
4月 「ネクスト―メディア・アートの新世代」(ICC、東京)
8月 「小沢剛―同時に答えろyesとno!」(森美術館、東京)
10月 金沢21世紀美術館開館

金沢21世紀美術館

2005年

1月 「MOTアニュアル2005 愛と孤独、そして笑い」(東京都現代美術館)
8月 「アートフェア東京2005」(東京国際フォーラム・展示ホール)
11月 清澄白河にアートコンプレックスが誕生

2006年

1月 「No border 「日本画」から/「日本画へ」」(東京都現代美術館)
7月 「ライフ展 / Life」(水戸芸術館現代美術ギャラリー)、「奈良美智 + graf : A to Z」(吉井酒造煉瓦倉庫、青森)
10月 「大竹伸朗 全景―1955‐2006」(東京都現代美術館)

2007年

1月 国立新美術館開館
2月 「マイクロポップの時代―夏への扉」(水戸芸術館現代美術ギャラリー) 企画=松井みどり
5月 「アートで候。 会田誠山口晃展」(上野の森美術館)
7月 森村泰昌個展「美の教室、静聴せよ」(横浜美術館ほか)
10月 「Space for your future―アートとデザインの遺伝子を組み替える」(東京都現代美術館)

2008年

1月 中ザワヒデキ『現代美術史日本篇』(アロアロインターナショナル)刊行
4月 十和田市現代美術館開館
10月 Chim↑Pom が広島上空に飛行機雲で「ピカッ」の文字を描き物議を醸す
11月 杉本博司「歴史の歴史」(金沢21世紀美術館ほか)

2009年

2月 第1回恵比寿映像祭(東京都写真美術館)
5月 「ネオテニー・ジャパン:高橋コレクション」(上野の森美術館ほか)、「ウィンター・ガーデン―日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開」(原美術館) 企画=松井みどり
7月 「第1回水と土の芸術祭」 ディレクター=北川フラム
8月 「第1回所沢ビエンナーレ美術展2009―引込線」(西武鉄道旧所沢車両工場)

2010年

4月 「カオス*ラウンジ2010 in 高橋コレクション日比谷」(高橋コレクション日比谷) キュレーション=黒瀬陽平、藤城嘘
6月 3331 Arts Chiyodaグランドオープン
8月 あいちトリエンナーレ2010「都市の祝祭 Arts and Cities」 芸術監督=建畠晢

2011年

1月 「ホンマタカシ―ニュー・ドキュメンタリー」(金沢21世紀美術館ほか)
5月 Chim↑Pom《LEVEL7 feat.明日の神話》 岡本太郎の巨大壁画に絵を付け足したことが物議を醸す
6月 「名和晃平―シンセシス」展(東京都現代美術館)
8月 福島第一原発の「ふくいちライブカメラ」で「指差し作業員」のパフォーマンスが流れる

2012年

1月 「インターネット アート これから ポスト・インターネットのリアリティ」展(ICC、東京)
2月 「村上隆展 Murakami-Ego」(アル・リワーク展示ホール、カタール)
4月 「ひっくりかえる」展(ワタリウム美術館、東京) 企画キュレーション=Chim↑Pom
7月 「奈良美智―君や僕にちょっと似ている」(横浜美術館)
11月 「会田誠展―天才でごめんなさい」(森美術館、東京)

2013年

6月 ヴェネチア・ビエンナーレ国別参加部門で田中功起の個展を行った日本館が特別表彰 キュレーション=蔵屋美香
8月 あいちトリエンナーレ2013「揺れる大地―われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」 芸術監督=五十嵐太郎
9月 「ライゾマティクス inspired by Perfume」展(ICC、東京)、「中原浩大 自己模倣」展(岡山県立美術館)

あいちトリエンナーレ2013「揺れる大地―われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」より、名和晃平《Foam》

2014年

7月 ろくでなし子がわいせつ物頒布等の疑いで逮捕、札幌国際芸術祭2014 ゲストディレクター=坂本龍一
8月 「これからの写真」展(愛知県美術館) 鷹野隆大作品に撤去指導、作品の一部を隠す措置が取られる
11月 「チーム・ラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」(日本科学未来館、東京)

2015年

3月 「PARASOPHIA 京都国際現代芸術祭」(京都市美術館ほか) アーティスティック・ディレクター=河本信治、Chim↑Pom発案「Don't Follow the Wind」(東京電力福島第一原子力発電所周辺の帰還困難区域内某所)
7月 「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展( 東京都現代美術館) 会田誠作品に美術館が撤去要請
10月 「村上隆の五百羅漢図展」(森美術館、東京)

「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展会場風景より、会田家《檄》
「村上隆の五百羅漢図展」会場風景

2016年

3月 「MOTアニュアル2016 キセイノセイキ」展(東京都現代美術館)
10月 「柳幸典 ワンダリング・ポジション」展(BankART Studio NYK、横浜)、Chim↑Pom「また明日も観てくれるかな?」(新宿・歌舞伎町振興組合ビル)

「MOTアニュアル2016 キセイノセイキ」展会場風景

2017年

4月 「抽象の力」展(豊田市美術館) 企画=岡﨑乾二郎
6月 「恋せよ乙女!パープルーム大学と梅津庸一の構想画」(ワタリウム美術館、東京)
7月 Reborn-Art Festival2017(石巻、宮城) ディレクター=小林武史

2018年

1月 「小沢剛 不完全―パラレルな美術史」(千葉市美術館)
5月 宇佐美圭司による巨大絵画《きずな》(1977)(東京大学中央食堂)の廃棄について、東京大学消費生活協同組合が謝罪文を発表
7月 「起点としての80年代」(金沢21世紀美術館ほか)
11月 「ニュー・ウェイブ : 現代美術の80年代」(国立国際美術館)

東京大学中央食堂に設置されていた宇佐美圭司の《きずな》 提供=大学関係者

2019年

2月 「インポッシブル・アーキテクチャー」(埼玉県立近代美術館ほか) 監修=五十嵐太郎

(本特集の完全版は『美術手帖』6月号に収録)

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